"金融政策での円安誘導には限界!"とすればこの"ユーロ危機 ⇒ 円高"は止まらない?

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弱い日本の強い円
 4日の日経平均株価も "8300円割れ" となり今年の最安値を更新(終値:8,295円)。大きな原因が "円相場の高止まり" にあることが鮮明となっている。

 市場では、この事態が様々に論評され、"当局の対応"、"金融政策面云々" という "日銀への期待" の声も飛び交っている。

 そこで、気になるのがその "日銀への期待" というものがホントに期待できるものなのかどうか......、という点になる。
 ただ有り体に言えば、もし期待できるものであったのならば、ここまで "酷い状態" になる前に打つ手があったのではないかという勘繰りも成り立つ。

 そんな中、下記引用サイト記事:「コラム:金融政策での円安誘導には限界がある」=佐々木融氏/REUTERS/2012.06.04 における、<なんでも日銀頼みという幻想>というクールなフレーズが目に飛び込んできた。

 <日銀が為替相場に影響を与えることができる行為のうち、一つめは法律で実行を制限され、二つめは金利がゼロになっていることによってすでに影響力はなくなっているのである。
とするかなり "冷静な見通し" なのである。むしろ、この辺に耳を傾ける必要がありそうではなかろうか......。

 いかに日銀といえども、世界中の投資家たちのリスク回避姿勢(円への逃避!)を宥めることができるのかどうかということになる......。

 コラム:金融政策での円安誘導には限界がある=佐々木融氏/REUTERS/2012.06.04

[東京 4日 ロイター] 2月14日のバレンタインデーに、日銀が資産買入等の基金による長期国債買入れを10兆円増額すると発表したことで円安が加速度的に進んだことを背景に、その後も日銀の追加金融緩和による円高阻止、ないしは円安方向への誘導を期待する声が強い

最近は、「日銀が外債を購入したら円安になるのではないか」という提案もよく耳にする。これには少し解説が必要である。

 日銀は二つの行為で為替相場に影響を与えることができる一つめ外国為替市場での売買二つめ政策金利の変更である。もっとも、一つめの外国為替市場での売買で為替相場に影響を与えるという政策は、日銀の政策ではなく、財務省が管轄する政策である。日銀は外貨の売買を行うことはできるが、為替相場に影響を与えるような売買(つまり、現在行われている介入)は国の事務の取り扱いをする者として行うことが日銀法第40条2項で定められている。

 現行の法律下で行われる円売り介入の方法は、まず財務省が短期国債を発行して円資金を調達し、その調達した円を日銀を通じて外為市場で売却するかたちで行う。一方、最近耳にする「日銀による外債購入」は、日銀が円を刷って(発行して)直接外貨を購入するという方法を意味している。スイスの中央銀行は大量にスイス・フランを刷って(発行して)、それを対ユーロで売却し、フランの対ユーロ相場の上昇を抑制している。これと同じことを日銀もやってはどうか、ということである。

 どちらも中央銀行が自国通貨を売って外貨を購入するという点では変わりがないが、売却する自国通貨を国債を発行して調達するか(日本のケース)、中央銀行が発行するか(スイスのケース)の違いがある。......

 それでも「スイスのように日銀が円を発行して円売り介入を行え」と言うなら、まずは法律を変更する必要がある。ただし、この日銀法改正は日銀にはできない。まずは政治家が動いて法律改正を行わなければならない。

<なんでも日銀頼みという幻想>

 日銀が為替相場に影響を与えることができる二つめの行為は、政策金利の変更である。

 しかし、政策金利はすでにゼロになっているので、最近では「資産買入等の基金」を通じて国債やその他の資産を購入することが金融緩和と受け止められているしかし、日銀が国債を大量に購入したり、その他の方法で民間銀行の当座預金に対して資金を大量に投入しても、金利の変化が限定的な世界では為替相場に与える影響はほとんどない

 この点に関しては、実務に近いところにいる人ほど実感があるだろうが、日銀がいくら民間銀行の当座預金に資金を積み上げても、その資金は当座預金に積み上がっているだけである。そして、金利がゼロか限りなくゼロに近く、それ以上下がらなければ、為替相場に対するインパクトはまったくない。......

 また、「2月14日は金融政策発表後に円安に振れたではないか」との声が聞こえてきそうだが、...... 単に市場のポジションが逆方向に向いていたからである。金融政策そのものが実質的な効果を持って為替相場に影響を与えている訳ではない

 つまり、日銀が為替相場に影響を与えることができる行為のうち、一つめは法律で実行を制限され、二つめは金利がゼロになっていることによってすでに影響力はなくなっているのである。日銀の動きによって円相場が動いたり、動かなかったりするのは、すでにある市場のポジションと、思惑に基づいた投機的な売買が行われるからだ。

 時折「日銀が国債を購入し大量に資金を放出すれば、円安になるとの期待が醸成され、円を売る参加者が増え円安になるのではないか」との議論も聞かれる。もっとも、こうして期待に基づいて売買する行為は投機と呼ばれ、結局はどこかでポジションを閉じて利益(ないしは損失)を確定しなければならない。つまり、中期的な相場へのインパクトは中立的なのである。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に、「弱い日本の強い円」など。

コラム:金融政策での円安誘導には限界がある=佐々木融氏/REUTERS/2012.06.04
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)

 "ユーロ危機" 問題( ギリシャ以外にスペインの "ユーロ圏離脱" まで注視され始めている...... )のみならず、世界経済牽引役の米国と中国の経済がここに来て "減速" ぶりを強めているようだから、"楽観的なアナリスト" たちの "御用" コメントを迂闊に信じることは難しい...... (2012.06.05)













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