先日、いささか "衝撃的な内容" のサイト記事があったことは紹介しました。
<受託ソフト開発会社は、もう終わり! 受託ソフト開発会社は生き残れない>といった<爆弾発言>が "業界トップ" 層から表明されたというものです。
◆ 参照 「受託ソフト開発会社は、もう終わり!? 国内中心に事業展開する各社の業績は超低迷!」( AdhocBlog 2011.06.02 )
この "受託ソフト開発会社" に長く携わってきた自分としては、やはり他人事とは思えないわけです。しかも、かねてよりこだわっても来た "IT ソフトウェア技術者" の育成という課題に深く関係しているかに思われると、なおのこと関心が向かうことになります。
そこで、次のような一文を書いたりもしました。
<......"受託ソフト開発会社は、もう終わり!" と発言することはある意味では当を得ているのかもしれません。
しかし、結論を急ぐ前に、山積する問題群の中で、一貫しておざなりにされて来た問題に再度目を向けてみる必要がありそうです。
われわれは、スティーブ・ジョブズ氏を見上げる前に、社内の "IT ソフトウェア技術者" たちが、"技術力" を "ビジネスとして" 培っているのかどうか、その一点をこそ吟味すべきかと思います。
何も、"IT ソフトウェア技術者" が "手揉み" する営業マンであれと言っているのではなく、徹頭徹尾 "ユーザーニーズ" に "鋭敏" でなければならないということなのです。
端的に言って、(派遣・受託)ソフト開発会社は、"ユーザーニーズ" の問題は "ユーザーサイド" の問題だ! と "仕分け" して来たはずです。
こうしたスタンスのソフト開発会社と、その "IT ソフトウェア技術者" たちに見合った "ビジネスチャンス" を見つけることの方が、この時代環境では難しいと言えるのではないでしょうか。
ここに、"受託ソフト開発会社は、もう終わり!" という発言の真意がありそうです。......>( "受託ソフト開発会社は、もう終わり!"を覆すためには"自前の技術者評価育成"体制の"再"構築以外はない!( Search 2012.06.05 ) )
前述の<爆弾発言>記事の中でも、次のような指摘が述べられていました。
<受託ソフト開発会社にとっての最大の問題は、IT投資に見合う効果が表れていないことにある。ユーザーのニーズを的確に把握できていないことを示している。>と。まさにそのとおりだと思われます。
ところが、実情から言って当たり前の話なのですが、"IT ソフトウェア技術者" たち、あるいはその志望者たち( 昨今、志望者が激減しているとかの話もあります......)の主たる関心は "新技術要素" にありこそすれ、"ユーザーニーズ" の問題なんぞに関心はないと言えます。
ビジネス経験の浅さと、"テクニカル・スキル" だけで "喰って行ける" との幻想(この幻想は、企業自体が抱いていたものでもありますが......)が伴えば当然の結果ではないでしょうか。
ここから、企業による "オリエンテーション" と "育成・教育" が絶対不可欠となるわけです。
かつての一時期には、"OJT"・"OffJT" に関心が向けられたこともありましたが、景気低迷とともに "育成・教育" コストは見る見るうちに削減され、今では、"OJT"・"OffJT" の言葉すら知らない若い技術者たちが増えているようです。
それどころか、昨今では "OJT" の "事実上の停止" に加えて、"育成・教育" 自体(主として "テクニカル・スキル" トレーニング )の "外部化"(アウトソーシング!)が何の疑いもなく受け入れられています。
これでは、"ユーザーニーズ" の "鋭敏" さなぞ培われるべくもないでしょう。
"アウトソーシング!" と言えば、 "育成・教育" に限らず "人事考課の実施" でさえ "丸投げ" している企業もあると聞きます。
表題の "狩り獲る狩猟型" 企業とは、本来、こうした "自前で" 実施しなければ多大な不都合が生じる "育成・教育" や "人事考課の実施" という課題まで "外部化" している企業を指します。
そのスタンスの根底には、人材もまた "外部" から調達(狩り獲る!)可能とする発想があることは言うまでもないでしょう。
しかし、"人材の質" がすべてだと言われる "ソフト開発会社" が、 "自前で" の "育成・教育" を踏まえてその成果や収益を "刈り取る農耕型" の基本構造を、実に簡単に放棄してしまって "将来へと持続して行く経営" が成り立つものでしょうか?
現代の "家族" が危機に瀕している理由の一つに、かつての家庭が "教育" から "労働" までの包括的な機能を有していたのに対して、その多くの機能が "外部化" され、内部機能が "痩せ細ったこと" にあると言う人がいます。
その仕事さえ貧弱となりつつある現在のソフト開発会社は、ひょっとしたら、"現代家族" 以上に危うい状況なのかもしれません。
振り返れば、日本企業は "終身雇用" 慣行に支えられて "育成・教育" の点では他国に例を見ない充実ぶりだったはずです。"技術立国" はそうして形成されたのでしょう。そして今、"歌を忘れた(?!)"日本企業は、"ソフト開発会社" に限らず、当てどなく "漂流" しはじめている......。
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