17日のギリシャ再選挙は、緊縮財政路線に反対する急進左派連合(SYRIZA)と緊縮策を支持する旧連立与党の新民主主義党(ND)の支持が伯仲する情勢で迎えつつある。
そんな情勢下で、二、三の情報が飛び交った。
<[ローマ 14日 ロイター] 14日序盤の欧州市場で、ギリシャの銀行株指数が20%超上昇している。6月17日のギリシャ再選挙で緊縮財政派が勝利し、新政権を樹立するとの観測が市場で出ていることが背景。>( ギリシャの銀行株が20%超上昇、再選挙で緊縮派勝利の観測/REUTERS/2012.06.14 )が一つ。そして、
<世界の主要国政府や中央銀行は17日に行われるギリシャの再選挙結果を受けて市場が大混乱やパニックに陥った場合に備え、協調して流動性供給策を講じる準備を進めている。>( 主要国が流動性供給で協調行動へ、ギリシャ再選挙後の混乱に備え/REUTERS/2012.06.15 )との観測が市場に伝わり、15日の欧州株式市場が上昇する場面も現れた、というのが一つだ。
果たしてこうした情報が17日以降のギリシャ情勢を客観的に読み解く有力な材料となるのかどうか......。
一部に観測されているように、"緊縮策を支持する旧連立与党の新民主主義党(ND)" が勝利するのかもしれない。が、仮にそうなったとしても、"一時の" 欧州株式市場の上昇が花火のように打ち上げられた後には何が待っているのかということになる。"主要国の協調行動" は一体どこまでギリシャを支え切れるのか......。
下記引用サイト記事:ギリシャはいずれユーロ圏離脱する=PIMCOのグロース氏/REUTERS/2012.06.16 は、この辺の懸念に対して実に "醒めた想定" をして憚らない。
<「ギリシャがいずれユーロ圏を離脱することを想定している」とし、ユーロ圏離脱はギリシャソブリン債の「事実上のデフォルトだ」>と......。
どうも、"17日のギリシャ再選挙" が、ユーロ圏の今後の行方を占うものと見なされている、そんな推移自体が、希望的観測に根差すものなのかもしれない......。
ギリシャはいずれユーロ圏離脱する=PIMCOのグロース氏/REUTERS/2012.06.16
[ニューヨーク 15日 ロイター] 米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のビル・グロース共同最高投資責任者(CIO)は15日、ギリシャのユーロ圏離脱を予想しているとし、ギリシャのデフォルト(債務不履行)は市場で織り込まれているとの見解を示した。
グロースCIOはCNBCテレビに対し、「ギリシャがいずれユーロ圏を離脱することを想定している」とし、ユーロ圏離脱はギリシャソブリン債の「事実上のデフォルトだ」と述べた。
そのうえで、ギリシャ債の値動きは、同国のデフォルトがおおむね織り込まれていることを示していると述べた。
また、金融緩和や利下げなどの刺激策の効果が次第に弱まっていくとし、量的緩和(QE)や他の追加流動性供給措置は今後、過去数年に見られたほどの効果は発揮しないとの見方を示した。
( ギリシャはいずれユーロ圏離脱する=PIMCOのグロース氏/REUTERS/2012.06.16 )
「いずれ......する」という "時間軸" 不問の表現が、果たして信頼に足るものかどうかという向きもありそうだ。が、片や "抜本策" 不問のままに "支援=緊縮財政" で押し切ろうとする選択肢もまた実にリアルさを欠いている...... (2012.06.17)
コメントする