昨今、IT ソフト開発会社の経営者層から、"愚痴" を聞かされることが少なくない。中でも多いのが、"受託案件(プロジェクト)" の "採算の悪さ" だ。
"受託案件" の受注件数自体が落ち込んでいるのに加えて、手掛けてみると採算が見合うものは少なく、大半が "赤" だという。さらに情けないのは、"不具合解消" がままならず、"クロージング" に至らないものもあるとのこと。最悪は、延々と "持ち出し工数" が嵩み続けて目も当てられない "不採算案件" となる可能性がある......と。
いつの時代も変わらないと再認識させられたが、現在のような "経済低迷時" にあってはなおのこと厳しくなっていそうだ。
◆ 参照 「受託ソフト開発会社は、もう終わり!? 国内中心に事業展開する各社の業績は超低迷!」(当誌 2011.06.02 )
"受託案件(プロジェクト)" の "採算の悪さ" の原因は様々ではあろうが、口を揃えて指摘される点は "Project管理" の "拙さ" であり、その役割が託される "Project マネージャー(リーダー)" の "力不足" である。
そう図式的に非難されてしまう "Project マネージャー(リーダー)" 側はたまったものではないが、多くのIT ソフト開発会社が、"この辺の問題" を抱え続けている点は否めない。
先日、 "IT業界での採用問題" に関して以下のような "笑うに笑えない" 記事があった。
<#2:プロジェクトマネージャー
...... プロジェクトマネージャーを採用するうえでの最大の難関は、雇用者自身が作り出している。その難関とは、PMP資格の保持を「必須条件」としていることにある。...... そもそも、PMP資格の取得自体が困難なのである。この資格に関しては、「卵が先か、鶏が先か」という状況になっている。資格を取得するにはプロジェクト管理の経験が必要となる‥‥だが、この資格がなければなかなかプロジェクト管理の仕事に就くことができないのだ。その結果、候補となる人材の数は非常に限られてくるとともに、資質の高い人材がPMP資格を有していないという理由で門前払いされてしまうわけである。>( IT業界/"売り手市場"の10職種!但し"IT Specialist"が抱える基本的課題が絡む?!( 当誌 2012.04.19 ) )
この「卵が先か、鶏が先か」というフレーズで表現される、"Project マネージャー(リーダー)" に関する "ジレンマ" が気になる点なのだ。
それは、"PMP資格" 云々もさることながら、いわば "Project マネージャー(リーダー)" の育成に関わる "構造的矛盾(?)" であるとも言えるからである。
この辺の "ジレンマ" は下記のように言い表わすこともできる。
「 IT・ソフトウェア領域での開発形態では<プロジェクト管理>が必須であるにもかかわらず、その成否が経営に大きな影響を及ぼすため、<試しに任せてみる>という教育的方法が採用しにくいこと。 これは、航空パイロット候補生に、安易に<実フライト>が任せられないこと、したがって<フライト・シミュレーター>での訓練が重視されることと酷似していること。 」( SE Human Assessment/『シミュレーション』教材 )
この時期に<Project管理 [模擬体験/シミュレーション] 教材:電子書籍教材「プロジェクトα」for iPad >を再提起する理由は、実は、こうした事情から来ている。
■ "復刻版" の教材コンテンツでありながら「for iPad 版」を再提起する理由:
(1) 現在のような "デフレ固定時(?)" には、一つ一つの "受託案件(プロジェクト)" を "手堅い安打!" へと持ち込まなくては会社は回って行かない!
(2) プロジェクト(Project)管理のスキルアップは、"細切れの知識詰め込み"で歯が立つ種類のものではない!トータルな実践が不可欠ながら、実情では [ 模擬体験(シミュレーション)] という選択肢しかない!
(3) IT技術は、その "技術要素" に飛躍的発展がありながら、プロジェクト管理(マネージメント)自体の構造的な変化は見受けられない。まして、プロジェクト・マネージャー(プロジェクト・リーダー)というパーソナルな次元に着眼するならば、十年一日ほどの事情変化しかないと見受けられる。
(4) 過去、幾度も "合宿研修"( "(財)社会経済生産性本部"主催「 課長能力開発コース 」 )で試されてきた "実践的な教材"。<参照>
(5) "教育コスト" の圧縮が強いられる現状では、"然るべき教材" を活用した "社内研修" 復活が望まれる!
先日、この "シミュレーション教材" については、制作裏話(?) ( "ePub" 電子書籍に "PDF file" をサブシステムとして組み込むこと )を下記エントリーで紹介させてただいた。
◆参照 "iBooks Author"で×の"PDF file"埋め込み可!"ePub"での電子書籍制作メリット!( 当誌 2012.04.23 )
その際には、制作技術面以外のコンテンツ面である "Project管理 [模擬体験/シミュレーション] 教材" が持つ意義については、話題を広げ過ぎることを避け、あえて省略した。今回は、それゆえの補足という位置づけとなっている...... (2012.06.09)
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