電子書籍フォーマット標準 "EPUB 3.0"!林立乱立無政府状態下で"進化を続ける標準"!

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  "電子書籍" のフォーマット標準である "EPUB 3.0" がいよいよ実質的に動き始めた気配である。なお、"EPUB 3.0" が従来の "EPUB 2.0" 以上に注目を集めているのは、"縦書き、ルビ" などの日本語特有の書式への対応を含むからだ。

 最新の動向としては、現在、東京ビッグサイトで開催されている「第16回国際電子出版EXPO/第19回東京国際ブックフェア」において、IDPF(International Digital Publishing Forum:国際電子出版フォーラム)が開催している "EPUB3に関する集中会議「IDPF TOKYO CONFERENCE」" の中で、<日本語用の閲覧ソフト「リーディアム(Readium)」>( 電子書籍「世界規格」が上陸 縦書き・ルビも可能に/朝日新聞/2012.07.04 | IDPFが「EPUB3集中会議」東京で7月4日開催、普及への「Readium計画」報告 /INTERNET Watch/2012/05/16 )が注目を集めているという報道がある。
 この<「リーディアム(Readium)」>については、日を改めて書くつもりだ。

 今回は、"EPUB 3.0" に関する流れの現状確認をしておこうかと思う。なお、過去に当誌で取り上げた "EPUB 3.0" 関連記事としては下記を参照していただきたい。

 ◆参照 [Screen-Shot]青空文庫素材に"縦書きEPUB3電子書籍"作りを"east/epub3pack"で! ex. espur(エスパー)( 当誌 2011.08.22 )

 ◆参照 "ePub2.0(→ePub3.0)"のおさらいに持って来いの教材!/無償配布(by 技術評論社)( 当誌 2011.08.20 )

 "電子書籍" の "フォーマット標準" に目を向けた時、現状で先ず出会う問題は "電子書籍" の "フォーマット" が、"林立乱立" してマチマチとなっていることだ。
 つまり、"読む" ために使われるデバイスとしての "ビューワ/リーダー" の数だけ "フォーマット" の数がある、と言っても間違いではないからだ。
 できるだけ多種類の "電子書籍" を快適に読みたいと望む "読み手" 側としては、こうした状態では不便でならないに違いない。だからこそ、"フォーマット標準" への期待が高まるわけだ。

 こうした "林立乱立無政府状態" という実情が、下記引用サイト記事:EPUB 3.0 Support Grid発行と標準普及への道/EBooks2.0 Weekly Magazine/2012.06.30 では、冷静に見つめられている。
 そして、その "交通整理" のため、あるいは<コンテンツ開発者や事業企画者に簡単な確認資料を提供する目的>で、<対応状況を一覧可能にしたEPUB 3.0 Support Grid>というものを公開している、というのだ。

 やはり、"EPUB 3.0" や "EPUB 2.0" といった "電子書籍" の "フォーマット標準" を考える際には、この動かし難い実情からスタートする以外にはないのだと思える。
 <十分なコンセンサスがない、動的な「拡張E-Book」の仕様を追加していかなければならないことから来る進化を続ける標準であり、市場とともに成長するEPUB 3>だという認識に共感できる。
 "オレが、オレが!" と息巻いて定まっていくものでもなさそうである......。

 EPUB 3.0 Support Grid発行と標準普及への道/EBooks2.0 Weekly Magazine/2012.06.30

 米国出版産業のシンクタンクBISGは5月31日、昨年11月に制式化されたEPUB 3.0標準の各機能に対するブラウザの対応状況を一覧可能にしたEPUB 3.0 Support Grid(以下E30SG)を公開した。コンテンツ開発者や事業企画者に簡単な確認資料を提供する目的で、専門家とユーザーが協力して作成されており、毎月更新される。EPUB3の構成機能はかなり大掛かりなので、こうした情報はビジネスに不可欠なものだ。日本語機能について、日本の関係者の協力が期待される。

膨大なEPUB 3.0の構成機能への対応状況が一覧可能に

 最初のGridでは、Amazon Kindle、iBooks、Google E-Books、IDPF Readiumなどの主要ビューワプログラムをチェックしているが、さすがに全機能をサポートするものは存在せず、iBooksが最も対応が進んでいると評価された。出版社サイドから言えば、これは単純にiBooksが「よい」ということを意味しない。売れるビューワこそが「よい」ビューワ(プラットフォーム)なのだから。「よい」状態とは、あるタイトルについて、EPUB3がサポートする機能に対応するビューワが可能な限り多い状態。次に非対応のフォーマットでも自動変換可能なビューワが多い状態、その次は「ある程度の手間」で他のビューワに変換可能、最悪なのは、変換不可能なビューワが多く、別のツールで開発・検証しなおさなければならない(つまり現在のような)状態ということになろう。もちろん最後の状態が長く続くのは好ましくない。

 KoboKindleが揃い、アップルがiBookstoreをそれぞれ日本で開設したという仮定で考えるならば、これらはすべて、XMLベース、HTML5/CSS3ベースということで共通している。機能のシンプルなEPUB2に対しては、KoboとiBookstoreは完全対応しているが、EPUB3の日本語は不明。EPUB3のフルスペックに対応するものはなく、サポートする機能の数では、iBookstore>Kobo>Kindleという順番になる。Kindleが対応する程度のEPUB3なら他の2つでも対応するので、Kindleをとりあえずの最低ラインと考えて開発するほうが無難だろう。アマゾンがEPUB→KF (Kindle Format)の変換ツールやサービスの提供をどの程度やってくれるかによって、コストは変わってきそうだ。だから、毎月更新されるGridのような情報は、出版計画にも影響を及ぼす重要なデータと言える。これまで機能が単純だったEPUB2とKF (Mobi)の変換は比較的容易だったが、EPUB3はKFより遥かに大きな構成となったので、E30SGの互換性のチェックが欠かせない。

E30SGは以下のプラットフォームをカバーしている。

 Kindle:Kindle E-Inks (Mobi 7), Kindle Touch (KF-8), Kindle Fire (KF-8), Kindle for Android (KF-8), Kindle for iOS (Mobi 7), Kindle for Mac & PC (Mobi 7)
 Apple:iBooks (Webkit)
 Google:Google E-Books (ブラウザ)
 IDPF:Readium (Webkit)
 Kobo:iPad Reader, Android Reader, Kobo Wifi, Kobo Touch, Kobo Vox
 Nook:iPad Reader、Simple Touch
 Safari Books:ブラウザ、iOS (WebKit)
 Sony:Reader, Reader for Japan, Reader for Tablet, Reader for Tablet (Japan)
 Vital Source:Android, ブラウザ, iOS, Kindle Fire, Mac, Windows
 Apps:OverDrive, Azardi, BlueFire

市場とともに成長するEPUB 3

 EPUB3は、それまでのEPUB2と性格を一変させた標準で、主として組版機能の基本要素をまとめた日本の各種フォーマットとも性格を異にする。むしろベースとなったHTML5/CSS3によく似ている。つまり、進化を続ける標準ということだ。これは「本」というもともと複雑な構造体の全機能を実現することが求められる上に、十分なコンセンサスがない、動的な「拡張E-Book」の仕様を追加していかなければならないことからきている。「EPUB3に対応」といっても、「EPUB3の何に、どう対応」するのかは検証する必要がある。そもそも標準化の目的はファイルの相互運用性なので、いくら「対応した」と言っても、様々なビューワで同じように見られることが確認されないと意味がないのだ。

 情報技術の標準は実装仕様を拘束しないので、標準を守った実装の間でも使えないということはあり得る。その場合(たいていは記述のあいまいさ)は標準仕様に欠陥があったということで、修正が必要になる。この仕事にあたるは少数の優秀な人々だが、所属企業からは十分に評価されないことのほうが多いので、業界全体や社会が支援しないと続かない。EPUB3は日本語で完成したわけでは絶対にない

 一例を挙げると、マンガ(外国ではグラフィック・ノベル)で必須となる固定レイアウトへの対応がある。これはEPUB 3.0には入っていないが、現在作業が進められおり、3.xには含められるだろう。この機能には様々な(異なる)ニーズがあり、一つの方式では対応できないので、複数個の固定レイアウト標準が出来る。固定A、固定B、...といった具合に。この標準がすべてのビューワに迅速に反映すればよいが、やはり時間差が生じる可能性のほうが高い。このプロセスを簡単にするには、Readiumのようなオープンソース実装が採用されることが必要だろう。

 メタデータもそうだが標準は市場の発展とともに成長し成熟していく。成熟した状態ではだれも存在を意識しなくなるが、成長段階ではユーザーがその有効性と限界をチェックしながら使っていく必要がある。そのためにも、開発者やユーザーからのフィードバックを集約し、共有する環境が重要だ。GridのGLS機能のチェックは日本の関係者の協力が不可欠だ。◆(鎌田、06/29/2012)EPUB 3.0 Support Grid発行と標準普及への道/EBooks2.0 Weekly Magazine/2012.06.30

( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)

 上記引用記事にも "EPUB 3.0" が<HTML5/CSS3によく似ている>と指摘されているが、今後のWeb環境全体を見渡す時、"HTML5/CSS3" への精通が不可欠か...... (2012.07.05)













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