昨日は、電子書籍フォーマット標準の "EPUB 3.0" に "熱い視線" が向けられている状況を概観した。そして、<今後のWeb環境全体を見渡す時、"HTML5/CSS3" への精通が不可欠か......>と結んだのだ。
が、この"HTML5" こそが、今後のIT 業界の動向、とりわけ復活を目指そうとしている "日本IT 企業" にとって重要なキーワードとなる! と熱い口調で語られた記事に出会うこととなった。( 下記抜粋引用サイト記事:アップル vs. グーグル vs. フェイスブック ―― HTML5が切り開く未来 小林雅一/SYNODOS JOURNAL/2012.07.03 )
"HTML5"(&CSS) についてはこれまでにも少なからず関心を寄せてきた。
◆参照 "HTML5"で作成されたGoodサンプル!/<グーグルがHTML5で作ったWeb絵本を公開>( 当誌 2011.06.05 )
なお、"HTML5"(&CSS) を実感的に掴むには、この<グーグルがHTML5で作ったWeb絵本>(<「20 THINGS I LEARNED ABOUT BROWSERS AND THE WEB (ブラウザやウェブについて知っておきたい20のこと)」> )を "体験" してみるのが最も手っ取り早いのではないかと思われる。
下記引用記事のとおり、"HTML5" で作られたデジタル・コンテンツは、"Webアプリ" でありながら、<ユーザー体験としては、指のタッチで電子書籍のページをめくったり、活字をビデオやアニメーションと組み合わせて楽しんだりすることができる。つまり非常にインタラクティブなので、ユーザーにとっては「単なるホームページを見ている」というより、「自分は電子書籍を読んでいる」と感じる。>、そんなコンテンツだからである。
この点とともに、<ブラウザ上でアプリケーションを動かせば、iOSでしか動かないアプリとか、アンドロイドでしか動かないアプリというのがなくなる。これによって、ソフトウェア開発者は1本のソースコードで、すべての端末に向けてアプリケーションを提供できるようになります。これがブラウザ上で動くアプリ、すなわちWebアプリの最大のメリットです。>という点! これらを踏まえるならば、"HTML5"(&CSS)に基づく"Webアプリ" というものは、"電子書籍" を含む "デジタル・コンテンツ" の世界の未来を大きく塗り替えてゆくのではないかと思えてくるのである。
したがって、こうした視点から述べられた、<デジタル分野での戦いはまだ始まったばかりなのです。その成功のカギを握るのが、HTML5で大変化を遂げつつあるWebですから、日本企業はここでの戦略を間違えなければ復活の可能性は残されています。>という、"日本IT 企業" にむけて送られるエールは、"フムフムなるほど!" と大きな説得力を伴って響いてくるのである。
これまでのように、先を越され続けた "プラットフォーム" 作りに悔やむ(?)のではなくて、"HTML5" によって<これからは、ブラウザ(Web)が もっとも重要なプラットフォームになっていく>という今後の動向にこそ目を向けるべきなのではないかと思えてくる。
アップル vs. グーグル vs. フェイスブック ―― HTML5が切り開く未来 小林雅一/SYNODOS JOURNAL/2012.07.03
米IT企業が覇権を握るべくしのぎを削る、こうした動向を読み解くキーワード が「HTML5」だ。そこで今回は、先日『日本企業復活へのHTML5戦略 アップル、グーグル、アマゾン 米IT列強支配を突き崩す』(光文社)を上梓 した小林雅一氏(KDDI総研リサーチフェロー)に、「HTML5とは何か?」「HTML5の可能性はどこにあるのか?」を伺った。
■「iOSでしか動かない」とか「アンドロイドでしか動かない」という概念がなくなる
HTML5を使うと、このホームページというものが、たんに何かを見るためのものではなくなります。
つまり、さま ざまな動的なアプリケーション、要するに、スマートフォンでいま流行しているアプリですね、これをホームページ上で実現できる。ここが最大のポイントです。ゲームにしても、あるいはワープロや表計算にしても、いろいろなアプリケーションプログラムがありますが、それらをすべてWeb上で実現できるようにする、これがHTML5の主眼です。HTML5 対応のブラウザでは、スマートフォンのカメラから撮影したリアルタイム動画をバラバラに砕いて、その破片が動画を再生し続けるといった高度な映像処理が可能になる。
ブラウザ上でアプリケーションを動かせば、iOSでしか動かないアプリとか、アンドロイドでしか動かないアプリというのがなくなる。これによって、ソフトウェア開発者は1本のソースコードで、すべての端末に向けてアプリケーションを提供できるようになります。これがブラウザ上で動くアプリ、すなわちWebアプリの最大のメリットです。
■「土管屋」からの脱却をはかるキャリア、可能性を秘めたフェイスブック
ただ、その場合、たとえばApp Storeに頼らずに、「アプリをどう売るのか」という問題が出てきますね。
Webアプリに移行し、App Storeを通さないで自分たちで売っていく方向
そこでいま、いろいろな方法が考えられています。たとえばキャリアがWebアプリのマーケットをつくって......そこにいろいろな中小のコンテンツ・プロバイダを集めて、キャリアの責任で売っていくという方向があります。
可能性という点では、何といってもフェイスブック。...... このフェイスブックがアプリのマーケットをつくって、ソーシャルグラフといわれるサイバー空間上のネットワーク、人的ネットワークを使って配信していく。
■アップル、グーグル、フェイスブック、HTML5に対するそれぞれの思惑
HTML5を焦点として、IT企業間でさまざまな駆け引きがある。
HTML5を積極的に推進してきたのは、じつは元々はアップルでした。アドビ(Adobe)のFlashというプラットフォームを排除するため......
グーグルといえば、マイクロソフトに対抗するうえで、HTML5を強力にプロモートしてきた歴史が......
フェイスブックは、iPhoneやiPad、アンドロイド端末の ような固有プラットフォームを持たないので、(オープン・プラットフォームである)Webで全部すませるというのは、非常にありがたいことなんです。だから、もう何のしがらみもなく、HTML5を全面的に支持しているという状況......
つまりHTML5を軸に、これからのプラットフォームをどの企業が制するのか
これからは、ブラウザ(Web)が もっとも重要なプラットフォームになっていく。ブラウザ上で動くウエブ・アプリが一般化していけば、WindowsのようなOSから覇権を奪えるし、同時にアップルやグーグル、アマゾンなどによるマーケットの囲い込みも破ることができる。そして、その核心にある技術がHTML5というわけです。
■出遅れたからといって、日本企業が簡単にあきらめるのはおかしい
おそらくHTML5に関しても、名前は知っていると。詳しくはよくわからないんだけれども、いろいろと可能性のある技術であって、アメリカで何か起きているらしいということは、日本のエレクトロニクス・メーカーの関係者も知っていると思う。けれども率先してHTML5に本気で取り組んでいるのかといえば、当時のスマートフォンと同じで、どこかがやらないとうちもやらないというような感じ......
これからは「ブラウザ(Web)が最大のITプラットフォームになる」、あるいは「ブラウザが次世代OSになる」という点をしっかり理解したうえで、このブラウザを中心にデジタル事業を再構築することです。これは日本メーカーにとって、じつは物凄く大きなチャンス......
デジタル分野での戦いはまだ始まったばかりなのです。その成功のカギを握るのが、HTML5で大変化を遂げつつあるWebですから、日本企業はここでの戦略を間違えなければ復活の可能性は残されています。■出版だけでなくコンテンツ産業全体を大きく変えうるHTML5
電子書籍ブームが喧伝されていますよね。そういったものも、HTML5を使えば、あまりコストをかけることなく作れるんです。しかも、HTML5であれば通信資源もあまり消費しない。
HTML5でつくったコンテンツというのは、テクニカルにはホームページのことなんですよ。ホームページはどの端末 でも見ることができますよね。つまりiPhoneでもiPadでも、さらにはアンドロイド端末でも、Windows搭載タブレットでも見ることができます。しかもユーザー体験としては、指のタッチで電子書籍のページをめくったり、活字をビデオやアニメーションと組み合わせて楽しんだりすることができる。つまり非常にインタラクティブなので、ユーザーにとっては「単なるホームページを見ている」というより、「自分は電子書籍を読んでいる」と感じる。...... しかもホームページでありながら電子書籍的なユーザー体験を実現できるので、これ に課金することができます。
いまだに新聞社や出版社の関係者は「ウエブは大して儲からないよ」と思っている人が多いですが、今後HTML5になってくると、コンテンツへの課金が可能になりますから、そうした状況が変わってくるのです。...... Webアプリ(HTML5)にすれば、どんなメーカーのどんな端末にも電子書籍を配信することが可能ですから、出版業界が独自の電子マーケット(配信システム)を作ることができます。
これはじつは出版業界のみならず、音楽やゲーム、放送番組など、あらゆるコンテンツ産業について言えることなのです。...... 各種エンターテイメントや文化の担い手として、出版社やゲーム・メーカー、テレビ局や新聞社などが、今後とも第一線で活躍するためには、今とは別のかたちへと生まれ変わる必要があるでしょう。彼らの新たなビジネス・プラットフォームとなるものが、 HTML5によって質的な変化を遂げる、これからのWebなんです。
( アップル vs. グーグル vs. フェイスブック ―― HTML5が切り開く未来 小林雅一/SYNODOS JOURNAL/2012.07.03 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意しつつ要点のみを抜粋しています。)
とかく「貧すれば鈍す」( c.f."ムダ"が極力省かれた構成体であるプロジェクトでは、一見"周辺的"問題でも致命傷を!( 当誌 2012.07.04 ) )に陥ると、"後追いの縮小再生産" という "轍" に嵌り込んでしまうもの......。
よりマクロな動向(ここでは、"HTML5が切り開く未来!" )へと視線を転じることが、今まさに必要なのかもしれない...... (2012.07.06)
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