福島原発事故後、放射能で汚染された地域の復旧については、放射性物質の "除染" という課題がクローズアップしている。
そして、"除染" 方法としてより効果的だと見なされているのが天然鉱石の "ゼオライト" という物質。
"ゼオライト" は、放射性物質の "セシウム" の吸着性( セシウム捕捉性 )が高いと評価され、"除染剤" として注目されてきた。
◆参照 農と島のありんくりん/東京農大後藤逸男教授によるゼオライトのセシウム吸着試験の驚異的結果/2011.12.06
しかし、散見ながら、"ゼオライト" は種類が多くバラツキもあるようで、対効果費用も馬鹿にならないと聞く。
費用と言えば、以下のような記事もあるくらいだ。
福島原発事故で飛び散った放射性物質の除染費用について、政府は東京電力に請求する方針を固めたことが分かった。朝日新聞(12日)が報じた。 原発事故の除染費用は、政府が2015年度までに約19兆円に組み込んでいる復旧・復興事業の中に含まれている。このうち、昨年度と今年度の予算で、除染費用は合計約1兆円になる。まずはその分を東電に請求する方針という。......最終的には電気料金に上乗せされ、利用者が負担することなる。結局、利用者にシワ寄せがくる。( 政府 東電に除染費用1兆円を要求も電気料金に上乗せの愚/「日々担々」資料ブログ/2012.07.12 )
こうした文脈で今注目できるのが、下記引用サイト記事:福島で除染実験を開始 愛媛大が磁性化ゼオライト開発/msn.産経ニュース/2012.07.13 が報じている人工の物質「磁性化ゼオライト」の開発である。
"低コスト" だという点が先ず評価できるが、"除染" 処理作業をよりスムーズに進められそうな点に大きな期待が寄せられる。
つまり、"磁性化" という点に秘密があるわけだが、"ゼオライト" に "磁性" を持たせることで、セシウムを吸着したゼオライトのみを専用の機械で取り出すことが可能になったという点である。
福島県で開始された "実証実験" が奏功することを期待したい。
福島で除染実験を開始 愛媛大が磁性化ゼオライト開発/msn.産経ニュース/2012.07.13
■低コストでセシウム吸着
愛媛大農学部の逸見彰男教授らのグループは12日、ゼオライトという鉱石に強力な放射性セシウム吸着力を持たせた「磁性化ゼオライト」を開発し、福島県で実証実験を開始したと発表した。火力発電所の焼却灰を原料としているため低コストで、除染技術の普及が期待できるという。
ゼオライトは、陰イオンの電荷を帯び、陽イオンのセシウムを吸着するため、東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故以降、除染剤として注目を集めている。今回開発された磁性化ゼオライトは、結晶の穴がセシウムイオンとほぼ同じ大きさの0・36ナノ(ナノは10億分の1)メートルのため、セシウムだけを集めることができる。また、1キロ100~200円程度と低コストが特徴。
今回の技術では、セシウムを吸着したゼオライトのみを専用の機械で取り出すことが可能。逸見教授は「土壌が完全には破壊されないため、自然を残した形で除染できる」としている。機械は現在開発中で、実験に投入される予定という。
実験は、福島県南相馬市と伊達市の土壌30アールずつで実施。それぞれ1キロあたり8千ベクレル、3千ベクレルのセシウムが検出されているが、500ベクレル以下をめざす。逸見教授は「広い範囲で効率よく除染できるので、実験を成功させて福島県の復興に役立てれば」としている
( 福島で除染実験を開始 愛媛大が磁性化ゼオライト開発/msn.産経ニュース/2012.07.13 )
放射能汚染地域での "除染" 作業という課題は、帰宅許可がなされない地域住民の切なる希望であるとともに、より "効果的" な "除染" 作業を進めることでコスト圧縮を図ることは、国民に対する政府の責務の一つでもあろう。
政府は、こうした意欲的な研究開発に対して目敏く目を向ける真摯さや俊敏さをもっているのだろうか...... (2012.07.15)
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