"現在" という時点で最も "簡単なこと" は、"対症療法(たいしょうりょうほう)" で当面の辻褄を合せ、"問題自体を先送り" すること! であろう。
これは、まさに "政治家失格" の輩たちの常套手段でもある。だが、そんな政治家もどきを延命させてきた国民自身もまた "国民失格" だと言い添えなければならないのかもしれない......。
今、いろいろな意味で日本の社会が苦境に立っているのは、どうも過去における "問題自体を先送り" してきた一連のこうした経過が災いしていると思えてならない。
その傾向は、あれだこれだと特定できる以上に、"万事が万事" そうであったのかもしれず、むしろ "問題先送り体質" がこの日本社会を動かしてきたと言ってもあながち的外れではないような気がする。
この "問題先送り体質" はどのように形成されてきたかを考えるならば、"時が解決するに違いない!" ( c.f.「待てば海路の日和あり」 )という依存的な信念(?)= "盲信" に行き当たる......。
確かに、"時が解決する" ことが皆無だとは思わない。人の悲しみや苦痛を和らげる妙薬である "忘却" は、まさに"時が解決する" 好例であろう。
しかし、現代のグローバリズム世界は、"時を制すること" が勝因となる世界であり、"スピード感" ある対処法がすべてだという観さえある。全くの "ミスマッチ" なのだ。
したがってそんな状況下で、"時が解決する" といった悠長な判断基準に頼ることは、「座して死を待つ」に等しいことになる。
振り返れば、"時が解決する" かに "見えた時期" というのは、"右肩上がり" の高度経済成長期であったはずだ。
しかし、その時期には、矛盾自体を時間経過が解決したというよりも、"矛盾を成長が呑み込む!" というメカニズムでしかなかったと思われる。
にもかかわらず、"右肩上がり" の時期はもとより、経済低迷期に至っても、"時が解決する" という "盲信" ( = "問題先送り体質" )を延々と引き摺ってきた......。
今、これまでに "先送りされ続けてきた多くの問題" が一気に噴出し始めている。
その一つである恐い伏兵が、下記引用サイト記事:失業者放置 ツケは誰が 働けない 若者の危機 第1部 鳴り響く警鐘(3)/日本経済新聞/2012.07.18 の "若年失業者放置!" という問題である。
<ツケは幅広い世代が負うことになる>のは必定であり、この日本社会自体が耐えられるかどうかという水準の "時限爆弾(?)" のようなリスクだと思われる......。
失業者放置 ツケは誰が 働けない 若者の危機 第1部 鳴り響く警鐘(3)/日本経済新聞/2012.07.18
増える若い世代の失業者。放置すれば日本はしっぺ返しを食らう。
成田空港やその周辺のホテルで回収した廃食用油から環境に優しいバイオディーゼル燃料をつくり、空港への送迎バスで使う。循環型社会の構築を目指す「あぐり~ん」(千葉県芝山町)で燃料を精製し運ぶのが石井大介(29)と魚住亮輔(29)だ。
駆け込み寺閉鎖
2人は「若者自立塾」の卒業生。......仕事や通学をしないニートの就職を支援する組織だ。...... 卒業後、あぐり~んを紹介され働き始めて2年目。自信もついてきた。魚住は「工場長から技術を吸収したい。バイオ燃料を極める」と言う。
自立塾は厚生労働省が2005年に始めた。しかし09年、費用対効果が低いなどとして事業仕分けで廃止が決まった。年間費用は約6億円。入塾者は490人で、1人あたり約120万円。魚住らのような成功例だけではない。卒業6カ月後でも半数近くが職に就けない現実もある。
「面接を考えると不安だからアルバイトに応募しない」。...... 20~30歳代のニートらで開くグループワークでの声に、理事長の工藤啓は危機感を募らせる。「雇用問題の一番の処方箋はどんな形であれ働くこと。だがアルバイトに応募する意欲すら失った若者は少なくない」
15~34歳で約60万人いるといわれるニート。そのまま年を取れば、対策コストが膨らむ。総合研究開発機構の08年の試算では、バブル崩壊後、就職氷河期の影響を受けた35~44歳の中で老後の備えが十分でない77万人が65歳以降に生活保護受給者になる。累計で最大19兆3000億円の追加予算が必要で、主任研究員の辻明子は「状況がさらに悪化している」とみる。
非正規で働く人も厳しい。...... 地域の雇用を支えてきた自動車や家電産業は生産の海外移転などで雇用を圧縮。求人に合わせ職場を転々としてきた彼らに次のチャンスは少ない。
「企業は同じ能力なら若い人を選ぶ。高齢フリーターの採用はますます難しくなる」。SMBC日興証券エコノミストの宮前耕也は指摘する。
国の盛衰に直結
だが、このままでよいのだろうか。企業は固定費だった人件費を変動費にできる非正規雇用によって業績の安定を目指してきた。単年度では正しい選択でも、国全体で若者の就業機会が減ればスキルが乏しい人が増える。将来、企業が良い人材を欲しいと考えても見つけられなくなるかもしれない。
高い技術力やきめ細かなサービスなど、日本企業の強さを支えてきたのは人材だ。これらが揺らげば中国や韓国などの企業から一段と激しい追い上げを受ける。企業が弱れば日本経済も縮小し、中高年を含めて失業者が増え、給与水準も低下。高齢者を支える年金の原資も減る。ツケは幅広い世代が負うことになる。
若者に働きながら成長できる機会を与えないと企業も国も衰退する。日本はすでにそういう段階に入っている
。=敬称略( 失業者放置 ツケは誰が 働けない 若者の危機 第1部 鳴り響く警鐘(3)/日本経済新聞/2012.07.18 )
文字通りの "景気回復" は起こり得ないことを知りつつも、"時が解決する" とばかりに、この期に及んでも "問題自体を先送り" し続けるこの日本社会!
もちろん、"今だけを喰う!" 政治家もどきは "A級戦犯" ものであるが、"貴重な未来を質に入れ脅かして" でも "目先の帳尻合わせ" を目論む彼らを、実のところ泳がせているのはわれわれ国民以外ではない...... (2012.07.20)
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