「下手の考え休むに似たり」という格言がある。しかし、「下手な考え」は場合によっては "害毒" となることさえありそうだ。
ロンドン五輪でのアスリートたちの活躍を観ていると、競技での "最後の敵" は、外部の競合相手というよりも "自身内部の雑念"(「下手な考え」)なのかもしれない、と感じさせられる場面が多い。
感情や思考は、上手に活用されると当人の "能力" を発揮させるが、「下手に」介入されてしまうと、逆に "能力" 発揮の "ストッパー" 役に転じてしまうもののようだ。感情や思考は、アクションにとっては "諸刃の剣" のようである。
凡人の日常生活でも、"緊張" による失敗や、能力発揮とはやや異なるが、"不眠症" 気味で寝付けない症状などの足元では、意外とこの「下手な考え」の "渦" が災いしていそうである。
事ほど左様に、人の能力発揮(=自然体となること)のためには、「下手な考え」などを含む "ストッパー" から、如何にして上手に自由となるかが必須課題だと思われる。
<現状の凡庸なパワー水準は、脳の働きその他によって "抑制されている状態"(ストッパーが掛けられた状態?)であり、だから何らかの手立てでこの "ストッパー" を解除すれば、封印されていた「潜在能力」が立ち上がり、 "いきなりパワー・アップ!" も可能だ......、と。
確かに、「火事場の馬鹿力」ということわざを待つまでもなく、一理ある視点だとは思われる。日常生活での人間のパワーは、決して "Max" 水準ではなくて、いわば "エコノミー走行" 的水準に抑えられているようだから。>( サヴァン症候群:"脳によって抑制"された"潜在能力"を"解き放つ"!挑むのはリスキー!?( 当誌 2012.07.26 ) )
ことさら新しい視点でもなさそうだが、"音楽を聴きながら" という条件が、<アスリートの能力を向上させる効果>があるという。下記引用記事:音楽はアスリートの「合法的な麻薬」、能力向上を研究で証明/REUTERS/2012.08.03 は、そんな実証結果を報じている。
要するに、<ネガティブ思考>などの、<「思考はアスリートにとって最悪の敵」>であると判断され、それらを "遮断する" ところの<音楽は「アスリートにとって合法的な麻薬のようなもの」>とまで強調されることになるわけだ。
"競技への集中" を妨げるものとしての<ネガティブ思考>という図式は、実に分かりやすい。
音楽はアスリートの「合法的な麻薬」、能力向上を研究で証明/REUTERS/2012.08.03
[ロンドン 2日 ロイター] 開催中のロンドン五輪の競泳などでも、選手がヘッドフォンで音楽を聴きながら競技の開始を待つ姿が見られるが、音楽にはアスリートの能力を向上させる効果のあることが複数の研究で明らかとなっている。
スポーツ心理学者で、一流アスリートがどのように音楽を使用しているかを研究する世界有数の専門家であるCostas Karageorghis氏は、音楽は「アスリートにとって合法的な麻薬のようなもの」と表現する。
スポーツ心理学の専門誌に掲載された研究では、米歌手マドンナや英ロックバンド「クイーン」などの曲をランナーに聴かせたところ、走る距離や時間が伸びたという。別の研究でも、走行距離が18%伸び、音楽には持久運動能力を向上させる効果があることが実証された。
また、音楽にはアスリートを外部やネガティブ思考から遮断し、競技に集中させるという効果もある。Karageorghis氏は「思考はアスリートにとって最悪の敵」だとし、音楽は感情を効果的にコントロールする良い方法だと指摘した。
Karageorghis氏によると、アスリートがトレーニングや競技前に音楽を取り入れるようになったのは、1970年代後半にソニーの携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」が登場してから。「それ以来、音楽は爆発的に利用されるようになった」という。
( 音楽はアスリートの「合法的な麻薬」、能力向上を研究で証明/REUTERS/2012.08.03 )
翻って考えてみると、アスリートたちの世界に限らず、この(日本)社会(組織)には、<ネガティブ思考>を刺激し続ける "「下手な考え」の文化" が充満しているようにも見えてならない。それらを取っ払うことが、"新政策" を講じるよりも先のはずではなかろうか ...... (2012.08.04)
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