福島第1原発事故による放射性物質での汚染は、除染作業が進められてはいるというものの、対象地域は限られている。
その中でも、"森林" が多い福島県(約7割)での森林地域は、まだ "調査段階(以前)" のようだ。
その "森林" の汚染状態が見過ごせないのは、"落ち葉" が "くせもの" だという点である。
<調査点毎の落葉層と土壌の放射性セシウムの濃度を比較すると、ほぼ全ての地点で土壌の放射性セシウムの濃度より落葉層の放射性セシウムの濃度の方が高いことがわかりました。 >( 林野庁「福島県の森林における土壌等に含まれる放射性セシウムの濃度の測定結果について」/農林水産省/2012.03 )
田畑、農作物への影響についても、"森林の落葉層から滲み出る比較的線量の高い水が田畑に流れ込む" ことが懸念されてもいる。
こうした状況下で、福島県の森林各地の "線量計測" 調査(汚染マップ作り)が進められ、その調査には何と、 "野生猿" が一役買っているという。地元の "野生猿" たちが調査に "協力"(している、させられている)というのだ。"期間限定の調査スタッフ" とでも言うべきか。
その "仕組み" について、下記引用サイト記事:森の汚染:野生猿で線量計測 首に装置付け1カ月後回収/毎日新聞/2012.08.15 は興味深く報じている。
<汚染度の高い地域に生息する野生の猿を捕獲。猿の首に、線量計やGPS(全地球測位システム)などを備えた小型計測器を取り付けて山に放す。
約1カ月間、計測器に空間線量を記録した後、計測器を遠隔操作で取り外してデータを回収する。>
元より "野生猿" たちは、少なからず "被ばく" しているに違いなかろうが、地元森林の除染作業へとつながるこの調査に "協力" することはやぶさかではないと思われる......。
森の汚染:野生猿で線量計測 首に装置付け1カ月後回収/毎日新聞/2012.08.15
東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染された森林の実態を明らかにしようと、野生の猿を利用した汚染マップ作りを高橋隆行・福島大教授(ロボット工学)が計画している。
高橋教授は「森林の汚染を調べるのは難しく、まさに神ならぬ、『猿のみぞ知る』だ。詳細な調査のために一役買ってもらう」と期待を込める。福島県の7割を占める森林の汚染は、今も実態の把握が進んでいない。調査は、県鳥獣保護センターと共同で実施する。まず、旧計画的避難区域の飯舘村や警戒区域の浪江町など汚染度の高い地域に生息する野生の猿を捕獲。猿の首に、線量計やGPS(全地球測位システム)などを備えた小型計測器を取り付けて山に放す。
約1カ月間、計測器に空間線量を記録した後、計測器を遠隔操作で取り外してデータを回収する。高橋教授によると、猿は群れで行動し、平均約4ヘクタールを縄張りにする。1頭から始め、頭数を増やして範囲を広げたい考えだ。
"線量計(放射線の線量を測定する機器)" と言えば、人の世はどこまでも "薄汚れ" ていて、この間も、関係作業員携帯の "線量計" に小細工をして "被ばく隠し" をしてみたり、"線量計を携帯させず作業" をさせてみたり( 参照 東日本大震災:福島第1原発事故 東電社員が線量計携帯せず作業−−今年1月/毎日新聞/2012.08.07 )という報道があったものだ。動物たちの方が信頼できる時代なんですかねぇ ...... (2012.08.17)
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