この "濡れ衣を着せられ" 逮捕・起訴までされた事件! の恐ろしさは、運が悪ければ誰でもが陥れられるリスクのある点だ。ちょっとしたことでその不運は舞い込んで来る。
見知らぬメールを開けたり、信用できないサイトからの不注意なダウンロードなどによって、知らぬ間に、"ある種のウイルス" がパソコン内に侵入する。そして、そのウイルスが、悪意ある者による "遠隔操作" を手助けして、パソコン所有者を "犯罪者" に仕立て上げてしまう......。
いわゆる "ボット" ウイルスというとんでもない "悪性プログラム" である。
<ボットとは、コンピュータを悪用することを目的に作られたプログラムで、コンピュータが感染すると、インターネットを通じて悪意を持った第三者が、あなたのコンピュータを外部から遠隔操作することを目的として作成された悪性プログラムです。
感染すると、この悪意を持った攻撃者(以下、攻撃者)があなたのコンピュータを操り「迷惑メールの大量配信」、「特定サイトの攻撃」等の迷惑行為から、あなたのコンピュータ内の情報を盗み出す「スパイ活動」など深刻な被害をもたらします。
この操られる動作が、ロボット(Robot)に似ているところから、ボット(BOT)と呼ばれています。>( ボットとは/Cyber Clean Center )
これまでにも話題にはなっていたが、"今回の事件" は、この種の "ワナ" が一般の個人にも降り懸り、身に覚えのない "犯罪!" の張本人とさせられるという怖さをリアルに示している。
幸い、"無実" であることが判明して釈放されたものの、さまざまな面で被害を被ったことになる。
下記の【 引用記事 1 】/【 引用記事 2 】は、それらを報じている。"同一のボット・ウイルス" によって、"なりすまし" 的に "IPアドレス" が詐称され、犯罪に悪用されたという事件である。
"人騒がせ" という次元の話ではなく、人の人生を台無しにさえする "極悪犯罪!" なのだから、当局は、関係方面からの協力を得て、徹底的に真の犯罪者を追い詰めるべきである。
また、IT業界も、この種の犯罪を放置していたのではやがて "自滅" しかねないという危機感をもって、専門的な知恵を発揮した方が良さそうだ。
ユーザーとしては、先ずは "不用意なアクション" を控えることに徹し、"不審な仕掛け" には一切接近しないことだ......。
【 引用記事 1 】
HP書き込みで起訴の男性を釈放/NHK NEWS WEB/2012.10.07
大阪市のホームページに無差別殺人を予告する書き込みをしたとして、逮捕・起訴された男性について、大阪地方検察庁が事件と無関係の可能性が出てきたと判断し、男性が釈放されたことが分かりました。男性のパソコンに特殊なウイルスが感染し、第三者が遠隔操作して書き込める状態になっていたことが判明したためで、いったん起訴された被告が検察の判断で釈放されるのは異例なことです。
ことし7月、大阪市のホームページに「大量殺人をします。大阪・日本橋の歩行者天国にトラックで突っ込みます」と無差別殺人を予告する書き込みがされました。
警察はインターネット上の住所にあたる「IPアドレス」などをもとに、大阪・吹田市の42歳の男性が自分のパソコンで書き込んだと判断して、この男性を逮捕しました。
男性は「まったく身に覚えがない」と一貫して容疑を否認しましたが、大阪地検は偽計業務妨害の罪で起訴しました。
ところが、検察や警察関係者によりますと、その後、男性のパソコンが特殊なウイルスに感染し、第三者が遠隔操作してインターネット上に書き込みができる状態になっていたことが分かったということです。
大阪地検は男性が事件に無関係の可能性が出てきたと判断し、先月、裁判所に勾留の取り消しを請求し、男性は釈放されました。
検察は在宅での捜査を続けていますが、いったん起訴した被告について、みずから勾留の取り消しを求めるのは異例です。
今回の事件と同じIPアドレスからは、ことし8月、日本航空に「旅客機に爆発物を仕掛けた」という電子メールが送りつけられ、ニューヨークに向かっていた旅客機が成田空港に引き返すトラブルも起きています。......IPアドレスとは
インターネットに接続するパソコンや携帯端末には、それぞれ「IPアドレス」というネット上の住所にあたる番号が割り当てられています。
この番号を調べれば、インターネットの掲示板に書き込んだり、メールを送信したりしたパソコンなどを特定することが可能です。
一方で、他人の無線LANのアクセスポイントに接続したり、パソコンのネットワークの設定を書き換えたりすれば、本来とは別のIPアドレスになりすますことも可能です。
また、他人のパソコンをコンピューターウイルスに感染させて、別のパソコンから遠隔操作すれば、ネットワーク上に他人のパソコンのIPアドレスだけが残ります。専門家は
セキュリティー会社の杉浦隆幸社長は「IPアドレスからは個人を特定することもできるが、一方で、アドレスを詐称して他人になりすまこともできるため注意が必要だ。捜査に利用する場合には、パソコンに残るインターネットの閲覧履歴など、複数の情報とあわせて使用することが重要だ」と話しています。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
【 引用記事 2 】
<...... 警察関係者によりますと、( 上記記事中の )男性のパソコンが感染したのと同じウイルスは、三重県警察本部が先月14日に威力業務妨害の疑いで逮捕した27歳の男性のパソコンにも感染していたことが新たに分かりました。
この男性は、インターネットの掲示板に「伊勢神宮を爆破する」などと書き込んだとして逮捕されましたが、この男性が「身に覚えがない」と一貫して容疑を否認したほか、警察が詳しく調べたところ、この男性のパソコンに何者かが不正にアクセスし、男性のIPアドレスから掲示板に書き込みをした可能性があることが分かったということで、起訴はされず、逮捕から1週間後に釈放されたということです。パソコンに残っていた感染したウイルスのファイルの名前も、大阪と三重で同じだったということです。>( 遠隔操作ウイルス 三重でも男性釈放/NHK NEWS WEB/2012.10.07 )
"技術的な不透明" という壁が大であることは了解できる。が、どうも "サイバー犯罪" への抑止力が心もとないと感ぜざるを得ないのが現状だ ...... (2012.10.08)
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