その昔、ベトナム戦争下で "泣きながら裸で戦場を走る子ども" のその一枚の写真が、ベトナム戦争の実態のすべてを世界に訴えたものだった。こちらは戦争ではなく、東日本大震災で被害にあった犬の哀れな姿であり、カメラの方を見つめるその犬の目は、「どうしてこんな悲しいことになっちゃったの?」とでも訴えかけてくるようだ。
さらに憐れむべきは、早一年半以上経っても、被災した犬たちの身体の中には、恐怖と悲しみの記憶とも言うべきホルモン物質「コルチゾール」(ストレスホルモン)が<福島の犬のコルチゾール濃度は神奈川の犬の5~10倍>だという点である。(下記引用サイト記事:大震災、犬の心にも深い傷 ストレスホルモン5~10倍 福島で保護17匹を分析 麻布大チーム/msn.産経ニュース/2012.10.11 )
動物たちの体内(心)に深く沈潜する "後遺症!" という予想外の事実は、震災被災者たちに今なお消えやらぬであろう "深い悲しみ" の在り様を併せて照らし出さずにはおかない......。
大震災、犬の心にも深い傷 ストレスホルモン5~10倍 福島で保護17匹を分析 麻布大チーム/msn.産経ニュース/2012.10.11
東日本大震災後に福島県内で保護した犬から、ストレスを感じると分泌されるホルモン「コルチゾール」が犬の通常の5~10倍と高い濃度で検出されたと、麻布大(相模原市)のチームが11日付英科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。
震災でペットも大きなストレスを受けたことを示す結果。チームの茂木一孝准教授は「時間がたってもストレスが大きいままという結果が出て驚いた。犬は人との密接な関わりの中で過ごすのが幸せで、大震災で突然、飼い主との絆が断ち切られたのが影響しているのだろう」と話している。
チームは2011年5月と11月に、震災後に福島県内をさまよい同大で引き取った犬17匹の尿を分析。震災前に神奈川県内の保護施設から引き取った犬8匹と比較したところ、福島の犬のコルチゾール濃度は神奈川の犬の5~10倍だった。
◆参照 戦場カメラマンによる"フクシマ残された猫たち/ゆれるちいさな命たち" 動画も!( 当誌 2012.02.17 )
人間に依存するしか生きる術を持たないペットたちの "言葉無き苦悩" に接する時、人間たちの怠惰や見て見ぬふりが罪悪だと思えてくる ...... (2012.10.14)
コメントする