"うつ病" の患者数は増加の一途を辿り、日本では100万人を超えた(2009年12月)と言われ、世界でも驚くべき数に上っている。
<世界保健機関(WHO)は9日、世界で少なくとも3億5千万人が精神疾患であるうつ病の患者とみられるとの統計を発表した。毎年100万人近くの自殺者のうち、うつ病患者の占める割合は半数を超えるとみられている。>( うつ病患者、世界に3億5千万人 WHO推計/日本経済新聞/2012.10.10 )
現在、"うつ病" の治療薬には、抗うつ薬(SSRI など)が処方されているが、さらに有効な治療薬が求められていることは言うまでもない。
こうした状況下で、下記の【 引用記事 2 】:ストレス:シナプスに形成障害 岩手医大、分子メカニズム解明/岩手/[YAHOO JAPANニュース]毎日新聞/2012.10.18 は、"創薬" へと繋がる可能性を秘めた新たな研究成果が紹介されている。
下記の【 引用記事 1 】:うつ病治療.com によれば、"うつ病" の発症は、脳内の<脳内の神経伝達の混乱>によって引き起こされ、その<神経伝達>の役割を担っているのが<シナプス>だという。
つまり、<シナプス>間の "伝達" 異常が原因だとされる。
下記【 引用記事 2 】の研究は、この<シナプス>間の "伝達" 異常のメカニズムを、<細胞の大きさを制御するたんぱく質「カルデスモン」>との関係で解明した、というものである。
<脳内の神経伝達の混乱>自体のメカニズムに焦点を合わせた研究であり、<カルデスモン>( 祖父江憲治教授発見 )という新たな因子との関係が解明されたことにより、"うつ病" 治療薬開発の新しいステージが生まれつつあると言えるのか......。
【 引用記事 1 】
■抗うつ薬の脳内での作用について
うつ病は脳内の神経伝達の混乱によって,うつ病特有の症状を発症します.
まずは,脳内の神経がどのようになっているかを見てみましょう.図1は神経細胞の典型的な構造を表したものです.脳内には記憶や集中力を保ち,精神的に興奮させたり心を穏やかにしたるするために,個々の神経細胞どうしが連携をとっています.その連携場所がシナプスです.
シナプス間で行われている神経伝達物質 ......
一言で神経伝達物質と表現していますが,色々な物質があります.興奮をつかさどるアドレナリン.安らぎをつかさどるセロトニン.やる気を向上させるノルアドレナリンなどです.一般にうつ病などのメンタル疾患になると,これらの物質の伝達のコントロールが出来なくなっていると考えられています.
( うつ病治療.com )
【 引用記事 2 】
ストレス:シナプスに形成障害 岩手医大、分子メカニズム解明/岩手/[YAHOO JAPANニュース]毎日新聞/2012.10.18
岩手医大の祖父江憲治教授(神経科学専攻)らの研究グループは、ストレスにより、神経細胞間の情報伝達を担う「シナプス」に形成障害が起きる分子メカニズムを解明した。今後、うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの発症メカニズムの解明と治療法の開発につながることが期待されている。
論文は17日付で米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に掲載された。
祖父江教授らは81年、血管や気管などの平滑筋細胞で、細胞の大きさを制御するたんぱく質「カルデスモン」を発見。8年前からストレスの研究をしてきた。
今回の研究では、大きなストレスがかかると、神経細胞内のカルデスモンの動きが抑制され、シナプスが十分、肥大化しないことなどが明らかになった。ストレスからシナプスが肥大化せず、形成障害が起こる現象は知られていたが、ストレスにより出る物質と、カルデスモンとの関係やそのメカニズムについて解明されていなかった。
祖父江教授は同日、岩手医大の記者会見で「研究がすぐに治療薬に直結するかはまだこれからだが、いずれは創薬につなげたい」と述べた。【安藤いく子】
10月18日朝刊
恐らく、複雑な時代環境は、今後ますます "ストレス" 過多の環境を生み出し、そして人類を "うつ病" へと駆り立てる......。したがって、その "治療薬" 研究の加速も待ったなし! のはずだ ...... (2012.10.19)
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