"インターネット" にせよ、"GPS" システムにせよ、その出自が "軍事" 領域にあったことはよく知られている。
そして今、< 設計図となる3Dデータがあれば、立体物を簡単に製造できる「3Dプリンタ(三次元プリンタ)」>(下記引用サイト記事:「軍事用3Dプリンタ」が秒読み?ものづくり革命の波が米軍にも/YAHOO! JAPAN ニュース/2012.11.14 )が、その"軍事" 領域で注目を浴びている、という。
<3Dプリンタなどが持つ「時間と場所に依存せず製造ができる」という特性>が、<銃器の部品を始めとした、戦場で必要となる様々な備品類を供給すること>に "打って付け" だというわけなのだ。
しかも、昨日も強調したとおり、"3Dプリンター" の<"本領"(存在意義!)は、"パーソナル・ユース"( vs 大量生産)>=<パーソナル工作機械>という点なのであり、その "パーソナル・ユース" が "兵士" 個々人の臨機応変な行動と重ねられようとしている、という。
<兵士が最前線で必要最低限の部品類の製造を行えることを目的>とした"3Dプリンター" が、今、フォーカスされ始めている、というのである。
昨日の紹介記事( 携帯可能な"3Dプリンター"の動画!3Dプリンティングの実動作と、パーソナル化が納得!( 当誌 2012.11.15 ) )の<携帯可能な "3Dプリンター" >が、こうした "軍事的要請" と関係するのかどうかは別として、極めて "リアルな需要" と符合している点に関心がそそられるわけだ。
下記記事によれば、
<695ドル(約5万5千円)という安い価格で製造することができ、バックパックに入れて持ち運べるほどの大きさの3Dプリンタの開発>されているのだそうだ。
もちろん、"IT 機器" 自体に善悪が塗り込められるはずはなく、進化を遂げる "3Dプリンター" を、<被災地支援などの分野で、「現場で最も必要なものを、最も適切なタイミングで供給する」>というユースウェアで活用すればよいだけだ。
むしろ、"軍事" 領域で着目されるほどに、"3Dプリンター" という存在は、スピードを求める現代という時代環境にとって "存在価値" のある道具として位置づけられようとしている点に着目しておきたい......。
「軍事用3Dプリンタ」が秒読み?ものづくり革命の波が米軍にも/YAHOO! JAPAN ニュース/2012.11.14
兵士一人ひとりが「工場」を持ち歩き、必要なものを戦場でつくり出す時代に?
設計図となる3Dデータがあれば、立体物を簡単に製造できる「3Dプリンタ(三次元プリンタ)」。これまでも数百万~数千万円するハイエンドの機種が企業で活用されてきたが、最近になって、高性能ながら十数万円で手に入る個人用3Dプリンタが登場して注目を集めている。こうしたパーソナルな工作機械が普及すれば、新しい産業革命が起きるだろうと唱える人も少なくないが、3Dプリンタに興味を示しているのは企業や一般人ばかりではない。米軍もまた、ユニークな取り組みを始めている。例えばアフガニスタンには、およそ280万ドル(約2億2千万円)という予算を費やし、「エクスペディショナリー・ラボ(Expeditionary Lab)」と名付けられた実験施設が投入されている。これは6メートルの商用コンテナの中に、3DプリンタやCNC工作機械、プラズマカッターといった各種機器を収めたもので、電源と衛星通信まで備えられている。さらにそのままヘリコプターで輸送することが可能であり、まさに究極の「動く工場」といったところだろう。
このラボではプラスチック、鉄、アルミといった素材を使った製造が可能であり、銃器の部品を始めとした、戦場で必要となる様々な備品類を供給することを目的としている。もちろん素材まで現場で調達するというわけにはいかないのだが、逆に素材さえ備えておけば、正確な「需要予測」を行わずとも戦場で必要なものが、必要となったタイミングで製造できるわけである。しかも通信機能を備えているので、バックアップ部隊に適切なデザインを検討してもらい、逐次設計されたデザインを入手するということも可能だ。映画『アポロ13』で、事故を起こした宇宙船の中で必要な部品をつくるために、地上の支援チームが船内に残された材料だけでどう対応するかを考えるというシーンが登場するが、3Dプリンタを持ち込める状況であれば、このような危機にも即座に対応できるかもしれない。
しかしヘリで運べるとはいえ、さすがに巨大なコンテナを気軽に移動させるわけにはいかない。ということで、米軍は別の方向性での研究にも取り組んでいる。695ドル(約5万5千円)という安い価格で製造することができ、バックパックに入れて持ち運べるほどの大きさの3Dプリンタの開発だ。これは米アラバマ州にある宇宙ミサイル防衛コマンド(SMDC)で取り組まれているもので、兵士が最前線で必要最低限の部品類の製造を行えることを目的としている。持ち運び型ということで、作れる物品に限界はあるだろうが、戦場でも使用できるような耐久性のある3Dプリンタが開発されれば、他の様々な用途にも応用可能だろう。
その善悪は別にして、軍事分野はテクノロジーの進化に対して非常に大きな影響を与えてきた。パーソナル工作機械も例外ではなく、3Dプリンタなどが持つ「時間と場所に依存せず製造ができる」という特性が、今後さらに開発されてゆくことだろう。そこで鍛えられたテクノロジーによって、例えば被災地支援などの分野で、「現場で最も必要なものを、最も適切なタイミングで供給する」という状況を実現させることが可能になるかもしれない。
この記事を引用したのは、何も「軍事用3Dプリンタ」が好ましいとかどうとかいうわけでは毛頭ない。そうではなく、"軍事利用" が図られるほどに、"3Dプリンター" という "IT ツール" が、 "スピード性とパーソナル性" とが求められる現代環境において否応なく注目されるという点に目を向けたかったのである...... (2012.11.16)
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