今、"3Dプリンタ" という画期的な "生産ツール" が注目を集めている。
先ずは、下記の動画をご照覧あれ。こんなことまで "出来てしまうのか!" と驚くに違いない。
"3Dプリンタ" に直接的に関心を抱いたのは、この手の水準ではなく、もっと平易な "プリンタ" を知らされた時である。 TV番組で、盲人向けデジカメ云々という番組があり、出来上がったフォトを盲人の方たちが確認する方法として、凹凸のある写真を印刷する "プリンタ" が紹介されたのである。
そんな画期的な三次元構成の "プリンタ" があったのかと眼を見張った。
しかし、実は、これは序の口であり、現在注目されている"3Dプリンタ" とは、上記の動画のような、"3次元造形" を成し遂げてしまうまさに 画期的な "プリンタ" のことなのである。
元より、自分は "3次元造形" に興味があり、かつては "ポリゴン(polygon)" を駆使した "3次元コンピュータグラフィックス" の "簡易版" に傾注したことがあった。
しかし、そこでの "3次元" は、"2次元" のディスプレイ上での構成以外ではない。
ところが、現時点での "3次元造形" とは文字通りの"3次元" であるから眼を見張らざるを得ない。
そこで、今回は、現状の "3Dプリンタ" 事情を自身が理解するために、下記引用サイト記事:【 引用記事 1 】「(ネット 人類 未来)家庭から産業革命 3次元造形が迫る転換 第1部 巨大データの光と影(4)」/日本経済新聞/2012.09.29 / 【 引用記事 2 】「金型いらずで試作コスト10分の1に 3次元プリンターで試作型を作る(1)」/特集:3次元プリンター - 日本経済新聞/2011.11.25 を引用させていただくことにした。
【 引用記事 1 】
(ネット 人類 未来)家庭から産業革命 3次元造形が迫る転換 第1部 巨大データの光と影(4)/日本経済新聞/2012.09.29
慶応義塾大准教授の田中浩也(37)は自宅に小さな「工場」を持つ。インクジェットで樹脂を塗り重ね、立体物をつくる3次元(3D)プリンター。パソコンから設計図面を送れば、普通のプリンターと同じ感覚で「印刷」開始だ。
カバー毎日印刷
「欲しいものは自分で作ればいい」。田中はメーカーに問い合わせても入手できない洗濯機の部品を1時間で複製した。妻は好みのデザインで洋服のボタンを作る。
3次元データを無償公開する海外サイトにアクセスすれば、携帯電話カバーを気分に合わせて毎日印刷することも可能。インターネットを通じてモノをダウンロードする時代の先取りだ。
田中は昨年春、鎌倉市に「ファブラボ鎌倉」を開いた。ファブラボは40カ国145カ所にネットワークを持つ市民工房。小学生からお年寄りまでが集い3Dプリンターなどを使って日用品や玩具をつくる。「ネットがものづくりを個人の手に戻す」と田中は言う。
3Dプリンターが実用化されたのは1980年代の米国。すでに自動車や航空機の部品設計に使われていて価格は100万~1億円程度する。だが、最近は手ごろな値段の家庭用が登場、ものづくりの風景を一変させる可能性も出てきた。
3Dプリンターの草分け、米スリーディー・システムズが2月に発売した「Cube」。価格は1299ドル(約10万円)で利用者が設計した造形物のデータを共有。有償無償でダウンロードする仕組みも取り入れた。
「Cube」は米国でのネット限定販売。日本でもアニメのフィギュアなど愛好家に<口コミで広がり「米国から直接取り寄せる人が増えている」と日本法人事業本部長の宇野博(42)は話す。
3Dプリンターによる造形は日用品や模型にとどまらない。米国では自動車を丸ごと作る実験や生きた細胞から移植用臓器を製造する研究も進む。マサチューセッツ工科大では樹脂の代わりに食材を使って料理を印刷する技術を開発中だ。
第3次産業革命――。英エコノミストは今春、こんなテーマを特集した。18世紀英国での工場制機械工業、「T型フォード」に代表される20世紀初頭の大量生産方式。それに次ぐ産業革命をネットと3Dプリンターはもたらすと言う。
もちろん、技術的な課題はまだ多い。つくれる製品の種類や精度を高めるには時間がかかる。だがいずれ完成度が上がれば従来の大量生産の産業モデルからは大転換。革命の舞台が「家の中」に移っていく。労働力の安さで立地先を決める従来の製造業は将来、どんな変化を迫られるか。
好みに応じ生産
「アップルはいずれ3D印刷で顧客の好みに合った製品を作る」。ボストンコンサルティンググループのシニア・パートナー、太田直樹(44)は最近、そう予想している。
スマートフォンの「iPhone(アイフォーン)」は金型を使わず1台1台切削器で成型する。その設計思想は3Dプリンターに近く、「製造拠点が中国から世界中のアップルストアや、ネットとつながる24億人の家庭に変わる日が来るかも」と太田はみる。
米大統領のバラク・オバマ(51)は全米の小学校にファブラボを置くことを提案。一部で図工の授業に3Dプリンターを使い始めた。初等教育から植え付けるデジタル時代のものづくり。子どもたちが大きくなるころはもう当たり前になっているだろうか。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
【 引用記事 2 】
......3次元プリンタとは――材料と断面形状の作り方で大きく3つのタイプ
3次元プリンタは、ラピッド・プロトタイピング(RP)装置や3次元積層造形装置などとも呼ばれる。基本的に、3次元データを使って、3次元形状の断面形状を積み重ねて立体モデルを作製していく装置だ。明確な定義はないが、一般的にはRP装置や3次元積層装置の中で、比較的低価格で導入しやすいものが「3次元プリンタ」と呼称される場合が多い。
使用する材料や断面形状を作製する方法の違いで、3次元プリンタは大きく3つに分類できる。熱可塑性樹脂を使うタイプ、粉末材料を使うタイプ、液体の光硬化性樹脂を材料として使うタイプである。
熱可塑性樹脂を使うタイプでは、ヒータを内蔵した可動ヘッドの中でワイヤ状の材料を溶かしながら断面形状を作成し、これを3次元的に積み上げていく。試作する対象製品の材質がアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)やポリカーボネート(PC)といった熱可塑性樹脂の場合は、最終製品とほぼ同じ材質の試作品が得られる。
粉末材料を使うタイプは、断面形状をレーザによって焼結するものと、インクジェット・ノズルで接着剤を塗布するものに大きく分かれる。前者は金属や樹脂、砂などの材料を使え、後者は石膏(せっこう)やデンプンなどの粉末を利用する。
液体の光硬化性樹脂を材料として使うタイプでは、光源から発したレーザ光をガルバノミラーなどの可動鏡で反射させて高速に走査し、断面形状と同じ形に樹脂を固めるのが最も一般的な構成である。最近では、プロジェクタの投影機構を利用して断面を一括露光し、固める製品も登場した。光硬化性樹脂をインクジェット・ノズルから選択的に吐出する製品もある。
3次元プリンタでは断面形状を次々に積層していくという原理上、オーバーハング部があると作製中の立体モデルが重力で倒れてしまいかねない。このため、作製中に立体モデルを支える「サポート」も併せて作り込む必要がある(粉末材料を使うタイプで立体モデル周囲に満ちている粉末が支えになる場合を除く)。最終的に得たい立体モデルとサポートを切り離す後処理は不可欠だ。溶剤で溶けるサポートを採用する製品などもあるが、少なからず手間がかかることは知っておきたい。
(日経ものづくり 中山力)( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
冒頭の "プロモーション動画" を観る限りでは、如何にもノー・ストレスで仕上げていくような印象を受けるわけだが、<少なからず手間がかかることは知っておきたい>というのが、案外実情であるような気がする......。
"ものづくり" の奥儀は、やはり、そうイージーではあり得ない...... (2012.11.14)
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