"3D(三次元)プリンター" への急速な関心を喚起したのは、クリス・アンダーソン著『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』( 参照 デジタル化時代の"第3次産業革命"! デスクトップ&ガレージでの"ものづくり"最前線!( 当誌 2012.11.12 ) )であった。
<残念ながら、日本の従来型の "ものづくり" のステイタスが復活されることはなさそうに見える。だが、かと言って "ものづくり" 自体が消失することはあろうはずがない。
問われているのは、"この時代に適合した" ところの "ものづくり" とはどんなものなのか? ということであるに違いない。>
という問題意識に示唆を与えたのが、『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』であった。
そのクリス・アンダーソン氏の来日講演とセッションとを紹介しているのが、下記引用サイト記事:『MAKERS』のクリス・アンダーソンらが来日講演で語った「未来の製造業」【WIRED CONFERENCE 2012レポ】/ET エンジニア type/2012.11.12 である。
これまで「大きな工場」と「設計・開発の専門技術を持つ人材」、そして「流通インフラ」を持った大企業の特権だった製造業が、個人の手に渡ったとされるすでに起き始めている製造業の変化が、時代環境が提供する以下の3条件によって推し進められたと言う。まさに、21世紀の産業革命/未来の製造業のプロローグであるかのように。
<【1】 3Dプリンタやレーザーカッターのようなデジタル工作機械がデスクトップに置かれるようになり、専門知識を持たない人たちでもモノをデザインできるようになったこと。
【2】 デザインされたアイデアをオンラインのコミュニティで公開しながら、オープンイノベーションによって世界中の仲間と共創できるようになったこと(今は『Kickstarter』や『CAMPFIRE』といったクラウドファンディングを利用すれば製造資金ですらオンライン上で集めることが可能だ)。
【3】 世界中にある製造ソーシング会社をネット経由で利用すれば、そこで生まれたアイデアをクリック一つで低価格・小ロット生産することができる。>
どうも、より注意深く眼を向けるべきは、
<このメイカームーブメントで最も重要な変化はオープンイノベーションの台頭>( 上記の条件の【2】 )という点であるのかもしれない。
そして、<しかし、共創(コ・クリエイト)は伝統的な日本の製造業が苦手な部分でもある。(小林氏)>とされる点が、"日本の製造業" にとって、意外と大きな課題となるのかもしれない......。
『MAKERS』のクリス・アンダーソンらが来日講演で語った「未来の製造業」【WIRED CONFERENCE 2012レポ】/ET エンジニア type/2012.11.12
誰もが「メイカーズ=欲しいプロダクトを自ら作る人」になれる時代がもう来ている――。
「21世紀の産業革命」というセンセーショナルなキャッチコピーで話題を呼んでいる、クリス・アンダーソン氏の新著『MAKERS』。この本の発刊記念を兼ねて、11月9日に東京・六本木で『WIRED CONFERENCE 2012』が開催された。
300人が入る六本木ヒルズの会場が埋め尽くされたのは、やはり2001年から米『WIRED』編集長を務めているクリス・アンダーソン氏(退任報道も出ているが現在はまだ編集長)本人が来日したからだろう。
この日は、『ロングテール』、『フリー ~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』などの世界的ヒット著作を出してきた同氏が、新著『MAKERS』の内容に基づいて、すでに起き始めている製造業の変化について示唆した。
【1】 3Dプリンタやレーザーカッターのようなデジタル工作機械がデスクトップに置かれるようになり、専門知識を持たない人たちでもモノをデザインできるようになったこと。
【2】 デザインされたアイデアをオンラインのコミュニティで公開しながら、オープンイノベーションによって世界中の仲間と共創できるようになったこと(今は『Kickstarter』や『CAMPFIRE』といったクラウドファンディングを利用すれば製造資金ですらオンライン上で集めることが可能だ)。
【3】 世界中にある製造ソーシング会社をネット経由で利用すれば、そこで生まれたアイデアをクリック一つで低価格・小ロット生産することができる。
この3つの条件がそろったことで、これまで「大きな工場」と「設計・開発の専門技術を持つ人材」、そして「流通インフラ」を持った大企業の特権だった製造業が、個人の手に渡ったというのが本著の主張だ。
すでにソフトウエアやアプリケーション開発で起こっていたオープンソースの流れが、いよいよ物質的な世界(アンダーソン氏はこれを「アトムの世界」と呼ぶ)にもインパクトを与えるというわけだ。
「例えば米のTech Shop(アメリカ最大の工作機械レンタルチェーン)を利用すれば、誰もが3Dプリンタやレーザーカッターを使って創作できる時代が来ている。つまり、誰もがプロダクトデザイナーになれる時代が来たのだ」
「その証拠に、わたし自身が5年前からMAKERSとなり、今後は『WIRED』編集長を辞め、自ら立ち上げたラジコン飛行機制作会社3D Robotics社で起業家としての生活を送る。これは5年前には想像もできなかったことだ。専門技術を持たないわたしにできるのであれば、皆ができる」(ともにアンダーソン氏)
■ メイカームーブメントは日本の今後にどう影響を及ぼすのか
では、アンダーソン氏が提唱するメイカームーブメントは、限定的な流行にとどまらず、本当に産業革命を起こすのか。
カンファレンス当日は、すでにこのムーブメントを構成する要素にかかわっている主要人物たちが、講演とトークセッションを通じて今後の産業のあり方を議論した。
参加したのは、中国を拠点にグローバルな製造ソーシング会社を展開しているリアム・ケイシー氏(PCHインターナショナル代表)、米Creativity誌が選ぶ「世界で最も影響のある50人」に入ったこともある日本人クリエイターのレイ・イナモト氏(AKQAバイス・プレジデント)、ファブラボジャパンの発起人である田中浩也氏(慶應義塾大学環境情報学部・准教授)など。
会の最後に行われたトークセッションでは、日本のクリエイティブ・ラボとして有名なライゾマティクスの齋藤精一氏や、日本版『WIRED』のエディトリアル・アドバイザーも務めるインフォバーン代表の小林弘人氏らも登場し、「今後の製造業のあり方」について討論が行われた。
中でも印象的だったのは、「製造業大国」と呼ばれてきた日本が持つ可能性と、メイカーズの時代における課題だ。
「このメイカームーブメントで最も重要な変化はオープンイノベーションの台頭。しかし、共創(コ・クリエイト)は伝統的な日本の製造業が苦手な部分でもある」(小林氏)
「日本は世界で最もデジタルでつながっている国だから大きな可能性がある」(リアム氏)一方で、「ハード&ソフトの融合が今後の産業のカギを握る中で、世界的に見れば日本はソフトウエアの開発力の方が問題だと思う。日本人技術者はメチャクチャ優秀なのにもったいない」(レイ氏)
などといった指摘が繰り広げられた。
メイカームーブメントの提唱者であるアンダーソン氏自身も、「クラウドファンディングなども生まれてモノを生み出すフェーズはものすごい進化を遂げたが、今後の課題はスケーリングにある」と話す。
「産業化までに越えなければならない壁はあるが、とにかく日本からも新時代の"メイカーズ・ヒーロー"が出てきてほしい」とアンダーソン氏が語るように、これまでのやり方では突破口を見出せない状態が続く日本の製造業を新しいフェーズに導く改革者はどうすれば出てくるのだろうか。
そのための示唆をアンダーソン氏に直接聞いた単独インタビュー記事はコチラになるので、合わせて読んでほしい。
取材・文/伊藤健吾 撮影/小禄卓也(ともに編集部)
取材協力/コンデナスト・ジャパン&『WIRED』編集部
"日本の製造業" と、<共創(コ・クリエイト)>との関係に眼を向ける時、何か、"本質的な問題" が見えてくるような気がする。
"日本の製造業" は、"内( claused なエリア)" では "協調" が見事に実践されつつも、"対外的( open なエリア)" には必ずしも "ネットワーキング" が上手くなかった点! これは、日本の "優れたPC" の生産が、海外勢の "低コストPC" にその座を譲らざるを得なかった過去の経緯を振り返っても気づかされるところではなかろうか...... (2012.11.21)
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