ジョブズ氏亡き後、直後から何かと懸念されていたこととは言え、<アップルの株価は今年9月19日をピークに、しばらく下落が続いている>( 下記引用サイト記事:アップルにお家騒動!? 米メディアは同社の将来に悲観的論調/現代ビジネス - ITトレンド・セレクト/2012.11.01 )事実と併せて考慮するならば、いささか気になる。
今回の<今週頭に発表されたアップルの人事異動が異例の注目を浴びている>という点である。
<フォーストール氏の退社は、関係者にはショッキングだったようだ。同氏はかつてスティーブ・ジョブズ氏の後継者と目されたほどの実力者/ アップルのソフトウエア開発責任者として、(マッキントッシュの基本ソフトである) OS Ⅹや(アイフォーンやアイパッドの基本ソフトである)iOSなどの開発で中心的な役割を果たした>とあるからだ。
確かに一際目を引き、アップルらしからぬ "失敗" として周知の事実となっていた<最近のアイフォーン5における地図アプリの失敗>が、同氏の責任だとするならば頷けないでもない......。
しかし、大方の懸念は、前述の "下落が続いている" この時期、さらに言えば "アップルの革新性" が問われ始めてもいるこの時期( 参照 "7inch iPadミニ"発売に対するプロの眼は厳しい!それは"革新なきアップル"を暗示?( 当誌 2012.10.20 ) )に起きた出来事であるだけに殊更に注目を浴びているのであろう......。
アップルにお家騒動!? 米メディアは同社の将来に悲観的論調/現代ビジネス - ITトレンド・セレクト/2012.11.01
地図アプリのデモンストレーションをするスコット・フォーストール氏〔PHOTO〕gettyimages
今週頭に発表されたアップルの人事異動が異例の注目を浴びている。同社の上級副社長としてアイフォーンやアイパッドの成功に大きく貢献した、スコット・フォーストール(Scott Forstall)氏が退社することが明らかにされたからだ。同氏と共に、アップルの小売業務の責任者であるジョン・ブロウェット(John Browett)氏の退社も発表された。
米経済誌のフォーチュンは(そのホームページ上で)今回の人事異動を、「スティーブ・ジョブズ氏が1997年に(当時のアップルCEOである)ギル・アメリオ氏を追放して以来、最大のものかもしれない」と評している。またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今回の動きを(iPhoneやiPadにかけて)「iStorm(アップル人事の嵐)」と呼んでいる。
■ ジョブズ氏の後継者と目された人物の評判とは
今回退社する二人のうち、ブロウェット氏の方は以前から「アップルで働くほどの実力はない」とみなされていたため、今回の発表はむしろ当然と受け止められた。しかしフォーストール氏の退社は、関係者にはショッキングだったようだ。同氏はかつてスティーブ・ジョブズ氏の後継者と目されたほどの実力者だったが、最近のアイフォーン5における地図アプリの失敗などの責任を取らされた形だ。
米主要紙の報道では、アップルはフォーストール氏に、この失敗をユーザーに謝罪する公開状に署名するよう求めたが、同氏がこれを拒んだため、事実上の解雇に至ったという(フォーストール氏は来年のいずれかの時点までアップルに顧問職のような形でとどまるが、その後、同社を正式に去ることが決まっている)。
ただし地図アプリが失敗する以前から、フォーストール氏はアップル社内での人間関係がぎくしゃくしており、同輩や部下との衝突が絶えなかった。同氏は今年に入ると、これまで保有していたアップル株のほぼ全てを売却してしまったという。
■ 強大なソフト開発権限は分権委譲される
フォーストール氏は、かつてジョブズ氏が設立したネクスト社のソフトウエア技術者だったが、1997年に同社がアップルに買収された際、ジョブズ氏と共にアップルに移籍。以来、アップルのソフトウエア開発責任者として、(マッキントッシュの基本ソフトである) OS Ⅹや(アイフォーンやアイパッドの基本ソフトである)iOSなどの開発で中心的な役割を果たしたとされる。
これらのソフトウエアが、かつて低迷していたアップルを復活させ、その後の急成長をもたらす立役者となったことを考えると、確かに今回の人事異動は大きなものと考えざるを得ない。
フォーストール氏の退任に伴い、同氏がこれまで担ってきた強大な権限は、複数の上級社員に分権委譲されるという。
たとえばOS ⅩとiOSの責任者にはCraig Federighi氏、地図アプリと音声操作Siriの責任者にはEddy Cue氏、またヒューマン・インタフェース(ユーザー・インタフェースの別称)の総責任者には、かつてジョブズ氏に次ぐ「アップルの顔」と言われたジョナサン・アイブ(Jonathan Ive)氏が任命された。
■ 社内抗争劇との見方もある
特に注目されたのはアイブ氏の事実上の昇進だ。同氏は工業デザイナー、つまりアップル製品のハードウエア・デザインが本職だが、今回の異動によってハードのみならずソフト面も含め、ヒューマン・インタフェース全般を指揮するようになると見られている。
フォーストール氏とアイブ氏は以前から仲が悪く、今回の人事異動はアイブ氏がフォーストール氏との社内抗争に勝ったようなものだという見方もある。
米主要メディアの幾つかは、今回の人事異動を「一種のお家騒動」的に捉えるなど、どちらかというと悲観的に見ている。特にフォーチュン誌は、ここ2連続四半期に渡ってアップルの業績発表が事前の予想を下回っていることなどと合わせ、アップルの将来に対する厳しい見通しの論調となっている。
単なる偶然かもしれないが、アップルの株価は今年9月19日をピークに、しばらく下落が続いている。これまで常に、ユーザーや業界関係者からの熱い期待に応えてきた同社だが、少しづつ衰退の兆しが見え始めているのかもしれない。
別コラムであるが、以下のような論評が気になるといえば気になった。
<過去十年のアップルの成功は、アートとエンジニアリングのバランスを維持するという類まれな能力によるものだ。幹部間の内紛は、そのバランスが損なわれ、アップルが普通のテクノロジー企業になることを暗示する最初のサインなのかもしれない。>( コラム:米アップル「内紛」、黄金時代終えんの兆候か/REUTERS/2012.11.01 ) ...... (2012.11.03)
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