"自閉症" という障害を世に知らしめたのは、かつての映画『レインマン』( 1988年、米、ダスティン・ホフマン/トム・クルーズ主演 )だ。
"自閉症" ( 正確には "サヴァン症候群" )の主人公が、驚異的な記憶力の発揮で周囲の目を引くという話だ。
それはともかくとして、「周囲との交流困難」「言語発達の遅れ」「限定的な興味の対象・動作の反復性」などを特徴的な症状とする "自閉症" は、"生得的な脳の機能障害" を原因とする障害だという。
大人の性格や行動様式を揶揄して使われる "自閉症" 的云々というものとは事情が異なり、通常3歳頃までに顕著になる "生得的な障害" だと言われている。しかも、現在、最も発症率の高い障害(1万人に4~5人)であることから、数多くの親御さんたちが苦しんでいるようである。
根強く残っている "誤解" に、虐待や過保護を原因とする「母原病」説や、強い心理的ショックによるものとする説があるのに対して、"自閉症" は "生得的な脳の機能障害" とする説が妥当だとされる。
しかし、"生得的な脳の機能障害" であるとすれば、"遺伝子" のどの部分にその原因が潜むのかが特定されなければならない。が、これまではこの点が定かではなかったようである。
下記引用サイト記事:自閉症の原因遺伝子特定 自治医大などの研究チーム/下野新聞 SOON/2013.01.06 によれば、<自閉症の要因となる原因遺伝子が特定> され、その点が解明されたという。
<発達障害の一つである自閉症を研究する自治医大の桃井真里子主任教授(小児科学)の研究チームは5日までに、脳内の神経伝達物質の代謝に関わる自閉症の新たな原因遺伝子を特定した。日米の患者約300人のDNAを解析した結果、「GPR37」と呼ばれる遺伝子が10人で変異していることを発見、この変異が細胞機能に悪影響を与えることを突き止めた。>
"原因遺伝子の特定" という成果から、"新たな治療薬の開発" につながるとの期待が高まる模様だ......。
自閉症の原因遺伝子特定 自治医大などの研究チーム/下野新聞 SOON/2013.01.06
発達障害の一つである自閉症を研究する自治医大の桃井真里子主任教授(小児科学)の研究チームは5日までに、脳内の神経伝達物質の代謝に関わる自閉症の新たな原因遺伝子を特定した。日米の患者約300人のDNAを解析した結果、「GPR37」と呼ばれる遺伝子が10人で変異していることを発見、この変異が細胞機能に悪影響を与えることを突き止めた。自閉症の要因となる原因遺伝子が特定されたことで、新たな治療薬の開発につながることなどが期待される。
国際医療福祉大基礎医学研究センターの桃井隆センター長との共同研究。2012年12月に米科学誌「プロスワン」で発表した。
研究チームは日本人と米国人の患者計約300人の血液を採取しDNAを解析。健常者と比較したところ、7家系10人の患者のGPR37に一定の変異が見つかった。変異した遺伝子を培養した細胞に導入すると、細胞に悪影響が出ることが分かった。
GPR37は脳内の神経細胞間の伝達部分である「シナプス」の膜の上で、神経伝達物質「ドーパミン」の代謝に関与する。GPR37の変異がドーパミンの関連した脳機能不全を引き起こすと推定されるという。
<GPR37は脳内の神経細胞間の伝達部分である「シナプス」の膜の上で、神経伝達物質「ドーパミン」の代謝に関与する> という点からは、上記記事での研究が、"自閉症" のみならず他の "脳機能障害" の解明にも少なからず貢献する可能性があるように思われ、期待が尽きない...... (2013.01.07)
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