先日、元は "IT業界" で働いていたシステム技術者で、現在 "介護士" の資格を取得中である人と話す機会があった。
その人の実感のこもった発言で注目したのは、以下の点であった。
「まだ10代の若い子たちと一緒に学んでいるんだけれど、あの子たちに "介護" に馴染めと言ってもムリなのかもしれない。すぐに辞めてしまうと批判しがちだけれど、しょうがないのかも......。
もともと、"重労働" だし......。"老いる" ことに実感が伴わない若い子たちに馴染めと言う方がムリを言っているような気がする。」
なるほど、そうかもしれないと気づかされた。ここにも、"介護" 人材不足に関するシビァな隘路がありそうだ、と。
しかし、"介護" 分野の労働条件改善も行き詰まっているようであるし、海外勢の参入も困難なのが実情だと聞く。"人手不足" の度が深まれば、事態はさらに悪化してゆくと推測される。
大概の人がこうした事情に通じてもいるので、受け側が「介護ロボット」導入に肯定的であることは容易に想像されることではないか。
冷静に考えれば、「介護ロボット」などを積極的に活用するほかないのではなかろうか......。分かり切ったことのように思える。
こうした実情に多少の苛立ちを覚えるのは、"老齢化" の広がりが、待ったなしで進行しているにもかかわらず、「介護ロボット」活用の普及が遅れていること、さらに言えば、"介護" サービスに関する行政のあり方が悠長過ぎるかに見える点にありそうだ。
下記引用サイト記事:介護ロボット:8割が肯定的 「気を使わないから」/毎日jp/2013.01.05 によれば、
<介護ロボットの大部分が介護保険の適用外となっており、高額の費用負担が求められることなどから、現場ではまだほとんど使われていないのが実情>
とあり、しかも、公的支援の規模にしても<13年度予算概算要求に8300万円> という "申し訳程度" のようだから、介護サービスの領域における悪化した事態の改善には程遠い印象だ......。
介護ロボット:8割が肯定的 「気を使わないから」/毎日jp/2013.01.05
自分の介護を「介護ロボット」にやってもらってもいい−−。こう考えている人が8割近くに上ったことが、有料老人ホームなどを運営する「オリックス・リビング」(東京都港区)の調査で分かった。介護職員の慢性的な人手不足を受け、介護を人に頼むことへのためらいが背景にあるようだ。
調査は昨年10月、全国の40代以上の男女1238人を対象に行われた。介護ロボットによる身体介護を「積極的に受けたい」「受けてもよい」と回答したのは男性78.7%、女性73.6%。年齢別にみると、50代男性では84.6%が介護ロボットに肯定的な回答を寄せた。
介護ロボットに肯定的な人に理由を聞くと、約9割が「ロボットは気を使わないから」「本当は人の手がいいが、気を使うから」と回答。心理的な負担の軽さを理由に挙げた。
厚生労働省は経済産業省と協力して、介護ロボットの開発と導入を進めている。ただ、介護現場には「人の手による介護が一番」という考えが浸透していることに加え、介護ロボットの大部分が介護保険の適用外となっており、高額の費用負担が求められることなどから、現場ではまだほとんど使われていないのが実情だ。一方、介護現場では職員の約7割が腰痛に悩んでいるという。
厚労省は、開発メーカーと実証実験の場を提供する介護施設を橋渡しするため、13年度予算概算要求に8300万円を盛り込んだ。介護保険への適用拡大も、必要に応じて検討するという。
昨年10月から移乗用リフトを導入した千葉市の有料老人ホーム副介護長の郡山由紀さんは「利用者の中には、最初は機械の使用に不安を示す人もいたが、使い続けるうちに人手による移乗よりも身体も気持ちも楽だと気付いたようだ。今ではリフトはなくてはならないものになっている」と話す。
一方、日本ノーリフト協会の保田淳子代表は「福祉用具の活用が当然という国もあり、職員の腰痛予防に機器やロボットは役立つが、使いこなすには理念を持つことと、職員の教育が重要だ」と指摘している。【中村かさね】
承知のように、"年金制度" は杜撰そのものであり、加えて "介護" に関しても不安をしか感じさせない状態なのだから、この国の "少子高齢化" 対策はまったく "丸腰" の "大失敗" でしかなかったということになる。
振り返るべきは、こうした現状となることが分かっていながら "問題先送り" を重ねてきた政治だと言うべきか...... (2013.01.06)
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