米アップルが、"腕時計のような機器" の開発に意を注いでいそうだ......、という記事に先日関心を向けてみた。
◆ 参照 "アップル、腕時計のような機器を試験的に開発中"?! Next iPhoneは"身体活動の測定"?( 当誌 2013.02.12 )
ただし、そう書きながらも、何となく釈然としない気分に染まっていたことが否めないでいた。
こうした記事に接した多くの "アップル・ファン" が、たぶん、同様の気分に浸されていたのではないかとも思う。
アップルが、次に仕掛ける対象はそんな平凡なものではないはずだ! とばかりに。
しかし、アップルが今迎えている状況は、そうした "われわれの素朴な期待" が託せるような "見通し" の良いものでもなさそうである。
下記引用サイト記事:アップルも探る 「スマホの次」は何か? 産業部次長 中山淳史/日本経済新聞/2013.02.13 では、そうした "不透明さ" に焦点を合わせている。
<スマホの次は何か。アップルでさえ、大問題である。
先が見通しにくいのは、再定義の対象が枯渇しつつあるためでもある。iPodやiPhoneはラジカセや携帯電話をアップル流に作り直して成功した事例だ。すでにあるものの再創造はテレビ(が出たとして)でほぼ一巡し、アップルにとっても、他のメーカーにとっても未踏の領域を、これからは歩かなくてはいけなくなる> と。
こうした<未踏の領域>への挑戦はいつの時代も同じである! と開き直ることも可能ではあろうが、"未曾有" の "ピーク超え" をしたばかりのアップルにとっては、想像を絶する "キツさ" があるに違いなかろう......。
で、少なくない者が思いを巡らせるように、<「スマホの次」は人と人のコミュニケーションを取り持つだけではないかもしれない>と、記事の筆者も、"インターネットがつなげる対象" を "人と人のコミュニケーション" 分野から目を転じて、"モノとモノ" の分野に着目しようとしている。
<「インターネット・オブ・シングズ」と呼ぶ、人以外のあらゆるものとインターネットをつなげる構想/ つなげるのは、車や家、インフラなど何でもあり/ モノとモノが加わると、「次」の市場は5~10年で400億~500億台規模に膨張する可能性がある> とばかりに。
しかも、 "ネットワーク" 自体 には、"利益が出せる可能性(?)" が見込める点から、<ネットワークを活用したビジネスモデルがますます求められていく> はずだと......。
と言われたところで、今のところナルホドという実感が湧くには至らないのであるが、果たしてどんな展開が繰り広げられて行くのであろうか......。
アップルも探る 「スマホの次」は何か? 産業部次長 中山淳史/日本経済新聞/2013.02.13
IT産業の新陳代謝を感じさせるニュースが続いている。
米パソコン大手のデルが株式非公開企業になると発表し、パソコンがスマートフォン(スマホ)に敗れつつある現実を改めて印象づけた。一方で、スマホの覇者であるアップルの好業績にも一服感が出ており、iPhone(アイフォーン)が少しずつ陳腐化している懸念も浮き彫りにした。
アップルが終わるわけではない。だが、「最盛期は過ぎた」とする英エコノミスト誌の論評はもっともだ。最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏は中国で7億人の利用者を抱える中国移動通信集団(チャイナモバイル)との商談を進めているとされる。
噂されているアイフォーンの低価格機が本当に出てきて、アップルの市場が中国に本格的に広がっていくとしてもあくまで規模が少し大きくなるだけだ。創造的破壊の連続で驚異の成長を続けてきたアップルはやはり、以前とは違って見えつつある。
■「テレビ」ではインパクトが弱い?
アップルが準備中とされるテレビが出てきたとしよう。楽しみにしている人は多いはずだ。だが、テレビそのものの性能や画面の大きさ、デザインは今売られている韓国や日本勢の製品でもかなりの水準に達している。価格競争もテレビはスマホの比ではない。第一、アップルはすでに販売中のセットトップボックス事業が芳しくない。アップル株の株価収益率(PER)は10%台前半で、まだ割安だといわれているが、テレビが出てきただけで過去の高値を果たして更新できるだろうか。
スマホの次は何か。アップルでさえ、大問題である。
先が見通しにくいのは、再定義の対象が枯渇しつつあるためでもある。iPodやiPhoneはラジカセや携帯電話をアップル流に作り直して成功した事例だ。すでにあるものの再創造はテレビ(が出たとして)でほぼ一巡し、アップルにとっても、他のメーカーにとっても未踏の領域を、これからは歩かなくてはいけなくなる。
少なくとも、われわれにとって最も身近なスマホを代替する存在は10年後、タッチスクリーンを採用した端末ではなくなる可能性が高いという。例えば、米グーグルが試作品を昨年公表したのはめがね型のディスプレー。このタイプは、今年の米家電見本市の「CES」でもビュージックスという米企業が製品化して展示。アップルも実用化に向けて関連特許の取得を急いでいるという。
■人以外のものをネットでつなげる構想
一方、「スマホの次」は人と人のコミュニケーションを取り持つだけではないかもしれない。米半導体大手のクアルコムは最近、「インターネット・オブ・シングズ」と呼ぶ、人以外のあらゆるものとインターネットをつなげる構想を打ち出している。つなげるのは、車や家、インフラなど何でもありだ。日経ビジネスの1月28日号によれば、人類の数は70億人だが、モノとモノが加わると、「次」の市場は5~10年で400億~500億台規模に膨張する可能性があるという。
いずれにしても、参入企業が増えていくのは間違いない。端末側はiPhoneのときのように何年間も「独壇場」でいられる可能性は小さく、コモディティー化との戦いになる公算が強い。
では、どこで利益を出していくか。半導体の経験則である「ムーアの法則」によれば、半導体のコストは毎年4割近く低下するが、同じ号の日経ビジネスによれば、ネットワークのコストは高速化などによって年間6割も低減している。端末より、ネットワークを活用したビジネスモデルがますます求められていくのは、言うまでもない。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
どうも昨今は、いろいろな分野で"一服感" という言葉にしばしば行き当たる感触がある......。
"一服" しなければ、持続できずに燃え尽きてしまうという安全弁が働いているのであろうか......。
アップルのみならず、時代環境そのものがそうした局面にあるのだと見なして "腰を据えてみる" のも一手なのかもしれない...... (2013.02.14)
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