為替相場を巧妙に操る "アベノミクス" が、過剰な期待のみを醸し出し結果が不透明な "アベノマジック" で終わるのではないかという懸念については、国会の委員会での民主党からの "皮肉" だけで終わって欲しいものである。
この間、"アベノミクス" についての自分なりの "批判的吟味" は、今月に入ってからだけでも下記のように行ってきた。
◆ 参照 "円安/株高"一喜一憂よりも、失業問題改善をこそ!"孤立無業"が"無縁社会"を深刻に!( 当誌 2013.02.19 )
◆ 参照 勝手に期待していては危ない"アベノミクス"!生活に直結する"雇用・賃金"の行方は?( 当誌 2011.02.15 )
◆ 参照 アベノミクス株高!" リフレ政策=マネタイゼーション"による"バブルの危険性"要警戒!( 当誌 2013.02.07 )
◆ 参照 アベノミクス"円安効果"への評価は、期待一色の"総論"からリアルでシビァな"各論"へ!( 当誌 2013.02.04 )
◆ 参照 "円安・株上昇"あれど不況脱出は程遠い!失業率悪化!新規雇用生む気配ない景気現状!( 当誌 2013.02.02 )
日本経済の心細い実態や、この国の桁外れに荒れた "借金財政" 状況を念頭に置くと、"アベノミクス" という "浮名" ばかりが先行する、安倍政権での経済政策が心配でならないからである。
下記引用サイト記事:アベノマジックで終わらぬように 編集委員 小竹洋之/日本経済新聞/2013.02.21 は、これまでの解説を超えた新しい視点があるというわけではないのだが、上手く整理した叙述だと思えた。
"アベノミクス" には、"アベノマジック" という "皮肉"(汚名) を寄せ付ける側面がありそうだとの視点から、<期待がいくぶん先行気味> であることを指摘しつつ、これを払拭するにはどうしても<中身の濃い成長戦略が不可欠> だと、まさに "正論" を展開している。たぶん、これは、ほぼ大方の識者の共通した見解ではないかと思われた。
今後、為替相場をめぐる国際的な波風も起こるであろうし、国民生活の面での "円安関連の不都合"(諸物価高騰など)も巻き起こる......。
"円安/株高" 局面は、要するに "時間稼ぎ" なのだと割り切った上で、次の手、<中身の濃い成長戦略> こそが本格的に手掛けられなければならない、と思われる......。
アベノマジックで終わらぬように 編集委員 小竹洋之/日本経済新聞/2013.02.21
「総理がやっているのはアベノミクスではなく、アベノマジックじゃないですか。国民に期待を持たせているだけで、実態の政策はまったく変わっていない」。2月18日の参院予算委員会。民主党の小川敏夫議員が安倍晋三首相の経済政策をやり玉に挙げた。......
■ 期待がいくぶん先行気味
ただアベノミクスに対する期待がいくぶん先行気味なのも事実だろう。金融緩和と財政出動で目先の景気を下支えするだけでなく、日本経済の再生につながる本格的な成長戦略を打ち出せるのか。小手先の政策対応で乗り切れるほど、現実は甘くない。
日本経済研究センターが集計した民間エコノミスト40人の平均予測によると、日本の実質成長率は12年度の1.1%から、13年度には2.0%に上昇する。世界経済の持ち直しや円安・株高の恩恵、景気対策の効果、消費増税を控えた駆け込み需要などが重なるためだ。
これに対して14年度の実質成長率は0.3%まで低下する
。「景気後退局面に陥る可能性は低い」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)との見方が多いとはいえ、消費増税の影響と景気対策の反動が重荷になるのは避けられない。2月15~16日にモスクワで開いた20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議。アベノミクスに「円安誘導」のレッテルを張るのは避けたものの、強力な金融緩和の目的が円相場の押し下げにあるという欧州や新興国の不満は根強い。
■ 中身の濃い成長戦略が不可欠
国と地方の合計で13年度末に977兆円に達する長期債務残高の大きさを考えれば、財政出動に頼り続けるわけにもいかないだろう。景気回復の期待を一時的にあおるだけの「アベノマジック」に終わらぬようにするには、中身の濃い成長戦略がどうしても要る。
2月7日、国際通貨基金(IMF)が東京都内で日本経済のセミナーを開いた。ここでの結論も「成長力を高めるための包括的なパッケージが欠かせない」というものだった。
IMFのステファン・ダニンジャー日本担当課長は1980年代以降の先進国で、潜在成長率を10年間かけて1ポイント以上高めた7カ国の事例を分析した。オランダやスウェーデン、カナダを含む該当国の政策対応は様々で、「成長戦略に魔法のつえはない」という。
ただし0%台といわれる日本の潜在成長率を1ポイント高めることは可能だと話していた。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加、女性や高齢者の労働力確保、規制緩和の推進、リスクマネーの拡大......。こうした成長戦略と金融緩和、健全な財政政策に同時に取り組むのが条件である。
米スタンフォード大の星岳雄教授と米シカゴ大のアニル・カシャップ教授も共著「何が日本の経済成長を止めたのか」で、規制改革、開国政策、そしてマクロ経済政策の改善が重要だと訴えた。「魔法のつえ」は見当たらなくても、必要な処方箋ははっきりしている。
まずは22日の日米首脳会談だ。オバマ米大統領にTPP交渉への参加に前向きな姿勢を示せれば、日本経済の再生にかける安倍首相の本気度は伝わる。「アベノマジック」の汚名を返上し、民主党政権との違いを訴える絶好のチャンスではないか。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
言う人に言わせれば、政治には、"マジック" もまた欠かせないと言うのであろうが、もしそれが受け容れられるとしても、"結果オーライ" の場合に限られるに違いなかろう...... (2013.02.22)
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