海外の眼 (英[FT]誌) からの方が客観的かも?! アベノミクスが危険なこれだけの理由!

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 別に実質的な "景気回復" が進行しているわけでもなく、ただ "株高" 傾向が、そんな印象と空気を醸し出しているからなのであろうか......。
 しかし、これだけ "金融緩和" を鐘と太鼓で吹聴し推進させていれば、一定の "株高" 傾向くらいは生まれて当然のはずであろう。"カネ余り" 状況が導き出す一つの成り行きなのではなかろうか、この先はどうであれ......。

 安定多数派の政権政策だからなのであろうか、はたまた、"円安" 現象のお陰なのであろうか、どうも "アベノミクス" という経済政策が "持て囃され過ぎる" かに見えてならない。まるで、"新製品/新番組" のキャンペーンか何かのようなニュアンスをさえ感じてしまう。
 まあ、「ミニバブル」状況歓迎という投資家たちにとってみれば、"カネ余り" ゆえに持て囃して囃し足りないくらいの "行け行けドンドン" なのかもしれない。さもありなんと思えたりもするが......。

 こんな場合、"一色に染まりがち" な空気から幾分離れて、そして冷静になってみるべきかと思える。そこで何か "清涼剤" の役を果たすものが欲しくなったりするのだが、"海外の眼" からの評論というのが、案外、打ってつけなのかもしれない。

 そこで眼を向けてみたいのが、下記引用サイト記事:[FT]アベノミクスが危険なこれだけの理由/日本経済新聞/2013.03.04 なのである。
 端的に、<アベノミクスが危険なこれだけの理由>と銘打って、

 <政策の多くは過去に失敗/ 金利上昇を招きかねない円安/ 景気対策は不発、給料は上がらず/ 日本銘柄にネガティブなポジション> と、歯に衣を着せぬ論点を提示している。
 おまけに、冷静な国民の方々の胸中に潜む懸念、<多くの日本人でさえ、安倍首相の右寄りで国家主義的な見解から、こうした政策が短命に終わるか効果がなかった場合にどうなるかを心配している> と指摘しつつ、"安倍政権のきな臭さ(!?)" に注意を喚起している。
 <日本は戦争によってしか景気後退から脱したことがない> という "含蓄のある皮肉" には、思わず意を傾けてしまう......。

 [FT] アベノミクスが危険なこれだけの理由/日本経済新聞/2013.03.04

(2013年3月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙

 通貨を押し下げ、新たな財政刺激策に乗り出す首相の決意を、多くの日本人投資家が歓迎した。昨年12月に安倍晋三氏が首相に選ばれてから、TOPIX(東証株価指数)は22%上昇し円相場は劇的に下落した。今後は、財務省の元キャリア官僚で次期日銀総裁に指名された黒田東彦氏が、さらに積極的な量的緩和策を指揮する見込みだ。

政策の多くは過去に失敗

 もっとも、懐疑的な向きもある。不十分な構造改革や不利な人口動態、低い生産性、中国や韓国など近隣諸国の競争上の脅威などから、こうした政策は悪影響を相殺しないまま金利の上昇を招くと見る。

 何年もの間、日本円と日本国債の空売りは損失が膨れ上がる「墓場トレード」と見なされてきた。ところがアベノミクスという、素晴らしいが決して新しくない世界のおかげで円売りは利益を上げ、日本に対する弱気筋は弱気な賭けの対象を日本企業に広げている。

 こうした投資家のポジションは、政府の施策にどれだけ大きな利害が絡むかを示すとともに、新政権が日本を持続的で高い成長の軌道に乗せる可能性に悲観的な運用担当者やエコノミストが多い理由を物語る。その理由とは、政府が掲げる政策は過去に失敗した応急措置が多く、長年にわたる低成長やマイナス成長を経て、以前より危険になった対策であることだ(そして現在、日本はマイナス成長が3四半期続き、再び景気後退に陥った)。

金利上昇を招きかねない円安

 いくつかの面で、確かに円安は日本の輸出企業の収益に貢献する。ただ、そうした効果はある意味でうわべだけだ。それよりも、魅力的な製品を生みだし、価格の決定力を持つ方がずっといい。さらに、円安は純粋に恩恵ばかりではない。日本は依然として原材料の輸入に頼っている。福島の原発事故で原子力発電は大幅に削減され、エネルギーの輸入にさらに頼るようになった。円安で貿易収支と経常収支の双方に大きな圧力がかかる

 そのうえ、もし政府が望むように円安が続けば、外国人投資家は為替サイドのリスクの補償として高いリターンを望むだろう。こうした資金は市場に流れ込む投資のごく一部だが、変化は常に周辺から始まるものだ。金利の上昇は、政府にとっても、借り入れすぎの日本企業にとっても問題だ。こうした企業が、新政権の政策に納得しない投資家の標的だ。

景気対策は不発、給料は上がらず

 政府の支出政策も、お粗末な結果に終わりそうだこれまでの景気刺激策は建設業界など既得権益者の要求を反映したもので、乗数効果がゼロだった。こうした事業は、コンクリートで舗装された川や山間の小川にかかる立派な橋といった日本らしい景色を生んだ。実際には、こうした政策は逆効果だった。不要な工事の代金を払うための増税を見越して、消費者はもっと倹約せざるを得ないと考えたからだ

 日本で進む高齢化を考えると、道路より老人ホームを建設した方がずっと良かった。こうした施設は未成熟な日本のサービス部門を育て、老後のために貯蓄する動機を弱める効果があるだろう。ただしそのためには、政策の課題にすら挙がらない構造改革の1つである、移民の受け入れが必要かもしれない。

 さらには、アベノミクスが円安を通じて高い物価上昇率を達成した場合も、賃金は恐らくインフレに追いつかないだろう。これまでそうならなかったのと同様だ。かくして、弱い内需は一段と弱くなる

日本銘柄にネガティブなポジション

 こうした理由から、米国の一部ヘッジファンドの運用担当者は、安倍政権の政策の恩恵を最も受けるはずの「オールドジャパン」銘柄にネガティブなポジションを取っている。例えばクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、製紙業界や海運業、鉄鋼業界の多くの企業のプロテクションを買っている。これらの企業がデフォルトすると考えるからではなく、事業縮小のリスクと比べてCDSの保証料率が安いと見たからだ。期待通りに信用スプレッドが拡大すれば、彼らはもうけを手にできる。一部の鉄鋼メーカーはアルセロール・ミタルよりも債務負担が大きく、同社以上に中国に影響されやすい。製紙会社はついに需要の減少に行き当たった。日本人がファクスの地図の代わりに様々な機器を使うようになったためだ。

 多くの日本人でさえ、安倍首相の右寄りで国家主義的な見解から、こうした政策が短命に終わるか効果がなかった場合にどうなるかを心配している。約150年前の明治時代以来、日本は戦争によってしか景気後退から脱したことがないと指摘する銀行家もいる。とりわけ1950年代の朝鮮戦争など他国の戦争で。

 再軍備関連の銘柄が高騰を始めたら、短期的に日本の運勢は上向いても、長期的にはさらに大きな危険にさらされるだろう

By Henny Sender

(翻訳協力 JBpress)

( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)

 <再軍備関連の銘柄が高騰を始めたら、短期的に日本の運勢は上向いても、長期的にはさらに大きな危険にさらされるだろう> という警鐘めいた結びは、現に、"武器輸出三原則" と "自衛隊の次期主力戦闘機・F35の日本企業の製造参画" に関する議論が浮上していたりするだけに、決して杞憂ではないと思われる...... (2013.03.05)













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