極めて発生率の高い成人病のひとつである "脳梗塞" は、幸いにも命が助かっても、その "後遺症" での苦しみが尾を引く点についてはよく知られている。
そして、その治療法が、"長期にわたる闘い" としての、いわゆる "リハビリ治療" しかないというシビァな事実についても......。
こうした状況に 一筋の "光明" が射し始めているというのが、下記引用サイト記事:脳梗塞後遺症に治療薬=骨髄幹細胞で神経再生-3年後の実用化目指す・札幌医大/時事ドットコム/2013.03.08 が伝えるところである。
<半身まひや失語症など脳梗塞の後遺症を改善する世界初の細胞製剤を実用化/ 患者本人の骨髄液から特定の幹細胞を採取し、大量に培養して静脈に投与、神経を再生する> という画期的治療法なのだそうだ。
"幹細胞(Stem Cell)" を利用した "再生医療" と言えば、今や "iPS細胞(人工多能性幹細胞)" の利用に目が向きがちかも知れない。
しかし、むしろ "iPS細胞(人工多能性幹細胞)" によるものの方が "特殊で新しい再生医療" なのであり、いわゆる "幹細胞(Stem Cell)" の利用によるものの方が一般的なのだそうだ。
ところで、"幹細胞(Stem Cell)" とは、<①分裂して自分自身をコピーする「自己複製能力」と、②様々な細胞へと変化する「分化能力」とを併せ持つ「未分化な細胞」>( 再生医療:細胞を使って病気を治す/NIHS 遺伝子細胞医薬部 )なのであり、この方法での移植という "再生医療" は、"拒絶反応" ほかの限界はあるものの、いろいろなケースで実施されているようである。
今回、実用化を目指して臨床試験が始められるこの治療法も、この "幹細胞(Stem Cell)" を利用した "再生医療" に類するものだと理解できる......。
脳梗塞後遺症に治療薬=骨髄幹細胞で神経再生-3年後の実用化目指す・札幌医大/時事ドットコム/2013.03.08
札幌医科大学は8日、半身まひや失語症など脳梗塞の後遺症を改善する世界初の細胞製剤を実用化するため、臨床試験を始めると発表した。患者本人の骨髄液から特定の幹細胞を採取し、大量に培養して静脈に投与、神経を再生する。3年後の実用化を目指すとしている。
同大の本望修教授らが2007年から行った臨床研究では、患者12人全てで運動機能などの改善が見られ、半数以上が社会復帰したという。
脳梗塞の後遺症を改善するにはリハビリ治療しかなかったが、同大はこの骨髄幹細胞の培養液を、国内初の再生医療用細胞製剤として実用化する方針。記者会見した本望教授は「再生医療発展のモデルケースになる。安全運転で一つ一つ確実にやっていくことが重要だ」と述べた。
臨床試験は脳梗塞の患者約110人を対象に約2年間行う。細胞製剤の効果を確かめるため、脳梗塞の発症後2カ月以内で患者の症状が落ち着いた頃に40ミリリットルの培養液を投与。その後約3カ月間にわたって経過を観察する。早ければ3年程度で、保険が適用される治療薬として承認が得られる見通しという。(2013/03/08-19:45)
毎日、川岸の遊歩道を "自転車トレーニング" で走行している自分であるが、しばしば、"脳梗塞" 後の "リハビリ治療" をしていると思われる高齢者の必死にトレーニングをしている姿に出合う......。気の毒だと痛感しながら、極力速度を落として通り過ぎて行く自分である。
増加の一途を辿ることが想定されるこうした人々が、見事に社会復帰されるためにも、今回の "臨床試験" が首尾よく進展して行くことを望まずにはいられない...... (2013.03.11)
コメントする