政府干渉(口先介入)による"春闘回答"結果!"巧遅拙速"仕立ての"回復ムード"過剰演出?!

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 今年の "春闘"(春季労使交渉)での一部企業の "回答" がポジティブであったことがメディアでも大きく取り上げられている。
 "景気回復" ムードを "感じさせる演出材料!" が、"株高" に加えて "賃上げ" でもまたというような好印象を与えているのかもしれない。

 しかし、一言で言って、"如何にも取って付けた" 策! という "薄っぺら" さという印象を禁じ得ない。
 まあ、"デフレ脱却" という課題にとって "賃金の上昇" は不可欠な条件であるわけだから、ケチをつけることはなく、素直に歓迎して良いのかもしれない。

 だが、国民が真に望む "景気回復" とは、"巧遅拙速" 仕立ての "回復ムード" ではないはずだ。まして、"選挙前" の "空気づくり" や "人気取り" であったのではシラけるばかりだ。
 地味なジワジワといった歩みであっても、決して "後戻り" のない "実態経済自体の回復" 傾向の実感共有こそが、今、最も必要なことなのではなかろうか。必要なのは、日本経済の実質的成長力を促す手堅い成長戦略であり、それらへの確実なアプローチなのではないかと思える。

 そう考えると、"自由経済体制" にとってほぼ "禁じ手" とも言うべき<政府の干渉(「口先介入」)> を敢行してまで、"帳尻合わせ"(賃金水準上昇)をする姿が、どこか "姑息" に見えてならない。
 こうした感覚に対して、ズバリ明快な解説を与えているのが下記引用サイト記事:相次ぐ満額回答、口先介入だけでは続かない  編集委員 小竹洋之/日本経済新聞/2013.03.14 であろう。

 先ず、今年の "春闘" における企業側 "回答" の変化の足元には、<世界経済の持ち直しや円安・株高を追い風に業績が改善> があるとしながらも、<安倍晋三首相の異例の賃上げ要請にこたえる意味合い> を見過ごさない。そして、以下のような "原則論" を述べる。

 <だが賃金の水準は労使の交渉で決めるのが原則だ。政府の干渉は本来、好ましいことではない。「口先介入」がたとえ一時的な効果をもたらしたとしても、根本的な問題の解決にはなり得ない。日本経済の成長を促し、その恩恵を企業から家計に波及させるため、官民それぞれの責任を果たすのが王道ではないか。

 しかし、これを "原則論" だとして侮るのは間違いであろう。
 "一発勝負" でしかない「口先介入」なんぞではなく、<(継続的な賃上げに二の足を踏む)そんな流れを変えるには「制度や慣行にからむ障害をひとつずつ取り除く努力が要る」> という洞察こそがよりリアルであるからだ。

 <日本は「国家資本主義」を旗印にする国ではない。政府の過剰な介入を避けながら、賃上げの好循環を生む道を探りたい> とするリアリズムこそが、より正解に近い! と思わざるを得ない......。

 相次ぐ満額回答、口先介入だけでは続かない  編集委員 小竹洋之/日本経済新聞/2013.03.14

 2013年の春季労使交渉がヤマ場を越えた。トヨタ自動車や三菱重工業などが一時金で満額回答し、セブン&アイ・ホールディングスはベースアップ(ベア)を実施する。世界経済の持ち直しや円安・株高を追い風に業績が改善しているのが主因だが、安倍晋三首相の異例の賃上げ要請にこたえる意味合いもあるのだろう

 政府の実績見込みによると、12年度の名目雇用者報酬は約245兆円。長引くデフレを反映し、ピーク時の1997年度を12%下回る。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果で企業の収益を底上げできても、賃金が下がったままでは家計に恩恵が及ばない。首相が春闘に口をはさみたくなる気持ちもわからなくはない

 実は5年前にも同じことがあった。福田康夫首相は08年1月の施政方針演説で、労働分配率(企業が生み出した付加価値の中から人件費に回した割合)の向上に言及。08年3月には経団連の御手洗冨士夫会長と会い、経済界に賃上げを求めた。この賃上げ要請は麻生太郎首相の時代にまとめた08年10月の経済対策にも盛り込まれている。

政府の干渉、本来好ましくない

 だが賃金の水準は労使の交渉で決めるのが原則だ。政府の干渉は本来、好ましいことではない。「口先介入」がたとえ一時的な効果をもたらしたとしても、根本的な問題の解決にはなり得ない。日本経済の成長を促し、その恩恵を企業から家計に波及させるため、官民それぞれの責任を果たすのが王道ではないか。

 パイを拡大する成長戦略の重要性は、もはや論を待たない。野村証券の推計では、実質成長率が前年度より1%高まると、1人あたりの現金給与総額を0.4%程度押し上げるという。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加や法人減税、規制緩和などを通じ、何より日本経済の成長力を高める必要がある

 問題は企業の収益が増えても、賃金が上がりにくくなっている点だ。大阪府立大の野田知彦教授と独協大の阿部正浩教授は共同論文で「すべての計測方法による労働分配率が00年以降に低下している。主として賃金の伸び悩みによってもたらされたと考えられる」と指摘した。「金融機関と密接な関係をもつ旧来型の日本型ガバナンスがなされている企業では賃金が相対的に高く、逆に外国人株主の影響が強い企業ほど賃金が低くなる」とも分析している。

 グローバル競争の激化、株主還元の要請、内部留保の確保や債務返済の必要性......。企業は様々な理由から継続的な賃上げに二の足を踏む。労働組合も雇用の維持を優先し、正社員の賃下げや非正規社員の拡大を容認してきたそんな流れを変えるには「制度や慣行にからむ障害をひとつずつ取り除く努力が要る」と日本総合研究所の山田久調査部長はいう。

賃上げの好循環を生む道は

 雇用の流動化を促す労働市場改革や、年金・医療の企業負担を抑える社会保障制度改革などは欠かせない。同時に「横並びの労使交渉ではなく、個別企業の業績に応じた賃金改正が必要だ」(富士通総研経済研究所の根津利三郎エグゼクティブ・フェロー)との指摘にも耳を傾けた方がいい。

 日銀の佐藤健裕審議委員は2月の講演で「(日銀の目標とする)2%の物価上昇率を目指すには、4%程度の賃金の伸びを生み出す経済の基礎体力をまずつけることが肝要だ」と語った。デフレからの脱却を優先するアベノミクスの成否が、賃金の上昇にかかっているのも確かだ

 しかし日本は「国家資本主義」を旗印にする国ではない。政府の過剰な介入を避けながら、賃上げの好循環を生む道を探りたい

( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)

 仮に現在、 "春闘の回答" "賃上げ" がなされたとしても、それは比率からすれば "全労働者の3割程度" に過ぎないことは周知の事実であろう。
  "デフレ脱却" に必須の国内需要を促す "消費拡大" という課題にどの程度貢献できるのであろうか? しかも、この傾向が "安定継続" されなければ意味をなさない。
 何のための政府干渉 (口先介入) による "春闘回答" なのかが、ただただ不自然に浮かび上がる...... (2013.03.15)













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このページは、yasuo hiroseが2013年3月15日 00:01に書いたブログ記事です。

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