いわゆる "南海トラフ巨大地震" については、その "想定被害規模" が、国の検討会などから、過去二度にわたって公表されている。
それらについては、ここでも以下のように取り上げてきた。
◆ 参照(2) 東日本大震災の強い余震ある中、南海トラフ巨大地震の想定被害公表!死亡32万3000人!( 当誌 2012.08.31 )
◆ 参照(1) 茫然自失!?「南海トラフ」地震で新たに想定された"34.4メートルの大津波"(高知) ( 当誌 2012.04.02 )
そして、今回はそれらを踏まえた "経済的被害額" が想定されるに至り、公表された。
想定された被害の最悪事態( ex."34.4メートルの大津波"/"死亡32万3000人" )が "茫然自失!" であったことに相応して、これまた想像を絶するものであり、"220兆円余:国の年間予算の2倍以上" という規模に及ぶ可能性があるという。
この詳細については、下記引用サイト記事:南海トラフ地震 被害は220兆円余/NHK NEWS WEB/2013.03.18 が以下のように報じている。
南海トラフ地震 被害は220兆円余/NHK NEWS WEB/2013.03.18
東海から西の太平洋沿岸の「南海トラフ」で巨大地震と津波が起きた場合、暮らしや経済活動にどのような影響が出るのか、国は経済的な被害の想定を新たに公表しました。
【 NEWS 動画より抜粋 】
最悪の場合、避難する人は40の都府県で1000万人近くに上り、被害額は国の年間予算の2倍以上に当たる220兆円余りに上るおそれがあると想定しています。
おととしの東日本大震災を受けて国は去年、南海トラフで科学的に考えられる最大の地震と津波により、最悪の場合、死者は32万3000人に上るという被害想定を公表しました。
18日は新たに経済的な被害の想定を公表し、この中でライフラインや交通機関などがどのように被災するのかや、建物や施設などの復旧にかかる費用など被害額を明らかにしました。
それによりますと、最悪の場合、断水の影響を受ける人数は、地震発生直後で39の都府県の3440万人に達し、1か月後でも30の都府県の460万人に上るとしています。
停電は、地震発生直後で31の都府県の2710万世帯に達し、1週間後で27都府県の88万世帯に上るとしています。
ライフラインが途絶えるなどして、避難所や親戚などの家に避難する人の数は地震から1週間後が最大で40の都府県の950万人、1か月後で39の都府県の880万人と避難が長期化すると想定しました。
経済的な被害のうち、施設などの復旧にかかる直接的な被害額は、住宅や工場などが148兆円余り、道路や鉄道などが20兆円余りで、40の都府県で合わせて169兆5000億円としました。
さらに、従業員や企業が被災して生産力が低下したり、物流が止まったりして、全国に波及する影響も加えると、総額で国の年間予算の2倍以上に当たる220兆円3000億円と想定しました。
国は、建物の耐震化など事前の対策を進めることで被害を減らすことができるとして、平成25年度中に新たな対策をまとめることにしています。被害額の内訳は
今回、国が最悪の場合の被害額として明らかにした220兆3000億円は、被災地の建物や施設などの復旧にかかる費用と、企業が被災するなどして全国に波及する経済的な損失を合わせたものです。
このうち、被災地の建物や施設などの復旧にかかる直接的な被害は、40の都府県で合わせて169兆5000億円となりました。
これは、おととしの東日本大震災の被害額のおよそ10倍、阪神・淡路大震災の17倍以上に当たります。
内訳は ▽木造住宅の復旧費用が54兆5000億円、▽工場や事務所などが39兆7000億円、▽家庭用品や工場の在庫などが29兆3000億円、▽港湾や道路、鉄道施設が4兆7000億円などとなっています。
また、企業が被災するなどして全国に波及する経済的な損失額は、1年間に国内で生産された金額やサービスを示すGDP=国内総生産などから推計し、50兆8000億円となりました。
内訳は ▽従業員が被災して働けなくなったり、工場などが壊れて生産できなくなったりする経済的な損失額が44兆7000億円、▽道路や鉄道の物流が、半年間止まる場合の損失額が6兆1000億円となっています。
総額で、国の年間予算の2倍以上に当たる220兆円3000億円に上るおそれがあるとしています。防災対策で被害減らせるという試算も
今回の被害想定には、被災地の外に住民や企業が流出する影響や、企業の財務状況が悪化することによる影響などは考慮されておらず、今回示された最悪のケースより、被害はさらに大きくなる可能性があります。
一方で防災対策で被害額を減らすことができるという試算結果も公表されました。
建物や施設の被害は耐震化率を100%にするなど対策を取れば、例えば建物などの復旧にかかる直接的な被害額の169兆5000億円が80兆円になり、半分以下に減らすことができるとしています。
さらに津波から迅速に避難して被災する従業員が少なくなれば企業の生産能力の低下による被害額を3割程度減少できるとしています。
内閣府では「今後の必要な対策を抑えるために、まずは最悪のケースで試算を公表をした。この数字にあきらめることなく、行政や企業、個人が適切な目標を設定して対策を着実に進めてほしい」と話しています。「備える仕組み考え直す必要」
今回の想定について、関西学院大学の室崎益輝教授は、「大変、大きな数字で、無力感や諦めの気持ちを持つ方もいるかもしれないが、そうではなく、どうすれば被害を減らせるかを考えてほしいというメッセージだと受け止めてほしい。避難所を開設し、食料を提供するといった今までの対策の延長ではうまくいかない。日頃の食糧の備蓄だけでなく、自立型の食料供給システムを作るなど、備える仕組みそのものを考え直す必要がある」と話しています。
心配されるのは、想定された実被害もさることながら、こうして公表された "巨大な数字" が、ややもすれば人々に<無力感や諦めの気持ち> を誘発しかねない点......。
"公表された想定の数字" を "核" として、地域から国の行政に至る具体的な "組織的防災対策" の積上げが一刻も早く着手されることを望まずにはいられない...... (2013.03.20)
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