"キプロス支援問題" は "つかの間" の安心感と楽観が、重苦しい "懸念" へと変わった。その点は、以下の "為替相場" の変化が正直にに表わしている。
<25日午前中盤のニューヨーク外国為替市場で、ユーロがドルと円に対して下落している。ユーロは当初、キプロス支援合意を好感し上昇していたが、支援が今後の域内他国の銀行セクター支援に及ぼす影響をめぐり懸念が強まり、値を消した。......>( NY外為市場・午前中盤=ユーロ値を消す、キプロス支援合意の好感ムード懸念に変わる/REUTERS/2013.03.25 )
下記引用サイト記事:キプロス:預金強制カット 欧州経済のもろさが再浮上/毎日jp/2013.03.25 によれば、<預金強制カット>という強硬策が波紋を大きくしているようだ。
<欧州連合(EU)のユーロ圏はぎりぎりで支援に合意したものの、加盟国のユーロ圏からの離脱の可能性がこれまで以上に現実味を帯びる。預金の強制カットという「最終手段」に踏み切った結果、ギリシャなどの預金者の不安が高まるのは必至。安定化に向かいつつあった欧州経済のもろさが改めて浮かび上がった>
この対策が "小さくない影響" をもたらすであろうことは、以下の別記事からも容易に推測可能である。
<キプロス中央銀行は25日、16日から閉鎖が続いている国内の銀行の営業再開日を、予定していた26日から28日に延期すると発表した。25日にキプロスに対する欧州連合(EU)などの金融支援と欧州中央銀行(ECB)の資金供給継続が決まったが、銀行不信を強める国民の預金引き出しが集中するなどの混乱を避けるための時間稼ぎが必要と判断したとみられる。閉鎖期間は10日を超え、国民生活への影響はさらに深刻化しそうだ。......>( キプロス:銀行の営業再開、28日まで延期/毎日jp/2013.03.26 )
"預金額条件" が設けられたにせよ、<預金強制カット>策が誘発する "銀行不審/取り付け騒ぎ(?)" という局面は、ただただ、欧州経済に不吉なイメージを付与することになっている......。
キプロス:預金強制カット 欧州経済のもろさが再浮上/毎日jp/2013.03.25
【ロンドン坂井隆之】地中海の小国、キプロスを巡る危機に、欧州経済が揺らいだ。欧州連合(EU)のユーロ圏はぎりぎりで支援に合意したものの、加盟国のユーロ圏からの離脱の可能性がこれまで以上に現実味を帯びる。預金の強制カットという「最終手段」に踏み切った結果、ギリシャなどの預金者の不安が高まるのは必至。安定化に向かいつつあった欧州経済のもろさが改めて浮かび上がった。......
だが、キプロスの銀行の特別な状況が今回の危機を引き起こした。高い預金金利でロシアなど海外からのお金を集める「金融立国」モデルで成長を図ってきたキプロス。国内総生産(GDP)比の銀行の資産規模は7.5倍と、EU平均(3.5倍)を大きく上回る。富裕層の資金洗浄に悪用されているとの批判も絶えない。
大きすぎる銀行部門をそのままにした支援はありえないとの声は支援国側に強く、特にドイツは、キプロスのユーロ圏離脱もいとわない強硬姿勢で預金者の負担を迫った。銀行部門の縮小が必要という経済面での大義名分に加え、秋に行われる総選挙を強く意識したのは明らかだった。ショイブレ独財務相は25日の合意後、「キプロスにとっては苦い結果だが、これで支援ができる」と語った。
一方、危機克服のためユーロ圏が進めてきた財政緊縮策は、支援される国民の不満も高めてきた。その結果、2月のイタリア総選挙で緊縮派の政権は敗北した。金融安全網を整えても、最終的に政府や議会の同意なしには機能しない。小国キプロスの危機が、安定化に向かいつつある欧州経済のアキレスけんをあらわにした。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
このところ "楽観ムード" に終始して来た市場は、<小国キプロスの危機が、安定化に向かいつつある欧州経済のアキレスけんをあらわにした>とされる現状を、今後どのように受けとめていくのであろうか...... (2013.03.27)
コメントする