このニュースは、一方で、人々の "古代伝説への夢" を存分に刺激する。
あのSF小説『海底二万里』をはじめとして、子どもの頃にワクワクとさせられた多くの物語が、熱く語って止まなかったのが "伝説の大陸/アトランティス" であったからだ。
ますます現代の時代環境は、人々をチマチマとした目先の事象だけに追い込む風潮を色濃くさせている中で、ある日忽然と姿を消したとされる "古代文明の大陸アトランティス" の伝説の、そのスケールが、時間と空間に関する日常的な尺度を、心地良くも粉砕してしまうからであろう。
しかも、時としてその重みが揺らぎかねない "伝説" に、"実在性" を秘めた材料が盛り込まれようとしているのだから、"夢" の膨らみ方と輝きは半端ではなくなる。
ただ、もう一方で、"脳裏をかすめる奇妙な感情、不安感" を覚えることも打ち消し難い......。
"3.11" などをはじめとする "巨大地震" に見舞われる前であればいざ知らず、今のわれわれは、"巨大地震" の可能性に関する "大陸プレート" の蠢きとそれらの間に潜む "軋轢" などについて少なからぬ情報を得てしまっている。
つまり、"大陸の移動/水没" といった事象は、決して絵空事ではなく、時間尺度を度外視するならば "想定範囲内" のリアルな事象として受けとめざるを得ない、そんな時代環境にあるということ......。
それだけに、"アトランティス" のような "伝説的" 事象は、あながち "夢の対象" だとの決めつけ方だけでは済まない......。
と言って、"恐怖の対象" だと言ってしまうには語弊があるにせよ、SF『日本沈没』(小松左京)から多少なりともリアリティを感じてしまうわれわれにとっては、少なくとも "古代伝説への夢" と言ってはやしてばかりもいられない気がするわけである。
まあ、もちろん "時間尺度を度外視するならば" の話ではあるが......。
下記引用サイト記事:「アトランティス」と関連は 海底に大陸痕跡/NHK NEWS WEB/2013.05.07 では、
<ブラジルの沖合にある大西洋の海底に、かつて大陸のような大きな陸地があった痕跡が見つかった> 点、
<岩は、陸上でしかできない花こう岩だったことが分かった> 点、
<海の中ではできない石英と呼ばれる鉱物で出来た砂も大量に見つかった> 点、
<調査が行われた大西洋には、古代ギリシャの哲学者プラトンが、およそ1万2000年前に海に沈んだと著書に記した伝説の大陸「アトランティス」があったという説> がある点、ただし、
<今回見つかった花こう岩は5000万年ほど前に海に沈んだとみられ、年代的に、ずれはありますが、何らかの関連があるのではないか> と注目されている、とやや冷静に伝えている......。
「アトランティス」と関連は 海底に大陸痕跡/NHK NEWS WEB/2013.05.07
ブラジルの沖合にある大西洋の海底に、かつて大陸のような大きな陸地があった痕跡が見つかったと、現地調査を行った海洋研究開発機構が発表しました。
【 NEWS 動画より抜粋 】
太古の昔、海に沈んだとされる伝説の大陸「アトランティス」との関連が注目されています。
海洋研究開発機構は先月、ブラジルの研究機関などと共同で、潜水調査船「しんかい6500」を使い、リオデジャネイロから南東におよそ1500キロ沖合の海底にある台地を調べました。
その結果、深さ900メートル余りの海底で岩の崖を発見し、映像を分析したところ、岩は、陸上でしかできない花こう岩だったことが分かったということです。
また、この崖の周辺からは、海の中ではできない石英と呼ばれる鉱物で出来た砂も大量に見つかったということです。
海底の台地の幅は、広いところではおよそ1000キロあるため、海洋研究開発機構は、「大陸のような大きな陸地があった痕跡とみられる」としています。
調査が行われた大西洋には、古代ギリシャの哲学者プラトンが、およそ1万2000年前に海に沈んだと著書に記した伝説の大陸「アトランティス」があったという説があります。
今回見つかった花こう岩は5000万年ほど前に海に沈んだとみられ、年代的に、ずれはありますが、何らかの関連があるのではないかと注目されています。
現地調査のリーダーで、海洋研究開発機構の北里洋さんは「実際に潜水調査船に乗って、海底で花こう岩を確認できたときはとても驚き、感激した。伝説のアトランティスとは出来た年代が異なるようだが、大西洋に『大陸のかけら』を見つけた、意義のある発見だと思う」と話しています。
現場の海底では今後、ブラジルの研究機関が、実際に花こう岩を採取して、詳細な分析を行うことを検討しているということです。
「アトランティス」とは
アトランティスは、古代ギリシャの哲学者、プラトンの著書にも登場する伝説の大陸で、高度な技術と文明を持った人たちが住んでいたとされています。
そうしたアトランティス大陸を巡る伝説は、古くから多くの作家の創作意欲を刺激し、19世紀から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの小説家、ジュール・ヴェルヌのSF小説「海底二万里」をはじめ、SFや冒険小説などでたびたび登場するほか、日本でも小説や漫画、アニメ、テレビゲームなどに影響を与えています。
昭和47年にテレビで放送された手塚治虫さん原作のアニメ「海のトリトン」では、アトランティス大陸が物語の重要な舞台になっているほか、人気アニメシリーズ「ドラえもん」の映画にも、幻の大陸として語られる「ムー大陸」と一緒に登場します。......
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
昨今、深い海底からは、希少価値のある鉱物資源を含めて "貴重な埋蔵物" が探し当てられている。喜ばしいことだと思う。
ただ、探索と言えば、もう一分野、欠かせない分野があるように思う。"歴史" という "無尽蔵" の分野だ。この分野からの "貴重な埋蔵物発見" が、"閉塞する現代" を切り拓くことも大いにあり得ると思える...... (2013.05.08)
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