"連日株高" という状況が続いて、"舞い上がる気分" とは裏腹の、さすがに "薄気味悪さ(?)" を感じさせられたりしているのかもしれない。
こうした相場の "薄気味悪い株高" が、"実体経済" (ファンダメンタルズなど)を反映した結果であるわけではなく、もっぱら "(景気回復への)期待感" で構成されていること、なおかつこれを潤沢な資金を手にしている "投機マネー" がひたすら増幅させている結果であることは、概ね周知の事実であろう。
◆ 参照 <2つのことには注意する必要がある。1つは今回の上昇相場を主導している日米の両市場が企業業績などファンダメンタルズ(基礎的諸条件)の改善よりも、投資家の期待感の高まりが支えになって盛り上がっていることだ。......もう1つは、株高が続くのは、投資家がお金を失う不安を感じなくなっているせいでもあることだ。投資家の安心感を「恐怖指数」とも呼ばれるボラティリティー・インデックス(VIX)の200日移動平均線でみると、5月6日現在では15.2と、07年9月13日に記録した15.17以来の低水準になっている。米国株はもちろん、日本株が外国人投資家主導で上昇しているのは、外国人が安心感を背景により大胆になっていると考えることもできる。...... 米国の恐怖指数の200日移動平均線はあと一歩で底値圏の12倍台に到達しそうで、その後は6年前のように株価の急落、恐怖指数の急上昇という展開もありうるから、リスクの所在をよく点検しておくことが不可欠だ。>( 戦後2番目の大相場の強さと危うさ 編集委員 前田昌孝/日本経済新聞/2013.05.08 )
"連日株高" といった推移と "実体経済" の現状との "乖離" については、つい先日にもここで注目したところだ。
◆ 参照 アベノミクス株高は実体経済に繋がるか?"国内市場縮小/生産海外移転"の構造的変化!( 当誌 2013.05.06 )
"親の過剰期待を一身に背負った子" が、期待どおりに羽ばたいて行くならば、これ以上に睦まじい話はなかろう。だが、何とも言えないのが現実だとも言われる......。
下記引用サイト記事:新材料なき連日株高 実態から離れる危うさも/日本経済新聞/2013.05.08 もまた、こうした懸念、老婆心を隠さず、昨今の文脈に潜む "リスク" に注意を喚起している記事である。
<特に新たな好材料が見当たらない中での一段高について、市場では投機マネーによる先物への仕掛け的な買いとの見方が多い>
<半ば強引に水準を切り上げていく最近の株価は、実態から離れていく危うさもにじむ>
<主要企業の決算発表や業績観測報道は、株価に織り込まれてきた高い期待に届かない例も目立つ>
<今期業績の改善に比べ、株価の上昇ピッチが急速な結果、前日時点で東証1部銘柄の予想PER(株価収益率)は再び20倍台に/ 現時点で20倍に達する日本の株価は果たして正当化されるのかという疑問>
<今後は海外の経済指標の減速などをきっかけに「世界景気に連動しやすい日本株の調整も考えられる>
<「経済を映す鏡」としての株式投資を考えるなら、いったん慎重になるべき局面が既に到来しているのかもしれない>
少なくとも、"実体経済" (ファンダメンタルズなど)を、"舞い上がる気分" で眺めずに、"希望的観測" も抑えて吟味してみることが求められていそうだ......。
新材料なき連日株高 実態から離れる危うさも/日本経済新聞/2013.05.08
8日午前の東京株式市場で日経平均株価は続伸し、上げ幅は200円近くに達した。前日の米ダウ工業株30種平均が終値で初の1万5000ドル台に乗せたという「ご祝儀ムード」は支えとみられるが、朝方は小幅高にとどまっていた。特に新たな好材料が見当たらない中での一段高について、市場では投機マネーによる先物への仕掛け的な買いとの見方が多い。
前日の日経平均が486円高と約2年2カ月ぶりの上げ幅を記録し、約4年11カ月ぶりの高値を付けた翌日で、通常なら利益確定売りが出てもおかしくない地合い。半ば強引に水準を切り上げていく最近の株価は、実態から離れていく危うさもにじむ。
たけなわを迎えた主要企業の決算発表や業績観測報道は、株価に織り込まれてきた高い期待に届かない例も目立つ。きょうは「前期(2013年3月期)の営業利益が前の期比で横ばいになったようだ」と伝わった東芝が一時7%安と急落した。
前引け時点で業種別東証株価指数(TOPIX)で下落率首位となったのが不動産株だ。不動産は金融緩和関連として真っ先に物色されてきたが、...... 野村証券の福島大輔シニアアナリストは「オフィス賃料の上昇が全体に鈍く、現時点で不動産株をさらに買い進むのは難しい」と話す。そして円安の恩恵が期待される自動車や電機も、ホンダやキヤノンなどの決算を通じ、売り上げの拡大を伴わなければさらなる株価上昇にはつながらないという現実を示した。
今期業績の改善に比べ、株価の上昇ピッチが急速な結果、前日時点で東証1部銘柄の予想PER(株価収益率)は再び20倍台に乗せた。...... PERは過去最高値を付けた米国でも16倍弱、同様にドイツは12倍台にとどまる。きょうのトヨタなどまだ主要企業の決算は多く残っているが、現時点で20倍に達する日本の株価は果たして正当化されるのかという疑問は残る。
マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは「日銀の金融緩和や円安による業績改善などは株価に織り込まれ、当面の好材料は出尽くした」と指摘。ここから上値を買い進む手掛かりは乏しいとして、今後は海外の経済指標の減速などをきっかけに「世界景気に連動しやすい日本株の調整も考えられる」と話していた。
新興市場で見られるバイオ関連などの急伸についても「現時点では投資余力が増した個人投資家などがマネーゲーム感覚で買っているが、いずれは大きく崩れる局面が到来する」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員)との見方は、ほぼ共通認識だ。「実態がどうであれ、株価が上昇することは善」といった声も聞かれるが、「経済を映す鏡」としての株式投資を考えるなら、いったん慎重になるべき局面が既に到来しているのかもしれない。〔日経QUICKニュース(NQN) 古門成年〕
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
さし当たって、上記記事中の<今後は海外の経済指標の減速などをきっかけに「世界景気に連動しやすい日本株の調整も考えられる> という点に注目すべきか。
特に、"比較的楽観視されている米国実経済" から目が離せないようだ...... (2013.05.09)
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