"長期金利上昇"(国債の下落)の "兆し" が、漸く警戒され始めたようだ。
ジワジワと "国債" が目減りする中、これを売って "うなぎ登り" の観を呈するがごとき株式投資に投資先を鞍替えをした方が良いと誰もが考えるからだ。
下記引用サイト記事【 引用記事 1 】:長期金利 1年1か月ぶりの水準に/NHK NEWS WEB/2013.05.15 によれば、
<15日の東京債券市場は、株価の上昇傾向が続くなかで投資家の間で日本国債を売って株式などに資金を振り向ける動きが強まり、長期金利は一時、0.92%とおよそ1年1か月ぶりの水準まで上昇/ 大量の国債を保有する国内の金融機関が国債の値下がりによる損失を抑えようと、売り注文を一段と増やすのではないか/ 国債が売られやすい状況が続いている> とある。
この動向に対する政府側の対応としては、下記引用サイト記事【 引用記事 2 】:日銀 金利上昇対応で資金供給/NHK NEWS WEB/2013.05.15 のとおり、
<日銀は、このところの長期金利の上昇を受けて、国債などを担保に金融機関に資金を貸し出す形で、金融市場に対して2兆円に上る大量の資金を供給する措置> を講じたとある。
こうした、まるで "トートロジー(同義語反復)" のような対応策/措置が、後日に禍根を残しはしないかと懸念されるが、今、確実に言えることは、"日本国債暴落の兆し" を虎視眈々と待ち受けている "海外ヘッジファンド" への "好材料提供!" ではないかと思われる。
下記引用サイト記事【 引用記事 3 】:ヘッジファンドが「異次元金融緩和」で浮かれた市場のスキを狙っている[大前研一の「産業突然死」時代の人生論]/nikkei BP net/2013.04.15 は、一ヶ月前の記事であるが、今、この時期に再度注目されて良い。
<マーケットというのは、調子が良い時は問題ないのだが、逆回転し始めると落ちる時は一気に落ちる可能性がある。資金が殺到して国債の利回りが急落したかと思った後に神経質に戻す時が危ない/ 日本国債暴落シナリオで資金を集めているヘイマンや円安に賭けて1000億円以上を稼いだジョージ・ソロス氏らのヘッジファンドは、そのような瞬間を、国債の暴落を仕掛ける空売りのタイミングとして狙っている/ 彼らは安倍首相の応援団ではない。とりあえず「安倍+黒田の異次元の緩和策」に唱和して儲けただけだ。今度は確実に浮かれた市場のスキをつくことを狙っている>
そして、以下のように警鐘を鳴らしている。
<国民はアベノミクスのリスクをしっかりと認識しておかなければならない。長期金利が急上昇(国債は暴落)してからでは遅い> と。
安定した "実体経済成長" の予感イメージを、"短期間で披露" したい( 参院選選挙パフォーマンス? )というのがアベノミクスの真骨頂なのであろうが、そのために "後日に禍根" を残す可能性大であることを視野から外すのは如何なものであろうか......。
いや、世界一の "財政赤字" 国の "安全弁" と目されてきた "国債" を、"リスクに曝している事実" をしっかりと凝視しなければならない......。
【 引用記事 1 】
長期金利 1年1か月ぶりの水準に/NHK NEWS WEB/2013.05.15
15日の東京債券市場は、株価の上昇傾向が続くなかで投資家の間で日本国債を売って株式などに資金を振り向ける動きが強まり、長期金利は一時、0.92%とおよそ1年1か月ぶりの水準まで上昇しました。
東京債券市場は15日も国債を売る動きが強まり、長期金利の代表的な指標となる償還までの期間が10年の国債の利回りは、一時、0.92%と、去年4月以来、およそ1年1か月ぶりの水準まで上昇しました。
また、償還までの期間が5年の国債の利回りは一時、0.455%をつけて、およそ2年ぶりの水準まで上昇しました。
これは、日経平均株価が1万5000円台を回復するなど株価の上昇傾向が続くなかで、投資家の間で国債を売って株式などに資金を振り向ける動きが強まっているためです。
市場関係者は「大量の国債を保有する国内の金融機関が国債の値下がりによる損失を抑えようと、売り注文を一段と増やすのではないかという見方もあって、国債が売られやすい状況が続いている」と話しています。
東京債券市場で長期金利が上昇していることについて、安倍総理大臣は参議院予算委員会で「日銀は市場参加者との間でこれまで以上に密接な意見交換を行う場を設けるとしている。政府としても国債の安定消化などの観点から債券市場の動向を常に注視していく」と述べました。
【 引用記事 2 】
日銀 金利上昇対応で資金供給/NHK NEWS WEB/2013.05.15
日銀は、このところの長期金利の上昇を受けて、国債などを担保に金融機関に資金を貸し出す形で、金融市場に対して2兆円に上る大量の資金を供給する措置を取りました。......
これを受けて、東京債券市場では国債が買い戻され、長期金利は一時0.8%台前半まで低下しました。
日銀では、先月中旬にも、国債の市場の混乱を防ぐために金融市場に対して大規模な資金供給を行っています。( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
【 引用記事 3 】
ヘッジファンドが「異次元金融緩和」で浮かれた市場のスキを狙っている[大前研一の「産業突然死」時代の人生論]/nikkei BP net/2013.04.15
......
これだけ日銀がマネーを供給しても企業や家計の反応が鈍いということは、言い換えると、反応が良いのは手っ取り早い株式市場だけということになる。結局、今後も日銀マネーは株式市場に流れていくだけではないだろうか。日銀マネーは不動産市場にも流れ込む
本来なら株価は企業の現在価値を表しているハズだから、業績の見通しが良くなって上昇するものだ。しかし今のような状況では業績が良くなるだろう、という見通しのもとに、海外からの資金も日本の株式市場に向かっている。今年になって25%上昇という点においては世界第1位!という記録である。しかし、企業業績がそこまで上がらないということが見えてくれば、潮が引くように資金も去って行くだけだろう。
ここまでの資金供給が続けば、日銀マネーは株式市場にとどまらず、投資目的の不動産市場にも流れていく。実際、都市部では不動産価格が上がり始めていて、東京などでは案件が減ってきている。マンションなどの都心5区の優良物件は払底してしまった。......
このように、株式市場や不動産市場が「ええじゃないか」と浮かれている中、日銀の金融緩和のリスクも指摘されるようになっている。
油断していると財政リスクが顕在化する
日本経済新聞は1日、「米の財政対立を笑えない 安倍流『楽観』の大リスク」と題するコラムを掲載している。これは2年近く財政健全化交渉が決着しない米国が、「決められない政治」と批判されることについて、その実態は日本よりはるかにマシと指摘するものだ。財政赤字削減に躍起な米国に比べ、金融緩和頼みの安倍政権はリスクが大きく、信頼に足る財政健全化策という「第4の矢」が必要との専門家の声を紹介している。
安倍晋三首相は7月の参院選までは増税と歳出削減をセットにした財政健全化ということを言いたくないのだろうが、参院選までまだ4カ月近くある。「まだ先だ」と思って油断していると、財政リスクが顕在化することも考えられる。
マーケットというのは、調子が良い時は問題ないのだが、逆回転し始めると落ちる時は一気に落ちる可能性がある。資金が殺到して国債の利回りが急落したかと思った後に神経質に戻す時が危ない。
実際、日銀が大胆な金融緩和を決定した後も、国債の利回りが神経質に戻す場面が何度かあった。
アベノミクスのリスクを認識しておくべき
日本国債暴落シナリオで資金を集めているヘイマンや円安に賭けて1000億円以上を稼いだジョージ・ソロス氏らのヘッジファンドは、そのような瞬間を、国債の暴落を仕掛ける空売りのタイミングとして狙っている。
彼らは安倍首相の応援団ではない。とりあえず「安倍+黒田の異次元の緩和策」に唱和して儲けただけだ。今度は確実に浮かれた市場のスキをつくことを狙っている。
国民はアベノミクスのリスクをしっかりと認識しておかなければならない。長期金利が急上昇(国債は暴落)してからでは遅いのである。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
アベノミクスに対して、先の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議ではこれといった批判のなかったことを政府は吹聴している。
しかし、この時期にホントに恐いのは、国家の存亡さえ "稼ぎ" の材料として憚らない "ヘッジファンド" ではないのか...... (2013.05.16)
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