"長期金利上昇"傾向が生み出すパラドックス!"株価急上昇"が実体経済成長の腰を折る?

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 "長期金利急上昇(国債暴落危機?)" という事象を、もはや等閑(なおざり)にはできなくなっているはずだ。

 これまでの "通念/神話"(日本の "国債" は安全!?)を揺さぶり、覆しかねない、そんな "客観情勢" の火蓋が切られているからだ。

 その "情勢" とは、言わずと知れたアベノミクスとともに表面化した "円安/株高" 傾向のことだ。つまり、今、その "副作用" とも言えるかたちで、これまで "神話" 視されてきた日本の "国債" をめぐる環境に転機が訪れている、と警戒せざるを得ない。

 "円安/株高" 傾向は連日の数字更新が持て囃されても、それと相関関係にある "副作用" とも言うべき "長期金利急上昇" については "影" 扱いとしてしか注目されてはいない。とかく、クスリでもその効き目は吹聴されても、"副作用" については "地味" な扱いとされがちであることと同じことだ。

 そうしたこともあるため、この日誌では、以下のような記事をエントリーしながら、あえてバランスを取ることにも配慮したりしている。

 ◆ 参照 金利上昇、金融危機の"誘発点"はどこか?債務残高は利払い費増大で雪だるま式に膨張!(当誌 2013.05.18)

 ◆ 参照 アベノミクスが孕む財政赤字リスク!長期金利が急上昇(国債は暴落)してからでは遅い!(当誌 2013.05.16)

 しかし、さぞかし日銀とてこの問題に関しては "対処がしにくい" のではなかろうか。

 ところでつい先ほど、<日銀の黒田東彦総裁は22日、金融政策決定会合後に記者会見し、最近の長期金利の上昇が「実体経済に大きな影響を及ぼすとはみていない」と述べ、現時点では景気への悪影響は少ないとの見解を示した。日銀は国債市場を安定させるため、国債の買い入れペースや対象を見直し、弾力的に資金供給していく方針を明確にした>( 長期金利上昇「大きな影響ない」 日銀総裁が見解/【共同通信】/2013.05.22-18:15 ) との記事に接したが、それまで "0.880 %" であった "長期金利" は "0.885 %" へと上昇していた......。

 さて、下記引用サイト記事:長期金利:1年ぶり高水準0.880%/毎日jp/2013.05.21 における、喫緊の "長期金利急上昇" 状況について整理をしておきたい。

 <4月以降の長期金利上昇には複数の要因>は、次の3点。

 (1)投資資金の流れの変化:国債を売り、その資金を株式に回している>点。

 (2)メガバンクなど大手銀行が国債保有量を減らす動きを強めている(巨額損失回避のため)>点。

 (3)日銀の国債買い入れ拡大も長期金利上昇に影響/「国債価格や金利がかえって振れやすくなった」>点。ここに、日銀とて "対処がしにくい" という文脈がある。

 では、<長期金利上昇の問題点>とは何か?

 "財政再建" を困難にさせることは言うまでもないが、併せて "景気回復" の阻害、マイナス要因となる、点だ。当面は、より後者の問題点に留意されるべきかもしれない。

 (1)過去に発行した国債の元利払いに充てる国債費を膨らませる。先進国中で最悪の国の財政は一段と圧迫され、財政再建計画を狂わせかねない>。
 赤字国債を大幅に増発できない以上、金利負担が増えた分は政策に使う経費から削らざるを得なくなる点が問題となる。
 ちなみに、<2013年度一般会計予算のうち、国債費は約22.2兆円と歳出の約24%を占める。うち金利の変動の影響を受ける利払い費は約9.9兆円。政府は国債費を算出するために想定した長期金利を1.8%としているが、この水準を大きく上回ると、追加で財源を手当てする必要に迫られる> ということになる。

 (2)銀行の貸出金利アップなどで企業の設備投資や個人消費の圧迫要因となる> 点。
 これは、アベノミクスの "成長戦略" の少なからぬ "足枷(あしかせ)" となり、"景気回復気運" にブレーキを掛けて余りある

 恐らく、この推移では、"株価上昇" の流れはここしばらく継続するのであろう。そして、その動向と "密着" した "副作用" としての "長期金利上昇" もまた......。

 長期金利 : 1年ぶり高水準0.880%/毎日jp/2013.05.22-01:16

 長期金利の上昇基調が続いている21日の東京債券市場では長期金利の指標の新発10年物国債の利回り(終値)が前日より0.035ポイント高い0.880%と、約1年ぶりの高水準を記録した。「景気回復期待により投資資金が国債から株式にシフトした結果」(日銀幹部)だが、金利上昇の背景には、銀行による保有国債の売却加速や日銀の異次元緩和による国債市場の需給構造の激変も影響している市場では「今後も金利は上昇傾向」(アナリスト)との見方が多く、動向次第では、消費や投資を圧迫したり、国の借金の利払い費を膨らませたりするリスクがある

 4月以降の長期金利上昇には複数の要因が指摘される。一つは景気回復期待に伴う投資資金の流れの変化。円安進行で株高期待を強めたファンドなどは国債を売り、その資金を株式に回している。この結果、国債価格が下がり、金利が上がった。

 また、メガバンクなど大手銀行が国債保有量を減らす動きを強めていることが金利上昇に拍車を掛けている。銀行はデフレ長期化などで企業の借り入れ需要が乏しい中、国債投資を積み増してきた。メガバンクの国債保有額は数十兆円規模にのぼり、仮に国債価格が大幅に下落すれば、巨額の損失処理を迫られる。最近の国債価格下落を受け、メガバンクなどは保有額を圧縮し将来の損失リスクを抑えようと返済までの期間が長いものを中心に国債売却を加速。日本証券業協会によると、大手行の4月の国債売買状況は2.7兆円の売り越しで、これが長期金利上昇を助長している。

 さらに、異次元緩和に伴う日銀の国債買い入れ拡大も長期金利上昇に影響している。もともとは市場を通じて、新規国債発行額の7割に相当する規模(月7兆円)の国債を買い入れ、金利上昇を抑え込むのが狙い。しかし、日銀の買い入れがあまりに大規模なため、銀行など民間の投資家同士の取引が極端に減り「国債価格や金利がかえって振れやすくなった」(債券ディーラー)。このため、国債相場は乱高下しやすくなり、損失リスクを恐れる大手行などが国債保有量を減らそうとする誘因となっている

 日銀は21、22日の金融政策決定会合で異次元緩和の効果や、金融市場への影響などを点検する。長期金利上昇が日本経済に与える影響も議論する見通しで、市場では22日の会合後の記者会見で黒田東彦総裁が金利動向にどう言及するか注目される

 長期金利上昇は、過去に発行した国債の元利払いに充てる国債費を膨らませる。先進国中で最悪の国の財政は一段と圧迫され、財政再建計画を狂わせかねない。甘利明経済再生担当相は14日の記者会見で「金利が上昇すれば国債の利払いに跳ね返る。財政再建への影響は当然ある」と述べ、最近の長期金利上昇に警戒感を隠さなかった。政府・日銀は株高や実質成長率の上昇を「アベノミクスの成果」とアピールするが、今後は日本経済のアキレスけんとも言える長期金利の急上昇を回避できるかも大きな課題となりそうだ。【工藤昭久】


 "株価急上昇" と "長期金利急上昇" という "ジレンマ" の立ち上がりは、改めて、"異次元金融緩和" 策という金融政策のコントロールの難しさ! を指し示している...... (2013.05.23)













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