経済の "成長戦略" も重要であるが、社会の将来を考える時、"人口の先細り!" が確実となっている現状は非常に心細い。経済の成長・発展という問題にしたところが、この人口減少という推移は決定的な制約条件となっているはずであろう。
"少子高齢化" 事象は、"年金制度" の存立自体を脅かすとされるが、このままでは、国や社会の存立さえもが危うくなる可能性もなしとはしないのでは......。
この "人口の先細り!" 推移を、端的に知らしめるのが、"出生率/出生数" の統計値というわけだが、これが何とも "寒々とした" 事態となっている。
下記引用サイト記事:出生率が16年ぶり1.4超 12年、出生数は最少更新/日本経済新聞/2013.06.06-01:20 の図表/「合計特殊出生率と出生数」を見れば、その "寒々とした" 事態は一目瞭然である。
世界の先進国はいずれも同じ傾向だという指摘もあるが、"出生率" で言えば、日本が<1.41> であるのに対して、<フランスが2.01、英国が1.96、米国が1.89といずれも高い> ようであり、<「人口を維持するためにはまったく高くない水準」> というのは心細い限りである。
なお、<厚生労働省は5日、2012年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数)が前年を0.02ポイント上回る1.41だったと発表> とあるが、言うまでもないことであるが、やはり問題視されるべきは、"歯止めが掛からない出生数の減少!" の方であろう。
そして、この "寒々とした" 事態が、概して "社会の制度と環境のあり方" における諸問題によって引き起こされている点については、しばしば指摘されてきた。まさに、
<人口減に歯止めをかけるには、30歳代の働きながらの子育て環境を整えるだけでなく、低迷したままの20歳代の出生率も上向くような環境づくりが重要> ということになろう。
ロングスパンの視点で、ホンキで、国と社会の将来を憂慮できる政治家がいなくなった今、この "歯止めが掛からない出生数の減少!" という憂慮すべき問題はどうなってゆくのであろうか......。
出生率が16年ぶり1.4超 12年、出生数は最少更新/日本経済新聞/2013.06.06-01:20
厚生労働省は5日、2012年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数)が前年を0.02ポイント上回る1.41だったと発表した。上昇は2年ぶりで、1.4台の回復は1996年以来16年ぶり。30歳代の出生率が伸びたためで底打ちが鮮明となった。一方、出生数は過去最少で、人口減は続く。結婚や子育てを促す施策が求められる。
合計特殊出生率を押し上げたのは、第2次ベビーブーム期(71~74年生まれ)世代の「団塊ジュニア」に連なり、人口構成比の大きい30歳代の出産が増えているからだ。12年の出生率を年齢別でみると30歳代の上昇幅が大きく、10歳代と20歳代で低下した分を補った。40歳代も増えた。
出生率は80年代半ばの1.8台から、バブル崩壊を経て急速に低下。05年に過去最低の1.26となった。高学歴化に加え、経済低迷による先行き不安で、団塊ジュニアらが20歳代での結婚・出産をためらったのが大きい。
その団塊ジュニアらが30歳代半ばを迎えた06年以降、出生率はプラス基調に転じた。人口構成でボリュームの大きな層が結婚や出産のタイムリミットを意識した結果だ。
12年の平均初婚年齢は男性が30.8歳、女性が29.2歳。過去20年間で2~3歳上昇し「晩婚化」が進んだ。第1子出産時の母親の平均年齢は30.3歳で過去最高となり、「晩産化」も進んでいる。第1子の出生率は下がったが、30歳代の母親が再び産んで第2子や第3子以上の出生率は伸びている。
ただ、30歳代による押し上げ効果はいつまでも続かない。国内で生まれた赤ちゃんの数を示す出生数が、厳しい現実を示す。12年は103万7101人で、前年より1万3705人減少。2年連続で減った。一方死亡数は、戦後統計を取り始めた47年以降で最多の125万6254人。出生数と死亡数を差し引くと、6年連続の自然減だ。
合計特殊出生率が上昇したといっても、1.41は「人口を維持するためにはまったく高くない水準」(厚労省幹部)。他の先進国の11年の出生率をみれば、フランスが2.01、英国が1.96、米国が1.89といずれも高い。人口減に歯止めをかけるには、30歳代の働きながらの子育て環境を整えるだけでなく、低迷したままの20歳代の出生率も上向くような環境づくりが重要になる。
複雑な状況もあるとは言え、"出生率/出生数"、「晩婚化」、「晩産化」のいずれもが、経済的環境、就労の現場をめぐる劣悪な制度状況から悪影響を受けていることはまぎれもない事実であろう。改めて、"貧困な政治" の国、日本社会が情けなく思われてならない...... (2013.06.07)
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