現時点(7日 19:03)での "円相場" は "95円台" <95.91 - 94>となっている。凄まじい急騰ぶりだ。
そして、日経平均株価は、1万3000円を割り込み12,877円である。
アベノミクス効果とされてきたこの間の "円安/株高" 状態は、にわかに色褪せて来たようだ。これでも、とにかく "調整" プロセスという状況なのであろうが、この "急激な変化" で、"不安定さ/疑心暗鬼" の雰囲気は、市場関係者のみならず広い範囲の人々の心境を支配しはじめているようだ。
ここに来て、そうした嫌な雰囲気を否応なく高めているのは、度重なる "株価下落" に止まらず、"円安" 状況をまるで "巻き戻す" かのように "円" が "高騰" しはじめている点であろう。この動きがどこまで進むのか、その点に衆目が集まっているようだ。
なぜこうした "円高" へと巻き戻されたのか? について、下記引用サイト記事【 引用記事 1 】:NY外為市場 1ドル=95円台に/NHK NEWS WEB/2013.06.07-06:48 は次のように伝えている。
<6日の取り引きでは、雇用統計の発表を前にひとまず様子を見ようと、このところ値上がり傾向にあったドルを売って円を買う動きが広がりました。また、ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁が、この日の会見で追加的な金融緩和について踏み込んだ発言をしなかったことから、ユーロを買ってドルを売る動きが加速し、これにつられてドル売り円買いの動きも強まりました。> と。要するに、
<大きな取り引き材料があったわけではないが、雇用統計の発表を前に円高ドル安が進んだことが投資家の警戒感を強め、さらなるドル売り円買いを呼び込む形となった> というのである。
"FRB=連邦準備制度理事会による量的緩和政策縮小の模索" に端を発している市場の "不安定さ/疑心暗鬼" の雰囲気が誘発させた動きだと読める。
では、この動きは今後どう展開していくのか?
さし当たって、<日本時間7日夜に発表されるアメリカの雇用統計> の内容が、当面の判断 "材料" とされるようだが、どうもそれだけではないシビァな "伏線" がありそうな気配である。
下記引用サイト記事【 引用記事 2 】:来週の円は「独り相撲」のツケ払い、ファンド損失の流れ弾に注意/REUTERS/2013.06.07-16:30 は、以下のように警鐘を鳴らしている。
<来週の外為市場では、アベノミクスに対する一方的な期待感で上昇してきたドル/円の「独り相撲」の反動としての調整過程が続きそうだ。米長期金利の上昇や株安で損失を被った海外ファンドによる手じまいが、為替相場に影響する可能性もある> と。
つまり、<円の独り相撲> だったという点と <ファンドの損失> という点とが、今後の動きを方向づけて行くのではないか、と。
<最近のドル/円急落は、アベノミクスに対する一方的な期待感から、投機筋が積み上げたドルロング/円ショートの投げ(巻き戻し)が主因であり、いわば「円の独り相撲」のツケ払いと言える/ あまりにも一方的な期待感からドル/円を買ってきた人たちが、上がらないから投げるという現象はこの先もまだ続きそうだ>
そして、"アメリカの雇用統計" 絡みの動きに関しても、以下のとおりの悲観的な色合いが読み取れる。
<数字が悪ければ、さらに(ドル/円)が売られ、予想通りであってもドル/円の上値は重いだろう。予想を上回れば、下げ止まって投機筋が再びロングの構築に動く可能性もある> と。
<円の独り相撲> とその<ツケ払い> とは、言い得て妙だと感ぜざるを得ない......。
【 引用記事 1 】
NY外為市場 1ドル=95円台に/NHK NEWS WEB/2013.06.07-06:48
6日のニューヨーク外国為替市場は、日本時間7日夜に発表されるアメリカの雇用統計の内容や金融政策の先行きに注目が集まるなか、ドルを売って円を買う動きが加速し、円相場は、一時、およそ1か月半ぶりに1ドル=95円台まで値上がりしました。
ニューヨーク外国為替市場では、中央銀行に当たるFRB=連邦準備制度理事会が今の量的緩和政策を縮小するかどうかに大きな注目が集まっており、多くの投資家が翌日7日)日本時間7日夜)に発表されるアメリカの雇用統計の内容をその判断材料にしたいと考えています。
このため、6日の取り引きでは、雇用統計の発表を前にひとまず様子を見ようと、このところ値上がり傾向にあったドルを売って円を買う動きが広がりました。また、ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁が、この日の会見で追加的な金融緩和について踏み込んだ発言をしなかったことから、ユーロを買ってドルを売る動きが加速し、これにつられてドル売り円買いの動きも強まりました。 ......
市場関係者は「大きな取り引き材料があったわけではないが、雇用統計の発表を前に円高ドル安が進んだことが投資家の警戒感を強め、さらなるドル売り円買いを呼び込む形となった」と話しています。米金融関係者「FRBの対応に注目」
ニューヨークに本社があるヘッジファンド「FXコンセプツ」のジョン・テイラー会長は、今回の急激な円高ドル安について、「ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁が、追加的な金融緩和について踏み込んだ発言をしなかったことで、一部の投資家がユーロを買い戻してドルを売ったことがきっかけとなり、ドル売り円買いが加速した」と分析しています。 ......
そのうえで、テイラー会長は「FRB=連邦準備制度理事会は大変難しい政策判断を迫られている。金融緩和を縮小するのではないかという観測を基に、株式市場をはじめ、最近の金融市場が不安定になっていることを、FRBは考えざるをえないだろう。市場はハラハラしながら見守っている状況だ」と話しています。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
【 引用記事 2 】
来週の円は「独り相撲」のツケ払い、ファンド損失の流れ弾に注意/REUTERS/2013.06.07-16:30
[東京 7日 ロイター] - 来週の外為市場では、アベノミクスに対する一方的な期待感で上昇してきたドル/円の「独り相撲」の反動としての調整過程が続きそうだ。米長期金利の上昇や株安で損失を被った海外ファンドによる手じまいが、為替相場に影響する可能性もある。
一方、弱気な見方が支配的なユーロに向かっては、マネー流入が起きており、センチメントと実需のせめぎ合いとなりそうだ。
予想レンジはドル/円が93―100円、ユーロ/ドルが1.30―1.35ドル。
ドル/円について「1カ月かけて上がってきたものが、1週間で解消された。次の1週間でもう一度ドルロング( 引用者注 )を積み上げようということにはならないだろう」とSMBC日興証券、金融経済調査部・為替ストラテジストの野地慎氏は予想する。
( 引用者注 ) 「ロング」= 買い持ちポジション
<円の独り相撲とファンドの損失>
ドルは7日、95.55円まで下落し、日銀が「量的・質的金融緩和」に踏み切った4月4日以来の安値<を付けた。
最近のドル/円急落は、アベノミクスに対する一方的な期待感から、投機筋が積み上げたドルロング/円ショートの投げ(巻き戻し)が主因であり、いわば「円の独り相撲」のツケ払いと言える。
「あまりにも一方的な期待感からドル/円を買ってきた人たちが、上がらないから投げるという現象はこの先もまだ続きそうだ」(国内証券)。今回は同様の期待感から上がっていた株価の調整が先に来て、ドル/円の調整が遅れてきた格好だ。
一方、米金利の上昇を受けて、大手ヘッジファンドや商品投資顧問(CTA)の損失も報じられており、損失に伴う「流れ弾」(他市場でのポジション整理)にも注意が必要だという。
「アメリカが出口から出るのは半永久的に困難だと思うが、少なくともその思惑は長期金利を押し上げている。米債や日本株での損切りが、例えばドル/円のポジション整理につながることもある」(前出の機関投資家)。
英ヘッジファンド大手マン・グループの基幹ファンド、AHLは、世界の債券市場で保有するロング・ポジションでの損失により、運用資産が5月に10%以上減少した。AHLは日経平均にリンクした先物でもロング・ポジション保有していたとされる。ファイナンシャル・タイムズが5日の電子版で伝えた。
大手CTAのアスペクト・キャピタルの運用資産は5月に6.4%減少した。
<ユーロは「買う理由がない」のに底堅い>
ユーロについては、「買う理由が見当たらない」(外銀)との意見に代表される弱気の見方が支配的だ。しかし一方で、実際のグローバルな資金フローはむしろユーロ圏に流入している。 ......
「ユーロの経常黒字は急激に増えている。ただ、投機筋やアナリストの頭はユーロに対して弱気な見方で固まっており、これから頭を切り替えて、ロングに行こうという話は早々ならないだろう」(証券会社)という。
<日銀決定会合>
日銀は10、11日に開く金融政策決定会合で、上下に大きな変動を繰り返す金融・資本市場の動向とその影響、対応策などについて幅広く議論を進めると予想される。中でも長期金利の急速な上昇は緩和効果を削ぐ可能性があり、その対応策として資金供給オペの期間を2年以上に延長することを検討するとみられている。
「日銀の長期金利上昇抑制策の如何によって、あるいは参院選後の安倍政権の成長戦略によっては、95円割れの可能性も排除すべきではない」(野地氏)という。
<雇用統計>
ロイター調査によると、5月の米雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比17万人増と、4月の16万5000人増をわずかに上回る程度にとどまる見通しだ。米経済は閉塞状況を抜け出せず、米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れ規模が数カ月中に縮小するとの思惑を後退させる可能性があるとみられている。
「数字が悪ければ、さらに(ドル/円)が売られ、予想通りであってもドル/円の上値は重いだろう。予想を上回れば、下げ止まって投機筋が再びロングの構築に動く可能性もある」とFXプライム・取締役の上田真理人氏は言う。
(森 佳子)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
アベノミクスとは "大きな賭け!" だと評されることもあった。そして、現時点での状況を目の当たりにしてみると、"イージーカム、イージーゴー" という "賭け" の世界特有の言葉が、ふと脳裏を過ぎったりする...... (2013.06.08)
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