<iPS細胞などを使った再生医療の実現を支援する国の新たな事業>( iPS臨床応用 5研究を選定/NHK NEWS WEB/2013.07.02 - 19:22 ) の進展と歩調を合わせるように、"iPS細胞" 関連の研究が成果を挙げている。
これまで、<iPS細胞から肝臓の細胞は作られている> が、これらを "移植" をして<体内で機能させるには立体構造を作ることが必要> であったという。
"細胞" 単体ではなく、"肝臓モジュール(? 部分肝臓)" であることが必要だということなのであろうか。"立体構造" とはそういう意味だと解釈できる。
今回、この点での課題が解決されたということのようである。
下記引用サイト記事 【 引用記事 1 】:iPS細胞:横浜市大が肝臓のもと作製 マウス体内で機能/毎日jp/2013.07.04 - 02:00 は、以下のように報じている。
<さまざまな種類の細胞になりうるヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、肝臓のもととなる「小さな肝臓」を作り、マウスの体内で機能させることに世界で初めて成功したと、横浜市立大の谷口英樹教授(再生医学)の研究チームが発表した。臓器移植に代わる新たな治療法として応用できる可能性があるという>
"ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)" を元にして、最終的にマウスなどに移植できる "肝臓のもととなる「小さな肝臓」" を作り出すわけだが、このプロセスが "培養皿" の中で展開されるということのようである。
今回、この肝臓をマウスの体内に移植して機能させることに成功したのだという。
なお、将来、ヒトの肝臓への移植に際しては、<この小型の肝臓を患者の肝臓のおよそ30%に当たる分量を作り出し移植することが必要>( 下記引用サイト記事 【 引用記事 2 】:iPS細胞から肝臓 マウス治療成功/NHK NEWS WEB/2013.07.04 - 04:16 ) なのだそうであり、そのために、"実用化の課題" としては、<"小型の肝臓を量産する技術"> の開発なのだそうだ。
【 引用記事 1 】
iPS細胞 : 横浜市大が肝臓のもと作製 マウス体内で機能/毎日jp/2013.07.04 - 02:00
さまざまな種類の細胞になりうるヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、肝臓のもととなる「小さな肝臓」を作り、マウスの体内で機能させることに世界で初めて成功したと、横浜市立大の谷口英樹教授(再生医学)の研究チームが発表した。臓器移植に代わる新たな治療法として応用できる可能性があるという。4日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載される。
これまでiPS細胞から肝臓の細胞は作られているが、体内で機能させるには立体構造を作ることが必要だった。
谷口教授らは、ヒトのiPS細胞を肝臓の細胞になる直前の「内胚葉(ないはいよう)細胞」に成長させ、血管を作る細胞や細胞同士をつなぐ細胞と一緒に培養した。その結果、培養皿の中で細胞が自然に5ミリほどの球状に集まり、血管がある小さな肝臓ができたという。
この肝臓をマウスの体内に移植したところ、ヒトの肝臓でしか作られないたんぱく質などがマウスの血液から確認された。さらに、薬剤で肝不全にしたマウスに移植した結果、30日後の生存率は、移植しない場合の約30%から90%以上に高まったという。
今後、大人より必要な細胞が少なくてすむ子どもの肝臓病治療に向けた研究を進め、10年以内に臨床研究を目指すという。谷口教授は「小さな肝臓を大量に作って移植し、体内で成熟させる方法で臨床応用したい。それにはiPS細胞の安全性の評価も必要だ」と話す。【斎藤有香】
【 引用記事 2 】
iPS細胞から肝臓 マウス治療成功/NHK NEWS WEB/2013.07.04 - 04:16
...... 略 ......
谷口教授は、「小型の肝臓を量産する技術を開発できれば、臓器移植に代わる新たな治療法の開発につながる可能性があり、研究を加速したい」と話しています。
実用化の課題は
横浜市立大学のグループが行った今回の研究は、iPS細胞などを使った再生医療の実現を支援する国の事業に選ばれていて、毎年1億円程度の支援が行われることになっています。実用化の課題となるのは、小型の肝臓を量産する技術の開発です。実際の患者で治療効果を出すためには、この小型の肝臓を患者の肝臓のおよそ30%に当たる分量を作り出し移植することが必要です。そのためには、これまでの数百から数千倍の数の細胞が必要で、研究グループでは今後細胞を効率的に作り出す技術を開発し、7年以内に臨床研究を始めたいとしています。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
こうして、"臓器移植" に代わる "新たな治療法" が、iPS細胞の活用によって準備されて行くことは、実に喜ばしいことに違いない。
ただ、将来の話ではあるが、こうした治療法の恩恵に浴するためには、やはり多大な医療費が必要となるんだろうな......、と貧乏人としてはカネの心配が先立ってしまう...... (2013.07.05)
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