もはや、"景気" なぞという掴みどころのない言葉で、"雰囲気/空気" に呑まれ振り回されてはならないと思われる。
それは、ちょうど今どき "元気" という言葉で人の "健康状態" を括ろうとすることに多大なムリがあることと同じであろう。
無いよりはあった方がいいかもしれない "元気" ではあろうが、往々にして "カラ元気" は "深刻な病状" の実態を覆い隠したりもする。"カラ元気" の陰で、得体の知れない "高血圧" が深刻な病巣とともに潜伏しているといった話はいくらでもある。
"健全な健康指標" ならば、自ずから "安定した自然な元気" を作り出すはずだが、演出された "カラ元気" は、とかく "安定性/持続性" を欠くこと著しい。
まさに、日本経済の現状の "不安定さ" は、そうした "カラ元気" の特徴としての "安定性/持続性の欠落!" と "瓜二つ" だと言うほかない。
その代表格は、喫緊の日経平均株価の "不安定" この上ない推移であろう。こんなに "ボラティリティ(変動性)" が大きい事態は、やはり尋常ではない。"日経平均" なぞと言うよりも、新興市場のベンチャー企業株さながらの "ボラティリティ" である。
この8日の推移も、以下のとおりだ。
<「米株と新興国株の狭間で揺れる日本株」
日本株は堅調な米株と軟調な新興国株の狭間で揺れ動いた。日経平均 は序盤、円安と米株高を背景に一時200円近く上昇し、一時1万4500円に接近したが、アジア株が軒並み安になると急速に軟化、200円安まで下げ幅を拡大し安値引けとなった。......>( 〔クロスマーケットアイ〕リスクオンは新興国市場で急減速、堅調な米雇用統計で流動性縮小懸念/REUTERS/2013.07.08 17:17 )
"株価" の推移は、"景気" の一指標であるに過ぎないにもかかわらず、それも "ボラティリティ" が激しくなった "株価" を、"景気" を推し量る代表的指数とでもいうように吹聴する昨今の風潮は、"おかしい!" と言うほかなかろう。
おまけに、こうした "株価" の上昇現象を起点にして、"景気回復" もあるはずだと "早とちり" して、あるはずがない "景気回復の実感" を問うという重ね重ねの "早とちり" には開いた口がふさがらない。
もし、"景気回復の実感" を言うならば、「景気ウォッチャー調査」の結果の方が、まだ妥当性があるかに思える。
そして、下記引用サイト記事:景気の現状指数 3か月連続悪化/NHK NEWS WEB/2013.07.08 - 16:42 は、持て囃されている "アベノミクス" とは裏腹に、"景気の重苦しい側面" を淡々と浮かび上がらせている。
<働く人たちに景気の実感を聞く6月の「景気ウォッチャー調査」は、円安による原材料価格の上昇や株価市場の不安定な値動きを懸念する声が目立ったことなどから、景気の現状を示す指数が3か月連続で悪化/ 円安による原材料価格の上昇や、最近の株式市場の不安定な値動きを懸念する声が目立ったことなどが要因/ 特に企業関係者からは、経済の安定感がないと設備投資に踏み切れないという意見も/ また景気の先行きを示す指数も、53.6と前の月を2.6ポイント下回り、2か月連続で悪化/ 内閣府は景気に対する見方を、これまでの「持ち直している」から「このところ持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正......>
なお、景気浮揚を掲げる "アベノミクス" 経済政策の危うさについては、次のような週刊誌の吊り広告が、ふと、目に留まった。
<徹底検証 アベノミクス一皮むけば旧態自民
「総所得」1人150万円増のまやかし/民間活用 → 官僚支配拡大、TPP → 農家に100億円バラマキ/焼き直しだらけ......>(AERA 7月15日号 朝日新聞出版)
化けの皮は剥がれるもの、馬脚は現すもの......。ただ、演出者たちの "不都合な真実" が広く共有されるのは、来たる参院選による審判の前であった方が良いのかも......。
景気の現状指数 3か月連続悪化/NHK NEWS WEB/2013.07.08 - 16:42
働く人たちに景気の実感を聞く6月の「景気ウォッチャー調査」は、円安による原材料価格の上昇や株価市場の不安定な値動きを懸念する声が目立ったことなどから、景気の現状を示す指数が3か月連続で悪化しました。
この調査は内閣府が、全国の企業や小売店などの現場で働いている2000人余りを対象に、3か月前と比べた景気の実感を聞いたものです。
それによりますと、6月の景気の現状を示す指数は53で、前の月を2.7ポイント下回り、3か月連続で悪化しました。
これは、デパートで宝飾品など高額商品の販売が好調だという意見がある一方、円安による原材料価格の上昇や、最近の株式市場の不安定な値動きを懸念する声が目立ったことなどが要因です。
特に企業関係者からは、経済の安定感がないと設備投資に踏み切れないという意見も寄せられました。
また景気の先行きを示す指数も、53.6と前の月を2.6ポイント下回り、2か月連続で悪化しました。
このため内閣府は景気に対する見方を、これまでの「持ち直している」から「このところ持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正しました。
額面どおりの "景気回復" とは、文字通りの経済成長が安定的に、持続的に進展することであり、そのためには、"新たな富の創造" の基盤整備とともに、"既得権" によって阻まれている "非効率的" な経済慣行の改革、つまり "規制改革" が欠かせない。
一体、アベノミクスは、 "安定性/持続性の欠落!" 以外の何をもたらしたことになるのだろうか...... (2013.07.09)
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