「運動すると不安が鎮まる」という事実に "異論" を唱える人はそう多くないのではないかと思う。
自分も、もう半年以上になるが、毎日日課として、クロスバイクで10キロの自転車トレーニングをしていてそう思う。下記のフォトのように(但し、後続に彼女は付随しない点が異なるが......)。
何のためかといって、ダイエット、身体づくりのためなのだが、隠れた実感としては「不安が鎮まる」からだと言えないこともない。もはや、この時代に生きる者であれば「不安/ストレス」からは逃れられないのが常識であり、問題は、それをどうコントロールするのか......、であるに違いなかろう。
"週一" 程度のサイクリングであれば、"気晴らし" 効果はあるにしても、それはそれで終わってしまう。だが、これを "日課" にしてみると、別段 "金儲け" につながるわけではないにせよ、その効果は「不安が鎮まる」水準にまで高まっているとの自覚が生まれる。
確かに、下記引用サイト記事のように <効果は長期間続く/脳の細胞の組成が変化する> と言えなくもなさそうなのである。
下記引用サイト記事:運動すると不安が鎮まる:研究結果/WIRED/2013.07.17 が興味深いのは次の点なのかもしれない。
一般的に指摘されるように、"体を動かすこと=運動" は、<興奮しやすく、記憶力や思考力を高める>という点で脳に良い効果をもたらすものであろう。
しかし、それだけではなく、<運動は脳に落ち着きとリラックスを与えてくれる> ものでもある点、そこに関心を向けさせてくれるところが興味深いと言える。
一見、矛盾するかにも思える二つの "脳内現象" を、"ニューロン、シナプス、神経伝達物質" 領域の実験/分析で解き明かしている点が妙味なのである。
<要するに、トレーニングをしているマウスの海馬は、運動不足のマウスの海馬と比べて大きく異なっていました/ (そして、)ニューロンがより活発で、シナプスの数がより多いことが観察されるだけでなく、興奮しすぎたときに脳のプロセスにブレーキをかける『反応抑制剤』のニューロンも増えています/ (なお、)物理的に活動的なマウスたちの脳は、神経伝達物質GABA(Gamma Amino Butyric Acid:γ-アミノ酪酸)を放出することのできるニューロンを多量にもっていた。これは脳の活動を抑制して、過度の興奮を静める神経伝達物質だ。これらのニューロンは、感情とかかわっている海馬の部位に集中していた/ このため運動をするマウスは、脳がより活発であると同時に、よりリラックスしていられる/ (また、)注意すべき重要な点は、スポーツのもたらす有益な効果は長期間続くことだ>
"ニューロン、シナプス、神経伝達物質" 領域の議論にまで踏み込むと話は尽きなくなりそうなので、"継続的な運動" はダイエットに効果があるだけでなく、"不安解消/ストレス解消" にも効果がある! と書くに留めておきたい......。
運動すると不安が鎮まる : 研究結果/WIRED/2013.07.17
運動はわたしたちの脳を活性化し、同時に落ち着かせる。これにより、わたしたちはより活動的で、より落ち着いていることができる。ある研究が、運動をするマウスと運動不足のマウスの脳の違いを明らかにしている。
TEXT BY MICHELA DELL'AMICO
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI
WIRED NEWS (ITALIA)散歩、スポーツ、ストレッチなどの身体運動は、たとえわずかな運動であってもさまざまな効果をもたらす。多くの研究が行われているが、最近プリンストン大学で行われ、『Journal of Neuroscience』で発表されたものは、体を動かすことで、新しい神経細胞が生み出されることを明らかにした。こうした細胞は、興奮しやすく、記憶力や思考力を高めるのに最適だ。このため運動は、勉強や集中力の助けとなる。しかしその一方で、運動が脳の同じ部位に落ち着きとリラックスを与えてくれることを明らかにした研究も数多くある。これはどういうことだろうか?
スポーツが脳に及ぼす効果
プリンストン大学の研究者たちは、この一見矛盾する問題に注目して、マウスで実験を行った。一方のマウスは自由に運動用の車輪を利用できるようにしたが、もう一方は動かずにじっとしているようにさせた。そしてある特殊な物質によって、彼らの脳の中で新しく細胞が生まれると色が着くようにした。
6週間後に、マウスたちのストレスのレヴェルを測定した。運動をするマウスは、より探検好きで、可能であれば外で時間を過ごす傾向があった。これに対して運動不足のマウスは、まだ行ったことのない場所に近づくことにより多くの恐れや不安を示した。さらに、前者は多くの新しいニューロンをもち非常に活発だったが、後者はその反対だった。
そして同時に、物理的に活動的なマウスたちの脳は、神経伝達物質GABA(Gamma Amino Butyric Acid:γ-アミノ酪酸)を放出することのできるニューロンを多量にもっていた。これは脳の活動を抑制して、過度の興奮を静める神経伝達物質だ。これらのニューロンは、感情とかかわっている海馬の部位に集中していた。これは何の役に立つのだろうか?
研究者たちは、マウスを5分間冷水の中に置いた。不快でストレスの溜まる状況だ。この場合もマウスたちの脳の反応は、「運動をしているかどうか」によって分かれた。すべてのマウスが著しい脳の興奮を示したけれど、前者のグループの脳はすぐに恐れと不安を抑えることに成功した。ストレスの効果は長く続かなかった。彼らの脳はGABAを放出することのできるたくさんの数の「鎮静」ニューロンを活性化させたので、すぐに過度の不安を静めることができたのだ。反対に運動不足のマウスは長い間、冷水浴が原因で起きた不安の虜になっていた。
運動によりマウスの海馬は長期的に変化する
「要するに、トレーニングをしているマウスの海馬は、運動不足のマウスの海馬と比べて大きく異なっていました」と、研究の著者のひとり、エリザベス・グールドは『ニューヨーク・タイムズ』に説明した。
「ニューロンがより活発で、シナプスの数がより多いことが観察されるだけでなく、興奮しすぎたときに脳のプロセスにブレーキをかける『反応抑制剤』のニューロンも増えています」。
このため運動をするマウスは、脳がより活発であると同時に、よりリラックスしていられるのだ。
注意すべき重要な点は、スポーツのもたらす有益な効果は長期間続くことだ。「運動用の車輪を冷水浴の24時間前に止めてみました。運動をするグループのマウスたちは、新たに身体運動を行って効果を引き出すことはできませんでしたが、すでにそれまでに行った運動で十分であることがわかりました。彼らの反応の違いは、脳の構造にのみに起因していて、すでにほかのマウスとは異なるものになっていたのです」。
もちろん人間とマウスの脳は同じではないが、人間に対して行われたほかの研究も、運動はストレスを解消することを明らかにした(ただしさまざまなニューロンが活性化するかどうかははっきりしない)。「この新しい研究がわたしたちに告げているのは、スポーツをしているかどうかによって、脳の細胞の組成が変化するということです」。
これを書いていてふと思いを寄せたのは、あの "ランナーズハイ(Runners High)"(マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用。そのため脳内麻薬と呼ばれることもある。)という言葉だ。
"神経伝達物質" という点では共通しているようだが、上記記事のメカニズムとどう関係するのか分からない。
"すべての痛み" は "脳内" で構成されるらしいから、おそらくその裏返しである "鎮痛" 作用のメカニズムもまた "脳内" で構成されているのかもしれない...... (2013.07.18)
コメントする