この参院選で、"原発問題" が主たる "争点" とならなかった(?)ことが、"現代日本の不幸!" を簡潔に表現している、という意味のことを、昨日は書くことになった。( ◆ 参照 現代日本の不幸!今回の参院選、やはり"原発問題"こそが"争点"とされるべきであった!( 当誌 2013.07.19 ) )
ところで、先の7月15日の祭日は "海の日" であった。"海" がこの社会この国にとっての掛け替えのない宝であり、愛すべき対象であることからすれば、理に叶った "祭日" だと改めて思う。そして、この夏休みには子どもたちをはじめとして、多くの国民が "海" と親しむことになる。
そう考えると、"理に叶っていない!" のは、そんな貴重な "海" が、"放射性物質の垂れ流し" によって "汚染され続けている!" ことであり、さらに、政治もメディアも、そして少なからぬ世間が "黙殺" に近い素振りで "知らん顔" を決め込んでいることなのかもしれない......。
もちろん、世間の反応は一概に責められるものではない。"実利" があったればこそ、世間をとある彼方へと誘う商業主義メディアの不甲斐なさに失望しているだけのことである。
そして、そんなメディアの奮闘努力の甲斐があってか、この参院選は、"放射性物質の垂れ流し" からも、"原発問題" からも目が背けられ、ひたすら、<"アベノミクス" という "猫だまし/目くらまし" > による "独り舞台!" と相成った、いや、そうなりつつあると目に映る。
さて、"格差拡大社会" へと無慈悲に舵を切った経済社会においては、もはや "景気回復" という言葉は、庶民生活の向上とは "無縁!" であること は漸く気づかれつつある。だが、もっと丁寧に説明されなければならない。
そして、そうした "格差拡大社会" にあっても、庶民が唯一寄りすがれる "安らぎ" として残されていた "海" や "穏やかな天候" などの自然までもが、今や次第に失われつつある こと、それが "現代の不幸!" だと言える。
つまり、その "穏やかな天候" も、行き過ぎた経済活動に起因する "異常気象" によって撹乱され、宝の "海" もまた、"原発放射能汚染水の垂れ流し" によって汚されつつあるわけなのだから......。
下記引用サイト記事:斎藤環の東北:7月 原発汚染水と「震災忘却選挙」/毎日jp/2013.07.18 - 東京夕刊 は、以上のような思いに駆られる自分としては大いに共感できる内容であった。
<現在、福島第1原発では、深刻な地下水汚染問題が進行中/ これまでの100倍近い過去最悪のベータ線が検出/ 東電側は、汚染水流出や環境への影響については否定的/ しかしきちんと調査がなされたわけではない/ 漏出経路を特定し、それを防ぐ対策を立てることが何をおいても急務/ (しかし)世間の関心もメディアの追及も今ひとつ鈍い/ 世界最大級の電力会社にして、この危機管理能力の「欠落」は何事だろうか/ 人々の関心の低下と、なしくずしに原発推進に傾斜していく自民党の高支持率ぶりに乗じて事態はまたしてもうやむやにされていくのだろうか/ 人為的に投入された放射性同位体によって水源の特定が試みられたことがある。この手法が漏出経路の調査に応用できないだろうか/ 私は2013年夏の参院選を次のように呼ぶことをもう決めている。そう、あれは「震災忘却選挙」だったのだ、と>
斎藤環氏は "精神科医" であるからなのか、"忘却" という心理的用語をキーワードにされている。
ただ、あえて言えば、"忘却" とは、個々人の "心理的" プロセスの出来事であると同時に、メディア攻勢などに起因する "社会的" プロセスであることから目を逸らすと、「日本人は熱し易く、醒め易い」という凡庸な言い草に絡めとられてしまう......。
メディアが仕掛けた、"震災忘却選挙" という側面を軽視してはならないと思われる......。
斎藤環の東北:7月 原発汚染水と「震災忘却選挙」/毎日jp/2013.07.18 - 東京夕刊
現在、福島第1原発では、深刻な地下水汚染問題が進行中である。東京電力は12日、3、4号機のタービン建屋側の地下水から、これまでの100倍近い過去最悪のベータ線が検出されたと発表した(13日付毎日新聞ウェブ版)。
原子力規制委の田中俊一委員長は10日の記者会見で「海洋汚染は大なり小なり続いていると思う」と述べている。原発の建屋から、現在も放射性物質が太平洋へと垂れ流しになっている可能性が高いということだ。
もっとも東電側は、事故直後に漏れた汚染水が残留していたためと説明しており、建屋からの汚染水流出や環境への影響については否定的だ。しかしきちんと調査がなされたわけではない。
もしも漏出が現在進行形であるなら、漏出経路を特定し、それを防ぐ対策を立てることが何をおいても急務である。しかし、この件については、世間の関心もメディアの追及も今ひとつ鈍い印象が否めない。
ここで思い出されるのは、原発事故直後に汚染水が流出した際の東電の対応ぶりである。当時東電は、漏出経路を調査すべく、トレーサーとして乳白色の色素を用いた。トレーサーと言えば専門的に響くが、要は家庭用の入浴剤(バスクリン)を投入したのである。
このエピソードは、汚染水の流出を止めるために紙オムツ等に使用される高分子ポリマーや古新聞紙、おがくずが投入されたと報じられた際の絶望感とともに、決して忘れることができない。世界最大級の電力会社にして、この危機管理能力の「欠落」は何事だろうか。本気で「原発事故は有り得ない」と信じていたとしか思えない。
その茶番がまたしても繰り返されようとしている。人々の関心の低下と、なしくずしに原発推進に傾斜していく自民党の高支持率ぶりに乗じて事態はまたしてもうやむやにされていくのだろうか。
それにつけても不可解なのは、調査の手法である。目詰まりや吸着によって失われやすい染料や色素をなぜ使用するのだろう。もちろん私は門外漢の一人に過ぎないが、現状に一石を投ずる意味で、あえて具体的提言を試みたい。
例えば、かつて地下水調査では、人為的に投入された放射性同位体によって水源の特定が試みられたことがある。この手法が漏出経路の調査に応用できないだろうか。
核医学の分野でも、テクネチウム−99mやインジウム−111などの放射性同位体が検査目的で使用されることがある。テクネチウムは骨シンチグラムで使用され半減期は約6時間、インジウムは脳槽シンチグラムなどで使用され半減期は約3日と比較的短い。
いずれも私が知り得た限りでは、福島第1原発事故で放出された核種には含まれていない。遠隔操作ロボットなどを用いてこれらの核種を建屋内の冷却水に投入し、もし地下水や海水にこれらの同位体が検出されたら、建屋内からの漏出の可能性が高いとみなすことができるだろう。
現在は環境に配慮してこの手法は禁止されていると聞くが、すでにそれどころではない大量の放射性物質が拡散されている以上、人体投与が可能で半減期の短い核種の使用をためらう理由はないはずだ。
さて、この週末には参院選が控えている。どの政党も公約に「東北の復興」を掲げてはいる。しかし、もしこの報道が、原発推進へと傾斜してゆく現状の歯止めにならなかったとしたら、私は2013年夏の参院選を次のように呼ぶことをもう決めている。そう、あれは「震災忘却選挙」だったのだ、と。 (さいとう・たまき=精神科医、筑波大教授)=毎月1回掲載します
今回の参院選は、初の "インターネット解禁選挙" である。と同時に、一頃は "権力側" に不気味な警戒感をも促した "SNS" の "政治的影響力" については、決して "恐れるに足らず" という点を知らしめることにもつながってゆくのかもしれない......。
所詮は、"コップの中の嵐/炎上 ?!" 止まりで "線引き" されている "SNS" ! と暫定判断をするのは早合点なのであろうか...... (2013.07.20)
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