"東京電力福島第1原発の汚染水タンク" 問題での惨憺たる杜撰さも視野の外に置き、専ら、"経済性" の観点を優先させて "原発再稼働"/"原発推進" へと奔走するこの国の政府、主要メディア、そして "長いものには巻かれろ" を地で行く少なくない人々......。
やはり、"慌て過ぎている" としか思えない。急ぎ過ぎると、当然、"視界が狭まり" 周囲に見えるはずのものが見えなくなる......。
"3.11" で被災者が背負い続けている苦悩も、庶民にとって唯一のお宝である自然も、ますます警戒度が高まる "巨大地震/津波" 発生の可能性も、この国の人々が将来に渡って信じ続けたい "優しい自然" も、そして、"自然エネルギー" をこそと願って努力している人々の姿も......、そうした貴重な光景のすべてが "視界から外れて" しまう。前方にあるとされる "経済的効率" しか目に入らなくなるわけだ。
しかも、その "経済的効率" の果実が、多くの国民に寛大に分け振舞われるならば、まだ話にもなろう。だが、結局は、刈り取られる果実はいつも通り一部の富裕者層が手にするであろうことは、既に誰もが熟知しているはずである。
本来であれば、世界中が目を見張った "原発事故" の、その悲惨な被害国である日本こそが、"脱原発" 路線選択の "先頭" に立つべきだと、順当には考えられる。
まして、事故後、度重なる "杜撰な事後管理!" を見っともないほどに露呈させている現状からすれば、世界も溜飲を下げるはずであろう。
ところが、今、この "先頭" に立つのは、"ドイツ" なのである。
この "ドイツ" については、つい先日、猛暑のせいなのか、この国の政府高官が信じ難い "戯言" を呟いたという。( 参照 ナチスの憲法改正「手口学んだら」 麻生副総理が発言/朝日新聞/2013.08.01 - 01:17 )
その件については、あほらしい限りであり、視界にさえ入らない。ただ、"ドイツ" から学ぶべきは、そんなことではなくて、"ぶれない「脱原発」" 推進! へと針路を定めた聡明さであるに違いないと思うのである。
下記引用サイト記事:ドイツぶれない「脱原発」 日本の回帰「理解できぬ」/朝日新聞/2013.08.25 - 16:02 は、以下のように伝えている。
<東京電力福島第一原発の事故を受け、「原発ゼロ」を目指す方針を決めたドイツ。再稼働に向けて動き出した日本とは対照的に、9月の総選挙ではこの目標に争いはなく、与野党ともに自然エネルギーの推進を訴えている。ただ、自然エネの普及に伴って電気料金は値上がりが続いており、対策に苦労している>
随伴するそうした "コスト課題" を軽視するわけにはゆかないが、"惨憺たる不幸" を回避できる "真っ当な目標" のためには、国民の知恵も努力も結集されるに違いなかろう。
"原発依存" に目を向けるならば、避け切れない "原発事故" を想定し、それによる "核物質汚染" の広がりで、国土が長期にわたって危機的状況に陥れられる可能性が高いこと、そうしたリアリティを見つめるのが "聡明さ!" であると言わざるを得ない......。
ドイツぶれない「脱原発」 日本の回帰「理解できぬ」/朝日新聞/2013.08.25 - 16:02
【ベルリン=松井健】東京電力福島第一原発の事故を受け、「原発ゼロ」を目指す方針を決めたドイツ。再稼働に向けて動き出した日本とは対照的に、9月の総選挙ではこの目標に争いはなく、与野党ともに自然エネルギーの推進を訴えている。ただ、自然エネの普及に伴って電気料金は値上がりが続いており、対策に苦労している。
■総選挙、与野党とも自然エネ推進
ドイツは福島事故後に超党派で「脱原発」を決めた。事故前に17基あった原発のうち8基を閉鎖し、残る9基を2022年までに順次閉鎖。自然エネルギーによる電力の比率を20年までに35%、30年までに50%へ増やす目標を立てた。
自然エネは想定以上のペースで拡大し、事故前の10年に電力の22・4%をまかなっていた原子力の比率は12年に16・1%まで低下。一方、自然エネは16・4%から22・1%まで増えた。
懸念された電力不足も起きず、天気の良い時には自然エネの発電量が火力や原子力など従来型発電所の総発電量を上回る日も出てきた。
メルケル首相は7月、「エネルギー政策の目標を達成できると確信している」と、脱原発の方針を確認。9月22日にある選挙の公約でも、最大与党のキリスト教民主同盟(CDU)が「強い決意でエネルギー政策の大転換を前進させる」、最大野党の社会民主党(SPD)も「世界がドイツを見ている。エネルギー政策の大転換が成功すれば、中国のような新興国にとっても成長モデルとなる」と方向は一致している。
日本が「経済性」や「エネルギー安全保障」を理由に再び原発に回帰しつつあるのに対し、ドイツでは「脱原発」の方針は揺るぎない。国内産の石炭を使った火力発電が多いことや、島国の日本と異なり、国境を越えて送電網がつながっているという違いはある。だが、チェルノブイリ事故以来続いていた原発を巡る国民的論争が、福島の事故を経て「原子力は制御不可能」という国民的合意になったことが根底にある。
ドイツ国内でも、低・中レベル放射性廃棄物を埋めた地層の周辺に地下水が浸入していることが判明し、昨年、代替場所のあてのないまま、地上への回収を目指す作業が始まった。
日本の「原発回帰」には批判的な見方が強い。エネルギー政策の提言を続けているライナー・バーケ元環境省次官は「過去に恐ろしい経験をした国が再び原発を推進するのは理解できない。勇気を持って自然エネルギーへの転換に取りかかるべきだ」と話す。
■買い取り制度、見直し策争点
ただ、課題は山積している。最大の問題は電気料金値上がりだ。独エネルギー水道事業連合会によると、平均家庭の電気料金は月69・10ユーロ(10年)から83・80ユーロ(13年)へと2千円近く増えた。自然エネの普及を促すための固定価格買い取り制度による、電気料金への上乗せ分が増え続けているためだ。
そのため、メルケル政権のアルトマイヤー環境相(CDU)が買い取り価格の大幅削減を訴えるなど、固定価格買い取り制度の見直しが議論に上っている。だが、自然エネの普及ペースを減速させる可能性があり、野党は反対している。
SPDは、電気にかかる税金の減税を主張。野党・緑の党は、メルケル政権が進めた固定価格買い取り制度の大企業への優遇拡大をやめ、一般家庭の値上げを抑えるべきだと主張している。現状では、年1ギガワット時以上使う企業の電気料金への上乗せ分は家庭の10%以下に優遇されている。
「論より証拠」と言うが、"東京電力福島原発事故" での "事後処理" でさえ、信じられないほどに滞り、その事実を知る者は "不信感" を募らせているにもかかわらず、"今後の原発に限っては安全" と強弁する! こと、それは何と理不尽で "無理スジ" なことであろうか...... (2013.08.27)
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