何だか、暴走する "ハッタリ社長" が牛耳る会社の社員となったかのような、実に不安な気分にさせられている。
五輪招致での、「福島第一原発の状況はコントロール下にあって、東京にダメージを与えない」という "嘘に近い" パフォーマンス! もそのハッタリ以外ではなかったことだし、"東京五輪決定 → 消費増税ほぼ決定!"(後述参照)という流れからは、当然懸念されるはずの、財政健全化を頓挫させる拡張主義(後述参照)への踏込み! という、その危なっかしさを警戒せざるを得ないようだ......。
とかく、安倍晋三首相のメッセージは、官僚作文読み上げゆえの明瞭な響きはあるものの、綺麗事で覆われ続けるためかその心根が見えにくい。だから、"ハッタリ!" だと受けとめざるを得ないのだ。
言うまでもなく、かねてからの "消費増税" 策は、ひとえに現状の極端な "赤字財政" の、その再建に向けられたものであったはずだ。だから少なからぬ国民の支持が生まれもしたのであろう。少しでも "社会福祉財源" の安定化に繋がってゆけばと願う国民の思いが託されていたはずだ。
ところが、もし、そうした 国民の "実直な願い" とはかけ離れたところで、"赤字財政健全化" の動きが撹乱されるならば、国民は一体どう考えるだろうか......。
以下の記述は、そうした懸念と大いに関係している。
ところで、今日12日、"消費増税" が "内定" したようである。
<安倍晋三首相が、来年4月に消費税率を5%から8%へ予定通り引き上げる方針を固めたことが12日分かった。......>( 消費税率、来年4月8%に 首相、10月1日表明へ/【共同通信】/2013.09.12 )
"消費増税" 策に関しては、"景気動向の腰砕け" が懸念されたことで、その決定が先送り(10月まで)されてきたのであった。
ところが、上記記事のとおりの推移なのである。この時点で、景気状況が大きく改善して "消費増税" 策の判断を促した事実は特別見当たらない。むしろ、 7月の機械受注0・025%減 2カ月連続マイナス/【共同通信】/2013.09.12 という "マイナス材料" があったくらいである。
とすれば、"東京五輪決定 → 消費増税ほぼ決定!" という文脈にこそ目を向けるのが自然だと思われる。
"東京五輪決定" による "経済効果" が、"トリガー(引き金)" となり、有力な "判断材料" となったのではなかろうか、と推測しても不思議ではなさそうである。
ところで、"東京五輪決定" による "経済効果" の、その程度はどんなものなのであろうか?
これに関して意外な解説をしているのが、下記引用サイト記事:コラム:東京五輪決定、経済効果には疑問符/REUTERS/2013.09.09 - 17:54 なのである。
<2020年夏季五輪の東京開催が決定したことによる日本への影響は、経済効果というよりは、主に心理的な好影響にとどまるだろう/ 五輪関連の投資活動が日本をデフレから脱却させるとの期待は見当違いだ/ 東京は昨年、五輪開催が3兆円の経済波及効果と15万人の雇用創出につながるとの試算を発表した。これは国内総生産(GDP)をわずか0.5%押し上げるだけにすぎない/ 長期的にみれば、日本が五輪開催から期待できる効果はせいぜい消費者マインドの改善程度にすぎないだろう> と。
要するに、大方の推測に反して、意外にも "効果は少ない!" というのだ。
もし、この見立てが正しいとするならば、むしろ気掛かりとなり、目を向けるべき点は、別な論者が指摘/警告する以下の動きではないかと思えたのである。
<......東京五輪に合わせて、大規模な社会インフラを建設したいという政治的気運が高まらないとも限らない。2度の消費税増税では賄えないくらいの財政負担が生じれば、20年の基礎的財政収支の黒字化計画はあえなく頓挫してしまう。
幾度かの選挙を経たとして、財政再建の堅持と東京五輪を天秤にかけて、拡張主義の魅惑を我慢し続けられるのだろうか。東京五輪は、日本経済を復活させる幸運の女神のままでいられるのか、それとも拡張主義に走らせる罠になるのであろうか。くれぐれも慎重であってほしい。>( コラム:東京五輪は女神か罠か=熊野英生氏/REUTERS/2013.09.10 - 20:08 )
つまり、一般的に想定される "東京五輪決定" による "経済効果" の規模( 多分、この辺の大小くらいは、現政府/官僚は織り込み済みのはずである )がどうであろうと、むしろ、これに "便乗!" して為されるであろう景気刺激向け "公共投資!" こそが注意深く見つめられなければならない、という視点なのである。
アベノミクスという "異次元の金融緩和策" のためには、"カネ(財源)に糸目はつけない" 政府であったのだから、ここで "五輪開催という大義名分" が備わることで、景気刺激向け "公共投資!" に躊躇しないこと、それは容易に想像可能だと言うべきなのではなかろうか。
"東京五輪決定 → 消費増税ほぼ決定!" という推移が意味するものは、端的に言えば、景気刺激向け "公共投資!" が、"五輪開催という大義名分" によって "進め易くなる!" というロジックなのだろうと思われる。
"危機的財政赤字" の問題よりも、"景気刺激向け公共投資!" を優先させるためのロジックを得た! というのが真相なのではなかろうか......。
コラム : 東京五輪決定、経済効果には疑問符/REUTERS/2013.09.09 - 17:54
By Peter Thal Larsen
2020年夏季五輪の東京開催が決定したことによる日本への影響は、経済効果というよりは、主に心理的な好影響にとどまるだろう。
五輪開催は、安倍晋三首相が進める日本の自信回復にとっては追い風となる。しかし一方で、五輪関連の投資活動が日本をデフレから脱却させるとの期待は見当違いだ。
東京が初めて五輪を招致した1964年、オリンピック開催は日本が現代的かつ技術的に進歩した経済国家になりつつあるというメッセージを内外に発した。安倍首相が日本を「失われた20年」から抜け出させることに成功すれば、2020年の五輪は世界に対して日本復活を高らかに宣言する舞台となるだろう。
ただ、2020年五輪で使われる競技場などについては、東京は既存施設の利用を掲げており、追加投資は控えめな規模となる。投資予算額は約44億ドルにとどまり、既にある準備金から拠出される予定。五輪運営にかかる約34億ドルはチケットや関連商品の販売、スポンサーの資金提供によってカバーされる。
五輪関連の支出が当初の予算を大幅に上回ることはよくあることだ。2012年のロンドン五輪では、計画していた予算の3倍の資金がつぎ込まれた。また2004年のアテネ五輪は、既に財政問題を抱えていたギリシャ政府にさらなる負担を課した。しかし、2013年の一般会計歳出が過去最大の93兆円台に上るとみられる日本政府にとっては、そうした五輪予算も「誤算の範囲」だろう。
五輪に合わせて選手やコーチ、報道機関や観客らが世界中から集まることで、ホテルやレストランの新設、増設、改修が見込まれるが、この点でも経済効果は限定的だ。
東京は昨年、五輪開催が3兆円の経済波及効果と15万人の雇用創出につながるとの試算を発表した。これは国内総生産(GDP)をわずか0.5%押し上げるだけにすぎない。また、投資の中には以前から計画されていたが、実施が前倒しになるだけのものも含まれる。
招致決定を受け日本株は上昇した。野村証券によると、過去にオリンピック招致が決まった7カ国のうち6カ国は、決定発表から200日間で株価が平均15.9%上昇した。しかし長期的にみれば、日本が五輪開催から期待できる効果はせいぜい消費者マインドの改善程度にすぎないだろう。
[香港 9日 ロイターBREAKINGVIEWS]
上記引用の中に、<2004年のアテネ五輪は、既に財政問題を抱えていたギリシャ政府にさらなる負担を課した> とあるが、そのギリシャの財政上の結末! を、われわれは "鳥肌を立てて" 伝え聞いていたはずだ。
暴走する "ハッタリ社長" が牛耳る会社 であればこそ、社員は、細心の注意を払いながら一部始終を監視しなければならないようである...... (2013.09.13)
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