"遺伝子" 技術の進歩! その "目覚ましさ" は良しとして、その反面でいよいよ "生命倫理" に抵触しかねない危険水域に足を踏み入れつつあるのか......?
下記引用サイト記事:米国で子の遺伝予測に特許 「デザイナーベビー」と批判/【共同通信】/2013.10.20 - 18:14 が、その最新状況を伝えている。
<両親の唾液などに含まれるわずかな遺伝子情報を解析し、生まれてくる子どもの目の色や背の高さ、がんなどの病気になるリスクを予測する手法の特許が19日までに米国で認められた/ 生命倫理の専門家は、予測を利用して提供者などから精子や卵子を選ぶと、望ましい特徴を持つ子どもを生む「デザイナーベビー」につながりかねないと批判/ (特許保持会社は)「遺伝子と健康に関する理解を高めるのが狙い。子どもを選別する生殖医療に応用するつもりはない」と説明> とある。
ちなみに、"デザイナーベビー" でネット検索をしてみると、既に10年以上前から注目/懸念されていたことが分かった。
下記の【 参照記事 】:クローン人間以上に切迫した「デザイナーベビー」の問題/WIRED/2002.03.04 がそれである。
<遺伝子診断技術の進歩によって、健康な子どもを産むチャンスは増えるだろう。しかし、病気の可能性を除去するだけでなく、親が子どもを自分たちの好きなようにデザインする道までも開けてしまう。「デザイナーベビー」はクローン人間の問題以上に切迫している、と生命倫理学者たちは懸念を表明している。> と。
そして、その懸念内容を次のように伝えている。
<遺伝子を調べることで、病気の可能性を除去するだけでなく子どもを自分たちの好きなようにデザインしたい親なら、大勢いる/ このままでは、子孫を自らデザインするための道が開けてしまう/ 遺伝子診断は高額で、近い将来も保険でカバーされる見込みが薄いため、貧しい人たちは受精卵の遺伝的欠陥が発見できないことになる/ 貧乏人は恐ろしい遺伝子病を持った子どもを産むかもしれないのに、金持ちだけはそれを回避できるなんて不公平だ/ 貧困層は、それほど賢くなく、確実に頭髪がなくなり、音程の全く取れない子どもを育てることになる可能性があるのに、富裕層は、遺伝学的に選別を受けた、見目麗しく才能にあふれた子どもを持てる> と......。
"デジタルデバイド(Digital Divide)"(コンピューターやインターネットなどを使いこなせる立場と使いこなせない立場の間に生じる格差!)という言葉があるが、上記の "子の遺伝予測" もまた、 "格差" と一体となり "遺伝子デバイド" を生み出すことになりかねない......。
【 引用記事 】
米国で子の遺伝予測に特許 「デザイナーベビー」と批判/【共同通信】/2013.10.20 - 18:14
【ワシントン共同】 両親の唾液などに含まれるわずかな遺伝子情報を解析し、生まれてくる子どもの目の色や背の高さ、がんなどの病気になるリスクを予測する手法の特許が19日までに米国で認められた。
生命倫理の専門家は、予測を利用して提供者などから精子や卵子を選ぶと、望ましい特徴を持つ子どもを生む「デザイナーベビー」につながりかねないと批判。特許を持つカリフォルニア州の遺伝子検査会社「23アンドミー」は「遺伝子と健康に関する理解を高めるのが狙い。子どもを選別する生殖医療に応用するつもりはない」と説明する。
【 参照記事 】
クローン人間以上に切迫した「デザイナーベビー」の問題/WIRED/2002.03.04
遺伝子診断技術の進歩によって、健康な子どもを産むチャンスは増えるだろう。しかし、病気の可能性を除去するだけでなく、親が子どもを自分たちの好きなようにデザインする道までも開けてしまう。「デザイナーベビー」はクローン人間の問題以上に切迫している、と生命倫理学者たちは懸念を表明している。Kristen Philipkoski 2002年03月04日
政治家や宗教界の指導者たちがクローン人間の是非を議論する一方で、もっと切迫した問題が影を落としはじめたと生命倫理学者たちは述べている。「デザイナーベビー」が実現する可能性だ。
デザイナーベビーを産み出すためにクローン技術はいらない。26日(米時間)、試験管の中で作られた複数の受精卵から選び出した赤ちゃんを出産した女性について報道があった。遺伝子診断の結果から科学者たちが選んだのは、アルツハイマー病の早期発症という母親のもつ遺伝形質を受け継いでいない受精卵だった。......
受精卵を子宮に着床させる前の遺伝子診断技術の進歩にともなって、診断に対する要望と責任も高まってきた。だが、このような遺伝子診断の行き着く先には、親が子どもをSF映画『ガタカ』のようにデザインしてしまう危険性がある、と生命倫理学者たちは警告している。......
カプラン氏によると、クローニングを実行したいと希望する人はほとんどいないという。ところが、遺伝子を調べることで、病気の可能性を除去するだけでなく子どもを自分たちの好きなようにデザインしたい親なら、大勢いるのだ。
「このままでは、子孫を自らデザインするための道が開けてしまう」とカプラン氏。
現在、ヒトゲノム計画はほぼ完了し、探究の主眼は、数千種に及ぶ診断可能な遺伝形質の発見に向かっている。
「こうして、社会全体が今まであまり真剣に考えてこなかった特異な問題が浮上してきた」と語るのは、米国法律・医学・倫理協会の専務理事、ベンジャミン・モールトン博士だ。
社会的な要求が大きくなれば、精子と卵子を提供しているサービス機関は、遺伝子診断に関して、より大きな責任を負うようになるだろう。
「(遺伝子診断の)件数が増えるだけでなく、もし実施しなかった場合に、法的責任を問われるようになるだろう」とカプラン氏は述べた。......
しかし専門家によると、遺伝子病のあらゆる可能性をチェックするのは、コストの面で不可能だという。......
遺伝子診断は高額で、近い将来も保険でカバーされる見込みが薄いため、貧しい人たちは受精卵の遺伝的欠陥が発見できないことになる、と倫理学者たちは懸念を表明している。
「貧乏人は恐ろしい遺伝子病を持った子どもを産むかもしれないのに、金持ちだけはそれを回避できるなんて不公平だ」とカプラン氏は述べた。
専門家によると、不公平なことはまだあるという。貧困層は、それほど賢くなく、確実に頭髪がなくなり、音程の全く取れない子どもを育てることになる可能性があるのに、富裕層は、遺伝学的に選別を受けた、見目麗しく才能にあふれた子どもを持てるというわけだ。
「すべての提供者に理想を求める親がいる。背が高く、美しく、知的で、何一つ病気を持っていない人であってほしい、というわけだ。あいにく、人間はそんな風にはできていない」と、カリフォルニア州アラミダの精子バンク、レインボーフラッグ・ヘルスサービスを経営するリーランド・トレイマン氏は述べた。
「簡単に言ってしまえば――本当の生きた人間の精子が欲しいのか、それとも、いまだにクラーク・ケントの精子を求めているのか、ということだ」
[日本語版:茂木健/湯田賢司]( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
"科学の進歩" は歓迎されるべきであるが、他方で "警戒すべき点" があることも否めない。つまり、現実の世界は "格差社会" の度合いを深めるばかりなのであり、"科学の恩恵" とてその原理にしたがって反映されるという点だ。
"科学の成果" が大きければ大きいほど、その "恩恵の有無" が "格差" の現実を増幅することになりかねないからだ...... (2013.10.22)
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