より快適な性能であることはもちろんながら、"スマホ" を "より低コスト" で愛用したいという人々の願望は、ますます高まっている。
つい先日も、通信料の点から、"SIMフリー" スマホの最新動向について目を向けた。( ◆ 参照 漸く、国内でも "SIMフリー" スマホが気軽に使える環境!アップルSIMフリーiPhone5!( 当誌 2013.11.24 ) )
恐らく、今後の "スマホ" の動向は、高性能であることに軸足を置きながらも、ますます "手頃な価格!" への関心が強まって行くものと思われる。
と言うのも、世界中には、現 "スマホユーザー" の背後に、まだまだ多数の "ユーザー" 候補群が控えており、その数は何億人という規模に上ると想定されてもいるからだ。
その動きはすでに、"1万円を切る低価格" の" スマホ" 提供というかたちをとって始まっているようだ。
そんな今後の動向の中で、やはり注目しておいて良さそうなのが、ブラウザ「Firefox(ファイアフォックス)」でよく知られた "米モジラ財団" の "異色のアプローチ" ではないかと思われる。そこで、やや以前の記事(今年8月下旬)ではあるが振り返ってみることにした。
下記引用サイト記事 : 10億人向けに1万円スマホ オープンOSで激安に ジャーナリスト 石川 温/日本経済新聞/2013.08.23 - 07:00 は、"性能" についても十分に期待が持てそうな "ファイアフォックスOS搭載スマホ" について興味深く紹介している。
<世界のスマートフォン(スマホ)市場で、「第3のOS(基本ソフト)」を巡る争いが激しくなっている。市場を二分する米アップルの「iPhone」と米グーグルの「Android」搭載機に続く第三極の位置を狙う動きで、中でも「Firefox(ファイアフォックス)」ブラウザで有名な米モジラ財団が開発する「ファイアフォックスOS」は、携帯電話を扱う世界中の事業者(キャリア)やメーカーから高い関心を集めている。>
注目すべき点は以下のように整理できそうか。
<■スマホ未経験の人をターゲット/ ファイアフォックスOSは安価なCPUを使ったスマホでも稼働させることが可能だ。そのため、これからスマホを使う「次の10億人」市場を狙うための低価格スマホ用OSとして期待が高い/ 日本では、KDDIがファイアフォックスOSを採用したスマートフォンを開発中>
<■Androidよりオープン/ ファイアフォックスOSの特徴は、最新のウェブ技術である「HTML5」をベースに作っていること。電話やSMS(簡易メール)、センサーなどの機能をすべてHTML5で提供/ 徹底したオープンなプラットフォームとして開発していることも、ファイアフォックスOSの特徴>
<■複数の会社が分担しながら技術を共有/ ファイアフォックスOSに関しては、開発者コミュニティがあり、そこにテレフォニカやドイツテレコム、KDDIといったキャリアやメーカー、チップセットベンダーも参加して、各自が必要とするもの、得意分野を持ち寄って開発を進めている/ 開発者コミュニティで各社が開発した技術はオープンとなる。KDDIが開発した技術は他のキャリアも利用できるし、他キャリアが開発したものもKDDIは活用できる。徹底したオープンな思想によって、技術をシェアしようという考え方は、パソコン向けブラウザのころから何ら変わっていない>
<■目的は利益ではなく技術を広めること/ モジラがオープンな立場を徹底的に貫けるのは、NPOという組織体制になっているからだ モジラは利益を出す必要がない/ 我々はNPOなので収益を得ることがゴールではない。株主もいないので、利益追求をアピールする必要もなく、目的がアップルやグーグルとは全く違う。我々の使命はオープンな技術を作り出し、広めることだけだ( ガル氏 )>
<■日本でも来年登場/ ファイアフォックスOSを搭載したスマホは、日本でもKDDIが来年中には発売の予定 モジラとKDDIの手腕が試されようとしている>
記事を読むだけでも、"盛り込まれた魅力/価値" の充実! が躍動的に伝わってくる......。
10億人向けに1万円スマホ オープンOSで激安に ジャーナリスト 石川 温/日本経済新聞/2013.08.23 - 07:00
世界のスマートフォン(スマホ)市場で、「第3のOS(基本ソフト)」を巡る争いが激しくなっている。市場を二分する米アップルの「iPhone」と米グーグルの「Android」搭載機に続く第三極の位置を狙う動きで、中でも「Firefox(ファイアフォックス)」ブラウザで有名な米モジラ財団が開発する「ファイアフォックスOS」は、携帯電話を扱う世界中の事業者(キャリア)やメーカーから高い関心を集めている。
■スマホ未経験の人をターゲット
Androidでは、デュアルコアやクアッドコアといった高スペックなCPUが必要なことが多いが、ファイアフォックスOSは安価なCPUを使ったスマホでも稼働させることが可能だ。そのため、これからスマホを使う「次の10億人」市場を狙うための低価格スマホ用OSとして期待が高い。
すでに中国のZTE(中興通訊)が「ZTE Open」という搭載スマホを開発し、米国と英国のイーベイで79.99米ドル(約7800円)あるいは59.99英ポンド(約9000円)という1万円を切る低価格で販売している。スペインでも、大手通信事業者であるモビスターが発売済み。日本では、KDDIがファイアフォックスOSを採用したスマートフォンを開発中だ。
高性能なスマホが普及している日本では、ユーザーはハイスペックな仕様を求める。そのため、日本ではファイアフォックスOS搭載スマホも、それなりにスペックの高いものになりそうだ。一方、ユーザーインターフェースも自由に開発できることから、フィーチャーフォン用のOSとしても採用される可能性もありそうだ。
■Androidよりオープン
ファイアフォックスOSの特徴は、最新のウェブ技術である「HTML5」をベースに作っていること。電話やSMS(簡易メール)、センサーなどの機能をすべてHTML5で提供している。「昔に比べてパワフルになり、ネイティブアプリと変わらないくらいに扱える」(モジラでファイアフォックスOSを統括するアンドレアス・ガル氏)という。
徹底したオープンなプラットフォームとして開発していることも、ファイアフォックスOSの特徴だ。
Androidが登場した当初、グーグルは「オープンプラットフォームだ」と、...... 訴求していた。だが、ふたを開けてみれば、...... 必ずしも「オープン」とは言いがたい状況になっていた。 ...... とにかくAndroidはキャリアにとっては扱いづらいプラットフォームと言えるのだ。
■複数の会社が分担しながら技術を共有
そんななか、キャリアが自分で自由に設計・開発できるプラットフォームとして登場したのがファイアフォックスOSだ。モジラのガル氏は「我々は過去10年、パソコン(PC)向けブラウザではオープンさで成功を収めてきた。モバイルの世界でも、エコシステムは他社のようにクローズドではなく、徹底的にオープンだ」と語る。
米国サンフランシスコに拠点を置くモジラは、とても小さな組織だ。ファイアフォックスOSに関しては、開発者コミュニティがあり、そこにテレフォニカやドイツテレコム、KDDIといったキャリアやメーカー、チップセットベンダーも参加して、各自が必要とするもの、得意分野を持ち寄って開発を進めている。
KDDI
に関しては「彼らはセキュリティを重視し、特に(子供による利用を制限する)ペアレンタルコントロール機能を重視して開発を進めている」(ガル氏)という。KDDIによると、トラフィックをコントロールするような技術も併せて開発しているとのことだ。開発者コミュニティで各社が開発した技術はオープンとなる。KDDIが開発した技術は他のキャリアも利用できるし、他キャリアが開発したものもKDDIは活用できる。徹底したオープンな思想によって、技術をシェアしようという考え方は、パソコン向けブラウザのころから何ら変わっていない。
■目的は利益ではなく技術を広めること
モジラがオープンな立場を徹底的に貫けるのは、NPOという組織体制になっているからだ。グーグルであればモバイル向け広告、アップルは製品やコンテンツを売ることで利益を追求していくが、モジラは利益を出す必要がない。
「我々はNPOなので収益を得ることがゴールではない。株主もいないので、利益追求をアピールする必要もなく、目的がアップルやグーグルとは全く違う。我々の使命はオープンな技術を作り出し、広めることだけだ」( ガル氏 )
気になるのは、世界の名だたるキャリアやメーカーが集まると、お互いが自分の利益につながる主張ばかりして、プラットフォームとしてまとまらないことが多いという点だ。過去にもモバイル業界にはキャリアが集まって様々なプラットフォームを企画したが、ほとんどが頓挫してしまっている。ファイアフォックスOSにはそういった心配はないのだろうか。
「我々はキャリアのために働いているわけではない。エンジニアがよりよいものを作るためだけに働いており、会社の幹部同士が話し合って仕様を決めるプラットフォームではない」( ガル氏 )
独自のやりたい機能をファイアフォックスOSで対応させたければ「キャリアがそれに見合った数の開発者を投入すればいい」( ガル氏 )という。もちろん、完成した技術はオープンに開放していく。
確かにガル氏の話を聞いていると、ただよりよい技術を開発していき、世界に普及させたいという強い熱意を感じる。この潔い考え方は、モバイル業界にとっては、とても新鮮だ。
■日本でも来年登場
「第3のOS」候補のなかには、サムスン電子が開発をリードし、日本でもNTTドコモが採用を決めている「Tizen(タイゼン)」もある。タイゼンもファイアフォックスOS同様にHTML5をベースにしたプラットフォーム ......
ガル氏はファイアフォックスOSこそがオープンな真のHTML5フォンであり、タイゼンはHTML5へのアプローチが異なるし、サムスン電子という1社のメーカーが作り上げた閉鎖的な環境だと切り捨てた。
ファイアフォックスOSを搭載したスマホは、日本でもKDDIが来年中には発売の予定だ。「真のオープンプラットフォーム」が我々ユーザーにどんなメリットをもたらすのか。iPhoneともAndroidとも違う世界観を描けるか、モジラとKDDIの手腕が試されようとしている。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
上記引用サイト記事を読みながら何故かしら "思い起こす!" ことになったのは、"アップル/スティーブ・ジョブズ氏" と "オープンソース/Linux" であった。
両者に共通する "新鮮な感動(!?)" を呼ぶリソースが、ここにも脈打っていると受け止めたからなのかもしれない...... (2013.11.27)
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