表題の事実、これと言って新事実だと驚けないほどに、常識的・直観的には「そりゃ、そうだろう」と受け止めてきたかに思う。
別に "チンパンジー" に対する "ヒト" 様の優位性を誇るわけではなく、"ヒト" が進化の過程で培って来た "抽象化の能力"(言葉を操る能力もそのひとつ!)の根底には、そうした "断片的画像情報から全体像を認識する能力" があって当然だと思うからだ。
が、しかし、それは単なる "常識的判断" でしかなく、"実証された科学的事実" ではなかった。
こうした "常識的判断" に、まさに "実証性" を与えたというのが、下記引用サイト記事 : チンパンジー:全体像つかむ能力、人に負ける 京大/毎日新聞/2013.11.19 - 13:13 が報じる研究成果なのだと考えられる。
こうした "実証的事実" が伴うことによってこそ、"人間の能力の特殊性" の解明が着実に進むことになるはずだ。
<京都大霊長類研究所の研究グループは、断片的な映像を頭の中でつなぎ合わせて全体像をつかむ能力にヒトが特に優れていることをチンパンジーとの比較で実証/ ヒトとチンパンジーで類似点が多いとされる視覚分野でも、ヒトは優れた能力を備えている/ チンパンジーは断片的画像情報を頭の中でまとめ、全体像を認識する能力がヒトのようには発達していない/ コミュニケーションや文章などで、断片的な音や文字をつなぎ合わせて全体を読み取るヒトの能力とも関係している可能性がある> という。
<断片的な映像を頭の中でつなぎ合わせて全体像をつかむ能力> が、<コミュニケーションや文章などで、断片的な音や文字をつなぎ合わせて全体を読み取るヒトの能力> と関係しているのではないかとの指摘は極めて妥当だと思われる。
後者の能力は、冒頭で述べた "言葉を操る能力" として一括できるものと考えられ、人間の "抽象化の能力" は、むしろこの側面に深く関わっているような気がする......。
チンパンジー:全体像つかむ能力、人に負ける 京大/毎日新聞/2013.11.19 - 13:13
京都大霊長類研究所の研究グループは、断片的な映像を頭の中でつなぎ合わせて全体像をつかむ能力にヒトが特に優れていることをチンパンジーとの比較で実証したとの研究成果をまとめ、19日付の英国科学誌電子版に掲載された。グループの伊村知子・新潟国際情報大学講師(実験心理学)は「ヒトとチンパンジーで類似点が多いとされる視覚分野でも、ヒトは優れた能力を備えている。進化の過程を考える上で重要な手掛かりになる」と話している。
研究グループは、チンパンジー4頭と大学生8人を対象に、視覚による認知能力の違いを実験した。ニワトリやハサミ、アイスクリームなど40種類の平易な絵(8センチ四方)を用意。まず、チンパンジーのみに、絵の1枚がディスプレー画面の左から右に流れていくのを見せた後、それと同じ絵を3枚の選択肢から選ぶテストを繰り返したところ、正答率は9割を超えた。
次に、画面中央部に設けた幅1.6ミリの細長い隙間(すきま)の部分だけから移動する絵の一部が見える状態で同様のテストを大学生とチンパンジーにすると、正答率は大学生が94%だったのに対し、チンパンジーは約半分の55%だった。
研究グループは、チンパンジーは断片的画像情報を頭の中でまとめ、全体像を認識する能力がヒトのようには発達していないと考えられると指摘した。伊村講師は「コミュニケーションや文章などで、断片的な音や文字をつなぎ合わせて全体を読み取るヒトの能力とも関係している可能性がある」と話している。【堀智行】
人間が優れているとされる<断片的な映像を頭の中でつなぎ合わせて全体像をつかむ能力> について、やや "拡大解釈" 的に懸念することがあったりする......。
"より身近な等身大的世界の生活体験" という "断片" を通して、"グロ―パルな世界状況" という "全体像" をつかむことも可能なはずの現代人が、必ずしもそうしてはいないかもしれない現状である。
"全体像" から逃げ(?)て、"断片" の "生" へと埋没する現代人! 動物レイヤーへの回帰?...... (2013.11.21)
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