これまで、困難とされてきた "膵臓細胞の効率的作製" を大きく前進させる研究成果が現れたようだ。
多くの成人病に悪影響を及ぼすとされる "糖尿病" の患者数は、世界的にも増加の一途を辿っている。なお、"糖尿病" の原因は、"膵臓" から分泌される "インスリン" が不足することにあるとされている。
そして、数少ないドナーからの "膵臓移植" のケースはそれとして、それ以外の方法として、"再生医療" の分野では "膵臓細胞の作製" 研究が続けられている。課題の中心は、"膵臓の細胞" をどう効率的に作製するか、である。
以前、以下のような記事に関心を向けたことがあった。
◆ 参照 <血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓の膵島細胞と、増殖能力を持つ幹細胞を融合させた新たな細胞を作り、重症糖尿病のラットに移植して改善させることに京都大の角昭一郎准教授(再生医療)のチームが成功し、米オンライン科学誌プロスワンに29日発表した>( "新型細胞"使い糖尿病改善!膵臓の"膵島細胞"×増殖力持つ"幹細胞"!再生医療分野!( 当誌 2013.05.30 ) )
今回、着目する下記引用サイト記事 : ES細胞:熊本大、膵臓細胞を効率よく作製...糖尿病に応用/毎日新聞/2013.12.16 - 10:05 では、その"膵臓の細胞" 作製に効率化が図られたようである。
<あらゆる細胞に分化できるマウスの胚性幹細胞(ES細胞)から、血糖値に応じてインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)の細胞(膵ベータ細胞)を効率よく作製することに成功したと、熊本大の研究チームが発表した。できた細胞を糖尿病のマウスに移植すると、3週間後には血糖値が正常値に改善した。ヒトの糖尿病の治療にも応用が期待できるという> とある。
<従来のものと比べ、10倍以上効率よく作製できた。インスリンの分泌量も200〜300倍に上がり、生体内の機能に近付いた> というから、この "マウスでの実験" 成果に関する<この方法をヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)に応用すれば、ドナー提供を待たずに移植治療できる可能性がある> とするのも頷ける......。
ES細胞:熊本大、膵臓細胞を効率よく作製...糖尿病に応用/毎日新聞/2013.12.16 - 10:05
あらゆる細胞に分化できるマウスの胚性幹細胞(ES細胞)から、血糖値に応じてインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)の細胞(膵ベータ細胞)を効率よく作製することに成功したと、熊本大の研究チームが発表した。できた細胞を糖尿病のマウスに移植すると、3週間後には血糖値が正常値に改善した。ヒトの糖尿病の治療にも応用が期待できるという。
これまでの研究では、十分な機能を持つ膵ベータ細胞を作ることができなかった。チームは、ES細胞から膵ベータ細胞への分化を促進し、生体同様にインスリンを分泌する細胞に育つことに必要な2種類の化合物を特定した。その結果、従来のものと比べ、10倍以上効率よく作製できた。インスリンの分泌量も200〜300倍に上がり、生体内の機能に近付いたという。
この方法をヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)に応用すれば、ドナー提供を待たずに移植治療できる可能性があるという。粂昭苑(くめ・しょうえん)熊本大教授は「動物実験で安全性が確かめられれば、10年後にはヒトへも応用できる」と話した。【斎藤有香】
<10年後にはヒトへも応用できる> ということのようだから、今しばらくの時間がかかりそうではあるが、数少ない "膵臓" ドナー提供に依存するの生体移植アプローチから、いよいよ新たな"再生医療" 的アプローチが始動して行く気配である...... (2013.12.17)
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