この記事の面白さは、確かに、<猫に飽きられないオモチャ>作りに工夫を凝らしている点にあることは間違いない。
しかし、同時に、こうした "文脈" が、どこか "暗示的(?)" だと思えてならなかった。"現代環境特有の事柄 = 退屈感を消し飛ばす「新規性=サプライズ」探し(?)に奔走する現代人!" を見事に照らし出しているかのような点が、なお面白い! と思われた。
下記引用サイト記事 : 退屈している愛猫に如何? 飼い猫と一緒に勝手に遊んでくれるスマートな「Egg」/TechCrunch Japan/2013.12.31 は、いわゆる<Kickstarter>( クリエイティブなプロジェクトの資金調達を支援するための、クラウドファウンディングサービス )にエントリーされている "新企画!" について紹介している。
その企画の焦点となっているのが、<猫に飽きられないオモチャは作れないものか。そういう思いで作り上げたのがKickstarterに登録されたEggだ。猫は興味を持ち続け、飼い主は労力をセーブすることができる。自律的に動作して、また動きのパターンを変更することもできる> というわけなのだ。
その "製品紹介の動画" を閲覧するならば合点がいくに違いない。
で、"暗示される点"、つまり、"現代特有の事柄 = 退屈感を消し飛ばす「新規性=サプライズ」探し(?)" に奔走する/させられているわれわれの姿、が妙に "ダブって" くるのである。
現代という時代環境では、一般的にもそうだと思われるが、特に "マーケット・サーベイ" 関連職、あるいは、"ブログ/SNS" などに関与する者にあっては、如何に衆目を集めるかという課題が、過剰なほどにクローズアップされているはずだからである。
この風潮は、良し悪しの観点を超えて、現代環境が必然的に抱え込んでしまった構造的な傾向のように見える。
"移り気" で "すぐに飽きてしまう" のは、何も "猫ちゃんたち" だけではない。
むしろ、この現代環境のただ中で日々生活し続けているわれわれ自身が、"移り気" と "飽き" と "退屈" の肥大化によって、あたかも、"サプライズ"への飢餓感に囚われているように思えてならないのである......。
退屈している愛猫に如何? 飼い猫と一緒に勝手に遊んでくれるスマートな「Egg」/TechCrunch Japan/2013.12.31
猫は移り気。何かオモチャを与えてもすぐに飽きてしまうとが普通だ。多くの人に同意してもらえることと思う。さらに、部屋の中で暮らす猫を遊ばせようと思えば、人間の手によって何かを動かしたりし続ける必要がある(そうして苦労してもすぐに飽きられる)。
猫に飽きられないオモチャは作れないものか。そういう思いで作り上げたのがKickstarterに登録されたEggだ。猫は興味を持ち続け、飼い主は労力をセーブすることができる。自律的に動作して、また動きのパターンを変更することもできる。
Eggは名前通りの外見をしている。しかしプラスチックの外装の中身にはオモリに加え制御用の回路やモーターが内蔵されている。Eggはどのようなタイプの床の上でも利用でき、障害物があっても大丈夫だ。猫にちょっかいを出されたり、人間の足にあたったりすれば、オモリを制御して進行方向を変えて進む。すなわちこのEggはいつまでも転がり続け、人の介入なしに、いつまでも猫と遊び続けることになるわけだ。
ちなみに猫を遊ばせるときに人による操作は不要だが、充電は人手で行う必要がある。充電は本体にあるmicroUSBポートにて行う。またコンピューターにつないで、PC用のプログラムから動作モードを切り替えることもできる。
iPhoneでコントロールするSpheroを動かしてみた経験からも、こうした形がペットたちにウケるのは間違いないようだ。製作者のJason O'Maraはオレゴン州ポートランド在住のエンジニアで、TDKなどのエレクトロニクス関連企業の職歴を持つ人物だ。
Kickstarterでの目標調達額は1万5000ドル。募集期間を25日残して、すでに目標額を調達している。O'Maraは2014年6月までにはファーストロットの出荷を開始したいと考えているそうだ。31ドルにてプレオーダーできる。もしうちの中にいる相棒が退屈を感じてしまっているのなら、この金額は決して高いものではないはずだ。
"移り気" と "飽き" と、そして "退屈" などは、現代環境がよって立つ "立ち止まることが不可となった高度消費経済" に起因している、とそう考えても、あながち見当違いではなさそうだ...... (2014.01.02)
コメントする