歳をとると "忘れっぽくなる" のは避けられない。にもかかわらず、これを極端に "認知症" 発症の疑いに結びつけるのは必ずしも賢明な判断ではなさそうだ。
ちなみに、以前、下記のようなくだりに注目したことがある。
<認知症の特徴的な症状の一つが「もの忘れ」です。(医師)水上さんは「夕食のおかずを思い出せないなど『体験の一部だけを忘れる』というのは加齢によるもの忘れですが、食事したこと自体を忘れてしまう場合は、認知症の疑いがあります」と説明>( 参照 65歳以上の4人に1人が認知症とその"予備軍"となる見込み! 認知症に関する基礎知識! ※ "動画"への案内( 当誌 2014.01.07 ))
余程の関心がないかぎり、食事のおかずをありありと覚えている方が特別なのではなかろうか。自身に照らしてみても......。
要するに、往々にして<加齢によるもの忘れ> であることが多いということだ。
だが、これだけ "認知症、認知症" と取り沙汰されると、気になるのも分かる。
そして、"人間ドック" レベルの "認知症検査" はないのか? と関心を向けてみることも、分からないわけではない。
下記引用サイト記事 : 認知症、検査でどこまで分かる 脳ドック活用法/日本経済新聞/2014.01.19 は、そうした方向けに "脳ドックでの検査方法" に関する情報を提供している。
ただし、<認知症の発症メカニズムは解明しきれておらず、予防・治療法も研究途上/ 脳ドックに期待しすぎないで、上手に利用したい> と念を押してもいる。
<午前中にまず先端装置を使った画像検査、磁気共鳴画像装置(MRI)で脳のしわなどの細かい構造を見たり、血管の様子を調べたりする/ 頸(けい)動脈の血流や血管壁を超音波で調べる頸動脈エコーの検査も/ 脳の血の巡りが悪くなり、脳梗塞をもたらす懸念もある「大脳白質病変」などの異常や血管障害をつかむ/ 画像からは認知症の兆候が直接読み取れるわけではない/ 認知症の診断につながるのは、午後の医師との面談/ 一般的な知能テストや記憶テスト/ 「メモリークリニック」/ MRIの画像を専用ソフトウエアで処理し、認知症との関係が深いとされる脳の萎縮の有無を判定する医療機関も/ ソフトは50歳以上向け/ 陽電子放射断層撮影装置(PET)とコンピューター断層撮影装置(CT)を組み合わせた「PET―CT」の画像が役立つこともある/ 大切なのは画像をきちんと読み取れる「読影」の専門家や、検査結果から病気との関連を判定できる医師がいるかどうかだ> とある......。
認知症、検査でどこまで分かる 脳ドック活用法/日本経済新聞/2014.01.19
アルツハイマー病などの認知症を心配して脳ドックを受診する人が増えている。主に脳梗塞の兆候をつかむ目的で使われてきたが、用途が拡大しつつある。ただ、認知症の発症メカニズムは解明しきれておらず、予防・治療法も研究途上だ。脳ドックに期待しすぎないで、検査内容や、分かることと分からないことを理解したうえで上手に利用したい。慶応義塾大学病院が2012年に開設した予防医療センター。脳ドックを受ける人は午前中にまず先端装置を使った画像検査をする。磁気共鳴画像装置(MRI)で脳のしわなどの細かい構造を見たり、血管の様子を調べたりする。頸(けい)動脈の血流や血管壁を超音波で調べる頸動脈エコーの検査もある。
■ 面談で兆候つかむ
脳画像などの第一の目的は脳の血の巡りが悪くなり、脳梗塞をもたらす懸念もある「大脳白質病変」などの異常や血管障害をつかむことだ。「物忘れがひどいけど、大丈夫か診てほしい」と検査を受けに来る人も多いが、画像からは認知症の兆候が直接読み取れるわけではない。むしろ偶然、脳梗塞などの危険がわかるケースが多いという。
認知症の診断につながるのは、午後の医師との面談だ。1人あたり1時間ほどかけ、気になっていることを医師に話す。......
緊張がほぐれたところで、一般的な知能テストや記憶テストを受ける。「今日は何月何日ですか」「これから言う言葉を繰り返してください」など、正常なら決して難しくない問いに答える。物語を読んで30分後にどれだけ覚えているかを説明するテストもある。いずれも、認知症を専門に扱う同病院の「メモリークリニック」で実施している検査を参考にしたものだ。
......
検査で異常が見つかりメモリークリニックの受診や治療などが必要と思われる場合は医師から詳しい説明がある。問題があると言われショックで落ち込む人もいるが、あまりストレスにならないよう前向きに考える姿勢も大切だ。
MRIの画像を専用ソフトウエアで処理し、認知症との関係が深いとされる脳の萎縮の有無を判定する医療機関も出てきた。南東北グループの新百合ケ丘総合病院(川崎市)は脳ドックのメニューに、同ソフトを使う「脳萎縮解析検査」を設けている。記憶をつかさどる海馬という部位の萎縮がないかなどを調べる。
■ 50歳以上がお薦め
ソフトは「VSRAD」と呼ばれ、海外でも使われている。標準的な脳のデータと検査を受けた人のデータを比べ、萎縮の程度を0~3の数値で表示する。1以上だと萎縮が疑われ、数値が大きいほど問題があるとされる。
ただし「脳の形には個人差があるので、最後は医師が画像を見て判断する必要がある」と同病院の笹沼仁一院長(脳神経外科)は指摘する。ソフトは50歳以上向け。......
50歳以上でも「脳に萎縮が見つかれば必ず認知症というわけでもない」(笹沼院長)。例えば飲酒量が多い人は前頭葉に萎縮がみられる場合があるが、認知症には直結しない。
主にがんの早期発見のために使う、陽電子放射断層撮影装置(PET)とコンピューター断層撮影装置(CT)を組み合わせた「PET―CT」の画像が役立つこともある。......脳をスライスした画像で、働きが悪い部分などが見える。アルツハイマー病に至っていない軽度認知障害を把握できる可能性がある。
脳ドックは最先端の診断機器やシステムが次々に導入されている。大切なのは画像をきちんと読み取れる「読影」の専門家や、検査結果から病気との関連を判定できる医師がいるかどうかだ。日本脳ドック学会の認定施設は参考になる。......医療機関のホームページなどで脳や神経の専門医がそろっているかをあらかじめ調べるとよいだろう。
(編集委員 安藤淳)
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
"脳梗塞の兆候" を事前に掴むという点は重要だと考えられるが、"脳ドック" を利用する上で重要な心構えは、<脳ドックに期待しすぎない> という点なのかもしれない。
<認知症の発症メカニズムは解明しきれておらず、予防・治療法も研究途上> である点を踏まえて、<あまりストレスにならないよう前向きに考える姿勢も大切> というのが正解なのだろう...... (2014.01.22)
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