"がん" という病が恐れられる理由のひとつは、 "がん再発" と "がん転移" という現象にあるとされる。
知人のあるがん患者さんは、内臓の複数部位にがんを発症し、これらへの治療を進める過程で、"脳へのがん転移" を誘発させて闘病を続けておられる。
また、かつて "舌がん" を発症させた知人で、転移が一切無くてもう20年近くも難を逃れているというケースもある。
ちなみに、この "がん転移" とは、以下のように解説されている。
◆ 参照 ――
< 転移(てんい、metastasis)とは、腫瘍細胞が原発病変とは違う場所に到達し、そこで再び増殖し、同一種類の腫瘍を二次的に生じること。
がんが転移して新しい腫瘍が形成されると、それは二次がんあるいは転移がんと呼ばれ、転移した細胞は原発病変のものと同一種となる。これは、例えば、乳癌が肺に転移した場合、二次がんは悪性の肺細胞ではなく、悪性の乳腺細胞によって形成されることを意味する。この肺の疾患は肺癌ではなく乳癌肺転移になる。但し臨床医学の現場では習慣的に、二次がんが転移した先の器官の名前で「転移性○○がん」と呼ぶ。
特定のがんは特定の臓器に転移するといった傾向もある。例えば、前立腺癌は、通常、骨に転移する。同様に、大腸癌は肝臓に転移する傾向がある。また、女性の場合、胃癌はしばしば卵巣に転移する(Krukenberg播種)。
腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍とに分類されるが、このうち、悪性腫瘍のみが浸潤や転移を行う。見掛け上、良性腫瘍であっても、転移が起こった場合には悪性腫瘍とみなされる。......>( ウィキペディア/転移 (医学) )
こうした "がん転移" を抑制するという研究成果について報じているのが、下記引用サイト記事 : がん転移抑制する酵素発見 熊本大の尾池教授ら/くまにちコム/2014.01.24 である。
<熊本大大学院生命科学研究部の尾池雄一教授(48)=分子遺伝学=らのグループが23日までに、がんの転移や周囲の組織に入り込む「浸潤」を促すタンパク質「ANGPTL2」の働きを詳しく解明。このタンパク質の働きを抑える分解酵素を発見した/ 分解酵素は、体内にある「TLL1」。この酵素の働きを活性化させる薬などが開発されれば、がん進行を食い止める新たな治療として期待されるという> とある。
がん患者さんたちにとって大きな不安となっている "がん転移" という現象が、効果的に抑制される治療薬/治療法が一刻も早く待ち望まれる......。
がん転移抑制する酵素発見 熊本大の尾池教授ら/くまにちコム/2014.01.24
熊本大大学院生命科学研究部の尾池雄一教授(48)=分子遺伝学=らのグループが23日までに、がんの転移や周囲の組織に入り込む「浸潤」を促すタンパク質「ANGPTL2」の働きを詳しく解明。このタンパク質の働きを抑える分解酵素を発見した。
分解酵素は、体内にある「TLL1」。この酵素の働きを活性化させる薬などが開発されれば、がん進行を食い止める新たな治療として期待されるという。
尾池教授らは、ヒトのがん細胞(骨肉腫細胞)をマウスのすねの骨に移植して実験。ANGPTL2の分泌が多いがん細胞を移植したマウスは、分泌が少ないがん細胞と比べて肺へ転移する期間が速く、生存期間が短かった。
ANGPTL2が周囲の組織を破壊する「MMPs」と呼ばれる酵素を活性化させ、がんの浸潤が進みやすくなる仕組みも解明した。
さらに、がん細胞にTLL1を加えると、ANGPTL2が切断されることを発見。ANGPTL2を人工的に切断したがん細胞をマウスに移植したところ、生存期間が長く、がんの転移が抑えられていることも分かった。
尾池教授は「TLL1には、がんの転移を促進させない作用があるため、TLL1を活性化させる方法を見つければ新たな治療戦略となり得る。TLL1や、切断されたANGPTL2の副作用も明らかにしていく必要がある」と話している。
21日付の米科学誌サイエンス・シグナリング(電子版)で公表した。(田中祥三)
がんの活性に関わるとされるタンパク質「ANGPTL2」と、このタンパク質の働きを抑える分解酵素としての「TLL1」という構図。
体内でのこうした "自然の拮抗関係" こそが深く究明されて行くことで、"放射線/抗がん剤" という従来からの "荒療治(?)" が少しづつでも置き換えられて行くことを望みたい...... (2014.01.25)
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