"自然に備わった免疫力" が試されるのは、風邪やその他単純な感染症細菌による病気から、ウイルス性の病気やがんなど至る病気に至るまでさまざまなケースが考えられる。
ただし、一つ注意しておきたいケースは、"耐性を獲得した菌" に遭遇する場合であり、特に、"多剤耐性菌" に感染する場合だ。
<多剤耐性菌とは、多くの抗菌薬(抗生物質)に耐性を獲得した菌のことです。私達は感染症にかかってもその治療薬として抗菌薬を使うことができれば、菌は死んでしまい、その後症状も回復します。たとえ菌がある抗菌薬に耐性を獲得してしまい治療に使えなくなったとしても、抗菌薬は多くの種類がありますので他の抗菌薬を使って治療することが可能です。しかし、多剤耐性の菌に感染してしまった場合、使える抗菌薬の種類はかなり限定されてしまいますので、耐性でない菌に比べれば治療が困難になることは事実です。なお、報道などで表現されている"ほとんどの抗生物質に耐性を示す"ような多剤耐性菌であっても、まだ一部の抗菌薬は使用可能なので、全く治療の手段が無いわけではありません。多剤耐性菌といっても多くの菌名に分けられ、腸内細菌科に属する大腸菌や肺炎桿菌、エンテロバクターなどの菌、ブドウ糖非発酵菌と呼ばれるグループに属する緑膿菌やアシネトバクターなどの菌、さらに黄色ブドウ球菌や腸球菌などが代表的で他にも多くの菌種があります。> ( 多剤耐性菌情報/一般社団法人 日本感染症学会 )
今回注目する記事は、この "多剤耐性菌" であって、しかも "新型" と見られる "細菌" による "院内感染(病院内での感染)" が発生していた、というものだ。
下記引用サイト記事 : 新型耐性菌か、院内感染110人 大阪医療センター 野中良祐、佐藤建仁 中村通子/朝日新聞/2014.03.18 - 17:07 は、以下のように報じている。
<ほとんど全ての抗菌薬が効かない多剤耐性菌「メタロβ(ベータ)ラクタマーゼ(MBL)産生菌」の院内感染が、国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)で起きていたことがわかった。過去3年間に入院した約110人の患者が保菌・感染していた/ 複数の診療科で2011年度から年間30~40人、計約110人が保菌・感染していたという/ MBL産生菌は免疫が弱った人が感染すると肺炎などになることがある> とある。
新型耐性菌か、院内感染110人 大阪医療センター 野中良祐、佐藤建仁 中村通子/朝日新聞/2014.03.18 - 17:07
ほとんど全ての抗菌薬が効かない多剤耐性菌「メタロβ(ベータ)ラクタマーゼ(MBL)産生菌」の院内感染が、国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)で起きていたことがわかった。過去3年間に入院した約110人の患者が保菌・感染していた。現在は10人程度でいずれも無症状という。同センターが国立感染症研究所(東京都)や大阪市保健所に調査を依頼し、詳しく調べている。
同センターや保健所によると、年明け以降、複数の患者からMBL産生菌を検出。過去の入院患者もさかのぼって調べたところ、複数の診療科で2011年度から年間30~40人、計約110人が保菌・感染していたという。
同センターは2月中旬に保健所に「複数の患者から耐性菌が検出された」と届け出た。MBL産生菌は免疫が弱った人が感染すると肺炎などになることがある。入院中に死亡した患者もいたが、いずれも持病があり、因果関係は調査中。同センターは感染拡大を防ぐため、一部病棟で新規の入院患者受け入れを停止したり、病院職員に手指の消毒徹底を指示したりしている。
保健所によると、国立感染症研究所と共同で同センターに立ち入り調査し、MBL産生菌の種類が肺炎桿菌(かんきん)など4種類以上あることを確かめた。事情を知る感染症の専門家は「新型多剤耐性菌(CRE)による院内感染だ」と説明する。CREの大規模院内感染は国内では報告例がないという。
CREは世界各地で広がっており、日本でも最近報告された。厚生労働省では国への報告対象にすることを検討している。(野中良祐、佐藤建仁)
集団生活、接触不可避の医療行為を特徴とする病院内、しかも概して "免疫力の低下!" が伴うに違いない入院患者という "感染可能性" 少なからぬ環境は、"院内感染" の脅威への警戒体制が欠かせない! 患者側にとっては "為す術がない" のだから、病院側/当局側での対応の徹底! を強く要請したい...... (2014.03.20)
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