"がん免疫療法" がいよいよ "実用化のステージ" へと踏み込んだと言って良さそうだ。ちなみに、"臨床試験" は5年後......、とあるが、最終ステージへと踏み込んだものと見える。
これまで、がん治療法は、"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)に依拠してきたが、漸く "がん免疫療法" という新しいアプローチへと移行しつつあるのようだ。
<"がん免疫療法" とは、簡単に言えば、患者体内に備わった "免疫力/免疫細胞" を活性化させ、支援することで、"がん細胞" の動きを封じ込める治療法>("がん免疫療法"進展!免疫細胞を"再教育"!新療法で白血病患者88%の症状消失(米国)!( 当誌 2014.02.23 )) と理解される。
何と言っても、上記の"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線) に付きまとってきた "不相応な副作用" からの "解放!" が、"期待されるメリット!"。
そうした "魅力のあるがん治療技術" だけに、当誌でも以前から注目しフォローを続けてきた。
【 がん免疫療法 に関する当誌での主な掲載記事 】
1.<iPS細胞から免疫細胞を作り出す研究>
◆ 参照 1.
<がん免疫療法への応用を目指し、iPS細胞から免疫細胞を作り出す研究が進んでいる。理化学研究所は強力な免疫作用のある「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」の作製に成功。 熊本大学は膵臓がんや胃がんの治療に向けて「マクロファージ」と「樹状細胞」を効率的に増やす手法を開発した> ( "iPS細胞"技術:"がん免疫療法"への応用目指し着実な進展!NKT細胞ほか免疫細胞培養!( 当誌 2014.01.27 ) )
◆ 参照 2.
<ウイルスに感染した細胞やがん細胞などを攻撃する免疫細胞の一種「T細胞」を一度、人工多能性幹細胞(iPS細胞)にした上で、同じ能力を持つ「元気」なT細胞に再生させることに世界で初めて成功したと、東京大の中内啓光(ひろみつ)教授らのグループが発表した。このT細胞を患者の体に戻すことで、がんなどの新たな治療法につながる ......> ( iPS細胞の技術応用で、がん細胞などを攻撃する免疫細胞の一種"T細胞"の若返りに成功!( 当誌 2013.01.05 ) )
2.<多彩ながん免疫療法研究アプロ―チ>
◆ 参照 3.
( "がん免疫療法"進展!免疫細胞を"再教育"!新療法で白血病患者88%の症状消失(米国)!( 当誌 2014.02.23 ) )
そこで、今回、注目するのが、"がん免疫療法" の "実用化のステージ" への第一歩を報じる下記引用サイト記事 : iPS細胞でがん免疫療法、京大発ベンチャーが着手/朝日新聞/2014.02.27 - 00:32 となる。
<iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、弱った免疫細胞を若返らせてがんをやっつける新しい手法の実用化に、京都大学発のベンチャー企業が乗り出した。多くの人が治療を受けられるようにするための臨床試験(治験)を5年後にも始めるのが目標だ/ この企業はアストリム(社長=桂義元・京大名誉教授)。新手法では、がん患者の体内から「キラーT細胞」という免疫細胞を取り出してiPS細胞にし、もう一度キラーT細胞にして体に戻す/ いったんiPS細胞にしてからキラーT細胞に育て直すと、標的をたたく性質を保ったまま若々しさを取り戻すとわかり......> とある。
iPS細胞でがん免疫療法、京大発ベンチャーが着手/朝日新聞/2014.02.27 - 00:32
iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、弱った免疫細胞を若返らせてがんをやっつける新しい手法の実用化に、京都大学発のベンチャー企業が乗り出した。多くの人が治療を受けられるようにするための臨床試験(治験)を5年後にも始めるのが目標だ。
この企業はアストリム(社長=桂義元・京大名誉教授)。新手法では、がん患者の体内から「キラーT細胞」という免疫細胞を取り出してiPS細胞にし、もう一度キラーT細胞にして体に戻す。
この細胞は標的を見分けて攻撃する性質があるが、数が少なく寿命も短い。体外で増やしてから戻しても高い効果は認められなかった。ところが、いったんiPS細胞にしてからキラーT細胞に育て直すと、標的をたたく性質を保ったまま若々しさを取り戻すとわかり、京大再生医科学研究所の河本宏教授らが昨年専門誌で報告した。河本さんが科学諮問委員を務める同社は現在、皮膚や胃、血液など様々ながんを標的にしたキラーT細胞づくりを進めている。他人の細胞も利用できるようにする計画だ。
治験は、特定患者が対象の臨床研究と違い、一般的な医療としてだれでも受けられるようにすることをめざす。桂社長は「たくさんの人の治療に役立つよう、効果や安全性の検証をきちんと積み重ねたい」と話す。(編集委員・田村建二)
冒頭の◆ 参照 3.の記事では、同じ "T細胞" に着目したアプローチではあっても、"遺伝子操作" を媒介とした米国での研究成果( c.f.<患者から取り出したT細胞に遺伝子操作を施し、がん細胞中の「CD19」たんぱく質を認識して攻撃するよう改変>) が報じられていた。
やはり、日本ならではの "iPS細胞" を媒介とした当該アプローチに、大いに期待したいところではなかろうか...... (2014.03.01)
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