"免疫" の働きに注目するならば、何と言っても、"腸管免疫系" と呼ばれている "腸" に注意を払わざるを得ないようである。
◆ 参照
<"乳酸菌" などの "腸内細菌" が機能する舞台は、もちろん "腸" であり、これらによって果たされる "免疫" は "腸管免疫系" と呼ばれ、何とヒトの "免疫力" 全体の "60%" を占めるのだそうだ。
どうも、"乳酸菌"/"プラズマ乳酸菌"/"免疫力" という体内リンケージは、ことインフルエンザ・ウイルスにのみ関わっているのではなくて、"免疫力" という点において、"がん" を含む多くの病気とその治癒力にも深く関係している>( 免疫力!腸内細菌とヨーグルト!ヒトの腸管は抗体の6割をつくる人体最大の免疫器官!( 当誌 2014.02.19 ) )
そして、今回、注目する記事は、単刀直入に、その "腸" が "寿命を決める" 臓器であると言明する、下記引用サイト記事 : 腸は老化のバロメーター(1)残り時間が寿命を決める/msn 産経ニュース/2014.03.03 - 09:30 である。
<腸の老化を遅らせ、健康で長生きしませんか?/ 腸は最も老化しやすい臓器/ がん抑制遺伝子の一つで、老化の指標とされるP16というタンパク質が一番早く検出されるのは腸。食物の消化吸収のため、長時間酷使されるので疲れるためでしょう。腸の残り時間は人の寿命を決めます/ 腸は臓器の中でも特に指令を多く出すため、その機能が衰え、脳に指令が行き届かなくなると、他の臓器に甚大な影響を与える。腸が人の寿命を左右するといわれるゆえんだ/ この腸の老化を最も自覚しやすいのが便秘。年を取るとほとんどの人が便秘気味になってくる......> とある。
<がん抑制遺伝子の一つで、老化の指標とされるP16というタンパク質が一番早く検出されるのは腸。......腸の残り時間は人の寿命を決めます> という指摘は、実に説得力がある。
なお、この<がん抑制遺伝子/P16> については、末尾参照記事が解説している。
<正常細胞が分裂寿命に達したり、発癌ストレスが生じた場合には、p16INK4a遺伝子の発現が著しく上昇し、細胞老化を起こす/ これらは正常細胞が有する癌化を防ぐための自己防御機構と考えられています>( がん研究所/がん生物部 原 英二研究室 )
つまり、"細胞がん化抑制 = 細胞老化誘導(細胞死?)" という機能を果たす、と理解できる。
いずれにせよ、<P16というタンパク質が一番早く検出されるのは腸> であるという事実は、<腸は最も老化しやすい臓器> であることを意味しているということになる......。
腸は老化のバロメーター(1)残り時間が寿命を決める/msn 産経ニュース/2014.03.03 - 09:30
腸の老化を遅らせ、健康で長生きしませんか?
臓器にはそれぞれ寿命ともいえる持ち時間がある。中でも腸は最も老化しやすい臓器であることが研究の結果、分かってきた。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と臓器の関係に詳しい慶応義塾大学医学部の伊藤裕教授は「がん抑制遺伝子の一つで、老化の指標とされるP16というタンパク質が一番早く検出されるのは腸。食物の消化吸収のため、長時間酷使されるので疲れるためでしょう。腸の残り時間は人の寿命を決めます」と指摘する。
伊藤教授によると、従来は脳が起点となって各臓器に指令を出し、それに従って臓器が動くと考えられてきた。だが、近年は各臓器から脳に指令が届き、その情報に基づいて脳が全身に指令を出すことが分かってきているという。「おなかの調子が悪いと不機嫌になるし、気力や体力もうせてくる。腸から脳に指令が伝わっている証拠です」
腸は臓器の中でも特に指令を多く出すため、その機能が衰え、脳に指令が行き届かなくなると、他の臓器に甚大な影響を与える。腸が人の寿命を左右するといわれるゆえんだ。
この腸の老化を最も自覚しやすいのが便秘。年を取るとほとんどの人が便秘気味になってくる。おならや便が臭くなるのも老化の兆候。しかし、これらはあくまでも一部の症状にすぎない。次回は腸の老化が引き起こす体の不調や病気について紹介する。
◆ 参照 "p16 遺伝子" について
<増殖能を有する正常な細胞においては通常p16INK4a遺伝子の発現は極めて低く、p16INK4aはほとんど機能していません。しかし、正常細胞が分裂寿命に達したり、発癌ストレスが生じた場合には、p16INK4a遺伝子の発現が著しく上昇し、細胞老化を起こすことが明らかにされてきました (Hara et al., Mol. Cell. Biol., 1996; Serrano et al., Cell, 1997) 。これらは正常細胞が有する癌化を防ぐための自己防御機構と考えられています。 細胞老化の過程で如何にしてp16INK4a遺伝子の発現が誘導されるかについての分子メカニズムはほとんど未知でしたが、2001年に我々は転写因子であるEts1/2とその抑制因子であるId1によりp16INK4a遺伝子の発現が調節されていることを見出しました (Ohtani et al., Nature, 2001) 。......>( がん研究所/がん生物部 原 英二研究室 )
<生命体は一つの受精卵から分割を繰り返し、複雑な形態形成を経てでき上がるが、実は最初につくられるのが腸である>(上野川修一著『からだの中の外界 腸のふしぎ』講談社、2013.04.20)とされているが、その "腸" が、同時に "最期/寿命" を決めている、ということになるのも、感慨深いと言えば感慨深い...... (2014.03.05)
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