"がん免疫(細胞)療法" は、従来からのがん治療の "三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)とは一線を画している。
患者の体内に備わっている "免疫" システムを最大限に活用して、がん細胞を撃退するという点、そして "三大療法" が大なり小なりに伴う "副作用" が回避できるという点などに大きな特徴があると考えられている。
それだけに、この "がん免疫(細胞)療法" は、"がんの第4の治療法" として根強い期待を集めている。
当誌ではこれまで、この "がん免疫(細胞)療法" の進展の数々をトレースし続けているが、"免疫" システムの最大限活用という点に最大公約数はあるものの、下記のとおり、そのアプローチは "多彩" である。
◆ 参照 最近の当誌での"がん免疫(細胞)療法"関連記事
(1) がん免疫細胞療法の一翼:"樹状細胞ワクチン療法"(WT1抗原利用)を提供!(メディネット)/当誌 2014.04.04
(2) "がん免疫療法(第4の治療法)"の一種:"がんペプチドワクチン療法"!臨床試験進展中!/当誌 2014.04.03
(3) 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13
(4) "iPS細胞でがん免疫療法"!京大発ベンチャーが着手!いよいよ"実用化のステージ"か!/当誌 2014.03.01
(5) 自己免疫を強化させることでがん細胞と戦わせる"免疫療法"薬、初の"医療保険対象"か!/当誌 2014.02.25
(6) "がん免疫療法"進展!免疫細胞を"再教育"!新療法で白血病患者88%の症状消失(米国)!/当誌 2014.02.23
(7) "iPS細胞"技術:"がん免疫療法"への応用目指し着実な進展!NKT細胞ほか免疫細胞培養!/当誌 2014.01.27
こうした "多彩さ" に、今一つ "新たな研究成果" が付け加えられた。
下記引用サイト記事 : がん免疫療法の研究用に抗PD-L1抗体を発表=米CST〔BW〕/時事ドットコム/2014.04.16 - 10:58 がそれである。
<米ライフサイエンス企業のセル・シグナリング・テクノロジー(CST)は、ウサギの抗PD-L1モノクローナル抗体を発表した。PD-L1は活性化T細胞の細胞表面受容体PD-1に結合し、T細胞の活性を阻害する。PD-L1は腫瘍細胞の表面でアップレギュレート(引用者注.発現量増加)されることから、腫瘍細胞による免疫回避の一要因と考えられている。同抗体はがん免疫療法に使用できる可能性がある> とある。
ちなみに、"T細胞" とは、もちろん "免疫細胞" であり、この "免疫細胞" がリードして "がん細胞(腫瘍細胞)" を叩くことになる。
だが、"がん細胞" 側は、これに対抗して "T細胞" の働きを邪魔する策を弄する。ここで登場している "PD-L1" というタンパク分子がその一つであり、これを、"T細胞" にまとわりつかせて、"T細胞" の働きを阻害しようとするわけだ。
そこで "免疫細胞" 側としては、この "PD-L1" というタンパク分子を封じ込めるために、これを捕縛(これに結合)する別のタンパク分子(抗体!)を、抗PD-L1モノクローナル抗体というかたちであてがう作戦に出る、というのが、この研究成果の狙いだということなりそうだ。
つまり、これまでの "がん免疫(細胞)療法" は、"免疫細胞" 側の "活性化" に力点が置かれていたのに対して、今回の場合は "がん細胞(腫瘍細胞)" 側からの "策" を "潰す!" ことに重点が置き直されている、ということになる......。
がん免疫療法の研究用に抗PD-L1抗体を発表=米CST〔BW〕/時事ドットコム/2014.04.16 - 10:58
【ビジネスワイヤ】米ライフサイエンス企業のセル・シグナリング・テクノロジー(CST)は、ウサギの抗PD-L1モノクローナル抗体を発表した。PD-L1は活性化T細胞の細胞表面受容体PD-1に結合し、T細胞の活性を阻害する。PD-L1は腫瘍細胞の表面でアップレギュレート(引用者注.発現量増加)されることから、腫瘍細胞による免疫回避の一要因と考えられている。同抗体はがん免疫療法に使用できる可能性がある。
【注】この記事はビジネスワイヤ提供。英語原文は www.businesswire.com へ。 (2014/04/16-10:58)
◆ 参照 ニュース・ソース
○ セル・シグナリング・テクノロジー、がん免疫療法研究に重要な抗PD-L1抗体を発表/BusinessWire/2014.04.07 - 01:57)
"多彩" なアプローチ で開発が続く "がん免疫(細胞)療法" は、やがてその総力戦によって "免疫システム" に基づいた "がん克服!" に限りなく接近するものと思われる...... (2014.04.17)
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