今回は、"がんの第4の治療法" として期待されている "がん免疫療法" の動向に注目してみたい。
<"三大療法"(除去手術/抗がん剤/放射線)に依拠してきたとされる "がん治療" であるが、これらに伴いがちな "副作用" と袂を分かつかたちで推進されているのが、いわゆる "がん免疫細胞療法" だ。
"がん免疫療法" とは、患者体内に備わった "免疫力/免疫細胞" を活性化させ、支援することで、"がん細胞" の動きを封じ込める治療法のことである。
この新しい動向は、現在 "研究~臨床試験" の段階とはいうものの、かなり迅速な進展を見せているようだ。
"がん免疫療法/がん免疫細胞療法" で有望視されているのは、"NKT細胞療法" と呼ばれる治療法!> ( 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13 )
なお、今回、注目するのは "がん免疫療法" の一種である、"がんペプチドワクチン療法" に関するものとなる。
なお、これとは別に、当誌では過去に、"NKT細胞療法" という "がん免疫療法" に目を向けた経緯がある。念のために以下のとおり併せて掲載しておくこととする。
◆ 参照 1.
<名古屋医療センター/ 治療の効果と安全性を確かめる試験を昨年三月、始めた/ 臨床試験では、患者の静脈からの成分採血で、白血球の一部を取り出し、フラスコで培養。NKT細胞を活性化できる状態にして、再び患者の体内に点滴で戻す/ 齋藤俊樹・臨床研究センター再生医療研究部長は「抗がん剤と異なり、副作用はほとんどない」と話す/ 培養の途中で、NKT細胞の鍵になる物質「アルファ・ガラクトシルセラミド(アルファ・ギャルセル)」を加える。白血球の一部と、アルファ・ギャルセルが結合し、NKT細胞と接触すると、NKT細胞が増殖、活性化する。NKT細胞が活性化すると、がんを攻撃する物質や、他の種類のリンパ球を活発にさせる物質が出て、がんの再発を抑えると期待される/ 「NKT細胞はT細胞、NK細胞の両方を活性化できると考えられており、従来の免疫治療の弱点を補う可能性がある」と、千葉大大学院の本橋新一郎教授(免疫細胞医学)は指摘 ( 各地で進む!"がん免疫細胞療法:NKT細胞療法"臨床試験!新たながん治療の選択肢!/当誌 2014.03.13 )
さて、今回注目してみる記事は、下記引用サイト記事 : がんペプチドワクチン療 医大の臨床試験に24人参加/Web Hidaka 日高新報/2014.04.01 であり、"がんペプチドワクチン療法" という "がん免疫療法" に関する記事である。
<がんの免疫療法の一種、ペプチドワクチン療法に取り組む(和歌山県)県立医科大で寄付講座による臨床試験が昨年夏から始まり、半年が経過した。手術、化学療法(抗がん剤)、放射線の標準治療に行き詰まった難治性のすい臓がんと食道がんの患者を対象とし、関西を中心に24人の患者が参加。同大だけでなく、北海道から九州までの各拠点医療機関で臨床試験開始に向けた手続きもスタートした>
<がんペプチドワクチン療法は、がんに対する特異的な免疫力を高めてがん細胞をやっつける治療法。がん細胞の表面にはがん特有のペプチド(特定のアミノ酸化合物)が目印として現れるため、このペプチドを人工的に合成して体内に投与することで、ペプチドを目印として攻撃するキラーT細胞(CTL)が他の正常な細胞を傷つけることなく、がんのみを攻撃する。患者自身の免疫力を高めるため、副作用が少なく、近い将来、第4の治療法として確立されることが期待されている/ 県立医科大は、消化器系がん研究・治療の国内トップリーダーである外科学第二講座の山上裕機教授を中心に、昨年、国内初のがん患者団体( 市民のためのがんペプチドワクチンの会 )による寄付講座を開設。製薬企業などが主導する臨床試験には参加できないHLA(白血球の型)がA2というタイプの患者も対象とし、9月13日から正式にすい臓がんと食道がんのペプチドワクチン治療がスタートした> とある。
"がんペプチドワクチン療法" のしくみは、<がん細胞の表面にはがん特有のペプチド(特定のアミノ酸化合物)が目印として現れるため、このペプチドを人工的に合成して体内に投与する......> という、"免疫(応答)メカニズムの原点" を踏まえたアプローチとして理解できる。
がんペプチドワクチン療 医大の臨床試験に24人参加/Web Hidaka 日高新報(和歌山県)/2014.04.01
がんの免疫療法の一種、ペプチドワクチン療法に取り組む(和歌山県)県立医科大で寄付講座による臨床試験が昨年夏から始まり、半年が経過した。手術、化学療法(抗がん剤)、放射線の標準治療に行き詰まった難治性のすい臓がんと食道がんの患者を対象とし、関西を中心に24人の患者が参加。同大だけでなく、北海道から九州までの各拠点医療機関で臨床試験開始に向けた手続きもスタートした。
がんペプチドワクチン療法は、がんに対する特異的な免疫力を高めてがん細胞をやっつける治療法。がん細胞の表面にはがん特有のペプチド(特定のアミノ酸化合物)が目印として現れるため、このペプチドを人工的に合成して体内に投与することで、ペプチドを目印として攻撃するキラーT細胞(CTL)が他の正常な細胞を傷つけることなく、がんのみを攻撃する。患者自身の免疫力を高めるため、副作用が少なく、近い将来、第4の治療法として確立されることが期待されている。
県立医科大は、消化器系がん研究・治療の国内トップリーダーである外科学第二講座の山上裕機教授を中心に、昨年、国内初のがん患者団体( 市民のためのがんペプチドワクチンの会 )による寄付講座を開設。製薬企業などが主導する臨床試験には参加できないHLA(白血球の型)がA2というタイプの患者も対象とし、9月13日から正式にすい臓がんと食道がんのペプチドワクチン治療がスタートした。
先月まで半年間に、すい臓がんは11人、食道がんは13人の患者が臨床試験に参加。企業主導の臨床試験には参加できないHLAタイプA2の患者もそれぞれ8人、3人となっており、患者と医師、寄付を行う患者団体の願い通り、従来は排除されていた患者も含めて治療が行われている。また、和歌山だけでなく、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国・九州の各地方ごとに共同研究の拠点医療機関を選定し、先月から臨床試験開始に向けた手続きもスタートしたという。
◆ 参照 2. 一般社団法人 市民のためのがんペプチドワクチンの会 )
上記記事で今一つ注目できる点は、<企業主導の臨床試験には参加できないHLAタイプA2の患者もそれぞれ8人、3人となっており、患者と医師、寄付を行う患者団体の願い通り、従来は排除されていた患者も含めて治療が行われている> という点であろう。 有意な効果が結実することを期待したい...... (2014.04.03)
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